この風景がどうしても好きになれない。
音階はクリアなのにメロディーがダークで
だから本質的には僕の世界で
けれど何もかも揃えられたこの部屋と
アタマの中の一番大切な要素が足りないと囁く人形が
白と黒の鍵盤を不揃いにする。
だってさ、この世界のこの部屋が
世界の果てなんて絶対に嫌だから。
そんなくだらない
小さな子供の我が儘が
広いガラス窓を曇らせる。
生きていない。
死んでない。
対局のバランスが僕を揺らす。
ナニコレ?
なんでここにいるの?
煙草と薬しかない世界で
悲しみより諦めがシールされていく。
君を泣かせないようにしなくちゃ。
それだけで生きていく。
「またね。」と言った約束を守るために生きる。
僕はそのために時間を止めた。
時計の針は君に手を振った時間のまま。
一度も振り返らなかった君がリアル。
だから心はずっと冬のまま。
僕は僕の時間を降り積もった雪のなかに埋めて
君を想う。
集ったアルファベットがくっついて
マイナーコードを鳴らす。
ああ、君に会いたいな。
小さく呟いて裏切った瞼から
冷たい雨が振った。
それが今日の出来事のすべて。
なんて退屈な世界。
僕は軽く目眩がして
遠くまで晴れ渡ったこの空に唾を吐いた。