僕が死んだら、

25th/July/2005/15:04
器について。

それは ふんわりとした 柔らかな繭のように

光をうっすらと吸収する
目をこらしてよく見ると神経のように細くて短い毛が

熱帯雨林が消滅していく
ゆるやかな速度で    表面を覆っている

その毛は ときどき プルンと 震える
少し拡がり、また元に戻る

その運動は    世界の終わりから始まりのきっかけに
かかすことのできないロジックを加水分解する

それはまるで
すべてのため息を 光合成する 高性能な太陽電池

それはまるで 終わった出会いを修復していく
蜘蛛の糸のツヤのように

あたりを照らす

照らされた大気が密度を狂わされて百年の眠りから覚める

いかりくるった大気は
大粒の涙を流し   やけになっている

それを見た   器が
くすりと笑う

ふるふると震えながら  笑う

その声は   次第に大きくなって
南極のオゾンホールに届く

降り注ぐ紫外線に  焼けこげたドウクツライオンが
デボン紀まで溶け出している

さらに   声   は大きくなって
         音叉の役目をはたしながら
      自らを砕いていく

    忘れていく

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12th/February/2015/20:09

僕が死んだら、
最期にきみの名前を呼ぶから
そのとき、また逢おう。

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I Wanna Be Adored

6th/June/2005/01:10
6月6日、君。

雨が降っていた
6月の都心

傘は捨ててしまったから
撃たれていくしかない

秒速300キロメートルで降り注ぐ心の雨の振る闇へ

夏の貴婦人の麦わら
大きなつばのような屋根の下には
大勢の順番待ちができていて

待ちきれなくなった悲しみが
屋根の下から飛び出していく

一瞬だけ
止まったように見える
弾丸のような雨に

彼らは

あたまから
かたから
むねから
うでから

あるときは
新品の革靴から

打ち砕かれていく

走った距離は
うまくいった場合でも

自分の身長よりも短く

その努力の報酬は
生き長らえた時間に比例した痛みだけだ

(形をなくした悲しみは大小さまざまな塊に分解される。
魂をつなぎ止められない程小さくなった塊は誰かに回収されることもなく、そのまま永遠にそこで壊れている)

吹き飛ばされた塊のひとつが転がってきて
足にぶつかって止まった

手にとってみると
それは
すっかり淡くなってしまった
絵の具のようなやわらかい塊だった

塊は
軽くつまむと

「ゆめ」

もう一度つまむと

「ゆめ」

なんどつまんでも
同じ痛みが指に走る

指先がしびれるまで
それを繰り返してから

いっきに握り潰した

手段はどうでもいい

とにかくここから
出なければならない

目の前は
降り続く雨で
10メートル先も見えない

それでも
どうしても
届けたいものがある

朝 雨上がりの水たまりに
ちらばったまま 永遠に壊れていたとしても

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11th/February/2015/18:09

2015年のきみへ
SUEDEのPantomine Horseと
The Stone RosesのI Wanna Be Adoredを聴いてみて、
きっと気に入るから。

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