3月18日、晴れ。

青い空以外何も見えない。
この風景がどうしても好きになれない。

音階はクリアなのにメロディーがダークで
だから本質的には僕の世界で
けれど何もかも揃えられたこの部屋と
アタマの中の一番大切な要素が足りないと囁く人形が
白と黒の鍵盤を不揃いにする。

だってさ、この世界のこの部屋が
世界の果てなんて絶対に嫌だから。

そんなくだらない
小さな子供の我が儘が
広いガラス窓を曇らせる。

生きていない。
死んでない。

対局のバランスが僕を揺らす。

ナニコレ?
なんでここにいるの?

煙草と薬しかない世界で
悲しみより諦めがシールされていく。

君を泣かせないようにしなくちゃ。
それだけで生きていく。

「またね。」と言った約束を守るために生きる。

僕はそのために時間を止めた。
時計の針は君に手を振った時間のまま。
一度も振り返らなかった君がリアル。

だから心はずっと冬のまま。
僕は僕の時間を降り積もった雪のなかに埋めて
君を想う。

集ったアルファベットがくっついて
マイナーコードを鳴らす。

ああ、君に会いたいな。
小さく呟いて裏切った瞼から
冷たい雨が振った。

それが今日の出来事のすべて。
なんて退屈な世界。

僕は軽く目眩がして
遠くまで晴れ渡ったこの空に唾を吐いた。

blog - 163

狂気と知れば、それを亡きものとす。

狂えばそれを亡きものとし
憂えばそれを背徳のものとす。

時計の針を戻し
無いものをあるがままの姿に還元する。

それであの人の狂気はやむのですか?

わからない。
けれど、何もしない手はないでしょう。

自分の手が指が思うように動かない。
自分の神経が痛みも悲しみも受けつけない。
自分の過去が未来が千切れながらねじれていく。

時計の針を戻しても
きっとあの人は戻らないでしょう。
けれど、最後まであの人は
狂っていても正常な心で願うでしょう。

(君に触れた。君に沈んだ。)

私は私の何を求め何を失うことを怖れているのでしょう。
はじめから何も得てはいないし
何も失いもしない。

なのに、何を怖れているのでしょう。

それはあなたの尊厳というもの。
それがあなたをこの世界と繋げるもの。

あの人はもう悲しみを越えた。
あの人の目に映るのは過去だけ。

ああ、ここにいたのか。
ずっと探していたんだよ。
見つかって良かった。
本当に心配したんだよ。
さあ、もう二度と離れないように
しっかり手を握っていて。

あの人はもう行ってしまった。

 

blog - 141

記憶の記憶。

君の吐息が凍ってた。
僕はそれにふっと息を吹きかけただけさ。それが二人の出逢いだった。
そして、辻褄の合わない恋をした。

けれど、それでも良かった。
愛してたから。

だから、後悔はしていない。
普通の不便さは最初から知っていたさ。
誰にも言えない言葉ばかり、
君に求めた。

あれは僕の我が儘。
それを許したのは君。

真夜中の雨の中を君と二人で歩いた。

それがいくつかの記憶のひとつだ。
いつか、朧に消えていく前に君に伝えたかった。

ねぇ、忘れてばかりいないで
時々は僕を思い出してよ。

君の凍った吐息は、今も覚えてる。
シベリア、黒い夢。

繊細な君が笑顔を作るとき、
僕はどんな顔をしていただろう。

今更思い出したとしても
何も変わることのないことが真実なのだけどね。

忘れていこう。
冷たい記憶は忘れていこう。

君の温もりを覚えてる。
唇の体温も。

例えば、これが全部夢だったとして、
あの時間に戻れたとしたら

僕は君を二度と手放さないよ。
だからもうお休み。

君との言葉遊びは追憶だ。
愛しているよ。

こんな11月の夜のなかでも。

blog - 052

リング。

blog - 5

 

 

遠くから
君の声が届く。

階段を降りながら
君が笑う。

時間が永久にあれば
そこへ行くことも出来たはずだけど、、、。

(でも、それを願ってはいけないよ。)

年月が過ぎれば、
記憶も衰えて見知らぬ二人になる。

そして、

知らない君が
知らない僕に手を伸ばす。

僕はそれが嬉しくって
同じように手を伸ばして

指先の先端まで
君を求める。

けして叶わない夢だけど
心に何も無いよりは良かった。

だから、僕はもう一度
飛ぶ。

君の笑顔が欲しいから。
君ならきっとわかってくれる。

遠く離れていても
言葉さえあればいい。

そして、一緒に
夢の続きを見ようよ。

そこには
太陽と月と海が満ちた世界の果てが
待っていて

虚ろな僕と可憐な君を
夢物語に連れていってくれるから。

だから、
なにも寂しくないし
怖くもない。

ねぇ、君なら
この希薄な夢を信じてくれるね。

世界の果てで待っているよ。
夢の中で待っているよ。

そう信じられる僕なら、
寂しさを忘れていけるから。

(ああ、君の声が…)

僕が忘れた願いは、君に預けておくよ。

大切に
鍵をかけて
心のどこかにしまっておいて。

誰にも
見つからないように

誰にも
壊されないように。