女帝(逆位置)

この夢のはてに、冷たい風が吹いて今

ふと顔をあげると君がそこに居て僕に向かって、手を振っている。

(バイバイ)

歩き慣れた帰り道を、独り歩いている僕。

交差点で止まると反対側に君が待っていて僕に向けて手を振る。

(バイバイ)

風が少し冷たくてでも、もうすぐ11月で、

そしてまた出逢う。

ああ、でも知っているよ。

どれもこれも幻想で、それは夢のはなしだ。

ふと左隣りに目をやると君が僕の手を握っていて、

そしてほんの少し笑う。

微笑んだ君は、その手を離すとまた僕に手を振る。

(バイバイ)

僕はこれから先、何度でも君とさよならをする。

まるでそれが君との繋がりを示すみたいに。

だから、僕は君を見ているだけ。

僕はさよならをしない。

ゆっくりと歩きながら、角を曲がると君が居て、

また僕に手を振る。

(バイバイ)

もう出逢ってしまっていることを少しだけ後悔する。

出逢いが未来だったら良かった。

そして、何度目の出逢い、何度目の別れ、

君は窓の奥で手を振る。

僕も君に手を振る。 (またね)

涙、大切にして。またね、と言った君を忘れないから。

(バイバイ)

あなたについて。

+++++
華。傘。たとえば。砂浜。香水。薔薇。A10神経。
絶望。儚い。脆い。夕暮れ。黄昏。暁。闇。
赤色。黒。白。蒼。空。落下。綺麗。美しい。嘘。誰。
時間。
雪。消えた。暴く。目。
価値。人。

優しい。友達。仲間。
憎い。愛してる。
蓮華。
芍薬。永遠。
立ち止まる。蝶。

カーソル。点滅。
音楽室。保健室。影。
それで。
だからさ。
いい。
森。
女王。

椿。
悪の華。

リルケ。
命。
生きる。
暖かい。
マラケシュ。サハラ。

夜。寒い。
すべて。

東京タワー。

blog - 046

寂しさの欠片。

 ねぇ覚えてる?
あなたと初めて手を繋いだ日。私があなたの手を掴んで行こうとしたら
あなたはその手を振り払った。

私は気に障ったのだと思った。

でも、そのすぐあとにあなたは
私の左側に回り

右手で私の手を握ってくれた。
あの時あなたは確かに言った。

「左手はダメ、悪いことをする手だから。」

あなたは私の左手を握っていた。

私の左手も悪いことをする手だって
知っていたはずだけど

あなたはそれは気にしなかった。

私はそれをもっと気にするべきだった。
そうしていたらきっと

ずっと一緒にいられたのかもしれない。

冷たい風がひんやりと頬を撫でていった。
あれは特別な儀式だった。

だから、私の寂しさは
欠片になっても私の心を掴んで離さない。

あの時のあなたの驚いたようにみえた顔は
あれは恥ずかしさを隠したつもりだったのかもしれない。

あなたを失ったあとも
私はあなたについてのたくさんの物語を思い出せる。

きっと、そのせいで10月の風は冷たいのです。

あなたに出逢うまであと少し、
もう少しで私はあなたに出逢う。

たとえ、そこにあなたが居なくても
私は何度でも

この世界で
あなたに出逢うのです。

だからきっと、
この喪失は永遠にあって

(喪失が空白を作り、)

私の心の隙間を
埋めることは二度とないのです。

(そして、)

だから私には、
この空白が何度でも愛しいのです。

 blog - 030

ガーネット

僕はたぶん嘘つきで、そのせいで
君をたくさん傷つけたり

(君の)夢の中にまで入り込むような
冷たい風をずっと送り続けて

君の涙を欲しがったりしたんだ。
(なぜって?)

それが本当に欲しかったものだから。

僕は
(僕のために)泣いてくれる誰かを
探すために生まれてきた。

そんな欺さを持って
僕はいつも背伸びする。

だから、失敗の連続で

それでもいいと
ただ君の涙が欲しいと願った。

(あぁ)
僕はそんな自分を
自身で許しながら

軽蔑もする。

(9月の風が珍しく冷たい、この夢のはて。)

本当は君の幸せを願ってる。

だから、(僕は)
君の目に
つかないところに居たい。

それとは別に
もう一人寂しがりの自分が居て

君が涙を流す映像を
延々とあたまの中に流し続けるんだよ。

本当は違うんだ。
笑ってて欲しいんだ。

でも、寂しい。
君が僕を忘れていくことが。

僕は何も忘れないまま、終わりたい。

溜息をつきながら
君が愛しくて
赤い糸を何度も結び直す。

(でも、もう切れているから。)

仕方なしに
君のくれた赤い糸を

君のくれた記憶、
君のくれた世界、
君のくれた喪失、

それらを君のくすりゆびの代わりに
糸の先に結び直して

僕は僕を思い出す。

(本当はこれまでのことが全部夢で目が覚めたら
あの瞬間まで戻っていたらいいのにって叫んだ。)それは嘘の願い。

でも、それでも
悲しみは一人歩きする。

まだ、ひとりで歩けない道が多い。

足を組み直すような簡単さで
何もかも忘れていけたら、と一瞬思った。

でも、すぐに
もう一人の僕が撤回する。

ずっと忘れない。
記憶の置き場所がもうない。

どうすればいい?
(誰に聞いているんだろう。)

冷たい風は嫌いだ。
君に冷たい風は似合わない。

10月の風は全部、僕が引き受けるから

そのまま
真っ直ぐに君の未来へ行くといい。

僕の涙は枯れてしまったから
もう大丈夫。

(嘘。)

何もかもがあの日に戻ろうとする。
どうしてもあがいてしまう。

それでも、
何も変わらないっていう事実だけが
決定されてしまった。

未決にしたかった。
でも、出来なかった。

全部自分の意志で決めた。
だけど、
だけど、

(だから)

未来よりも過去が気持ちいい。

(わかってた。)

だから、終わらせないままにいたのに、
(それも嘘。)

全部、嘘だ。

君の涙だけが本当で
あとは全部嘘だ。

(それも嘘でしょ。)

何もかもが嘘になったら
全部の嘘が本当に
変わってくれるような気がして

僕はひとり
そんなことを延々と考えながら

枯れたはずだった僕の目が
今でも君のために泣けることを
確認して、目を閉じた。

金星(VENUS)

真っ暗なこの部屋から
君へ最後のプレゼントを送ります。

プレゼント、
(きっと)
君が気に入るわけもないけど
自身のために贈ります。

僕と君は
僕がこれからどうなろうと
何も関係ない関係(ややこしいけど)。

きちんと
切っておかなければいけなかった赤い糸を
僕はこれで切ることが
出来るのかな。

どちらにしても
最後のプレゼントです。
気に入らなかったら全部捨ててください。

僕は相変わらずです。
もがけばもがくほど蔓は絡みついてきて
悩まします。

だから、僕を操る糸ごと切ってくれる誰かを
探そうと思っています。

いつもどおりです。
他人まかせなところは何も変わっていません。

君は何か変わりましたか?
それとも変わらないままに見られますか?

君はこれからどんどん成長して
最後には何になるんだろう。

きっと何にでも成れる気がしているから
君の未来は茜色の空の一点みたいに目立つのです。

それが君の金星じゃなくっても
(きっと)それに近い何かなんだよ。

空は相変わらずに青くて暗い。
どこまでも宇宙を見渡せる気がして
僕は羽を伸ばします。

僕はすぐに
太陽に飛び込みたくなるから
気をつけて飛びます。

最後に君へ。

幸運を。(金星を。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

君といまの君へ。

 

 

blog - 020