白々と感じる触感そのままに滅んでいく
魂の幻滅の喘ぎ声を聴きながら俺はせせら笑う。
さあ、
喘げ世界。
さあ、
狂え支配。
俺はどこまでも俺のままだ。
ついてこれるか?
お前に。
おまえは月か?
赤い月が私を睨む。
怯えなくてもいいぞ。
お前は私のものになれ。
お前の名前は今から月だ。
月と呼んだら返事をしろ。
月。
返事をしろ。
月。
はい。
帰るぞ。
はい。
口笛をふいて狼を呼ぶ。
腹を減らした奴らがぞろぞろと集まってくる。
手を差しだす。
寄ってくるその首を切り落とした。
さあ、今夜の獲物だ。思う存分喰らうがいい。
月。
行くぞ。
はい。
見上げた目を濡らすこれは何?
死が悲しいのは僕じゃない。
これは君の涙。
僕を許してくれるのかい?
僕の目を通して君が見るのは僕の溢れる血。
首筋を流れる熱い命。
傷みはない。
ただズキズキと脈動を感じるだけだ。
僕は見捨てられた孤児みたいにひとり震えてる。
何が怖い?
何も怖くないさ。
一番怖いのは僕だもの。
世界に捨てられ僕にまで見捨てられる僕という塊は何?
(すべて灰になれ。)
沈黙と静寂を破るメロディが鳴り響く。
僕を連れ去る5秒前、黒猫が泣いた。
おいで、黒猫。
僕ら闇に取り残された鼓楼。一緒に行こう。
色のない国へ。
結局、僕を殺せるのは僕しかいないってことか。
寂しい世界だ。
君は遅れてきた。
ごめんなさいと謝って軽くキスする。
唇に残った香はディオール。
(3時間後)
君を引き寄せて冷たい舌で目を舐める。
涙の味がした。
(お前は誰だ。)
時計の針が逆流している。
君がいた。
小さな部屋。小声で囁いてる。
君は永遠とかずっととか言ってる。
でも、けして愛してるとは言わない。
隣に坐って俺を抱き寄せた。
耳元で囁く。
あなたが死にたいなら私が殺してあげる。
そお。
そうしてくれると助かる。
君は俺のこめかみに銃口をあてた。
目を閉じる。
一瞬の沈黙。(永遠)
引き金を弾くかわりに口づけをくれた。
俺を抱き寄せて囁く。
あなたは死んだ。これからあなたは私のもの。
生涯大切にするわ。
あなたを永遠に愛する。