永久機関。

Dec 09 2006 22:54:11

ペンを軽く握って、ひと息に線をひいた。
朱色の髪の毛のような細い線。

気をつけて見ないとわからないくらい緩くカーブしていき
最後は何かでひっかいたように線が乱れている。

細い線が象徴しているものは、何か?

それは誰にもわからないし、誰も知りたくはない。
(今日の最高気温は35℃だとニュースが告げる。)

線をたどっている。

指に朱がかすれて紙を汚す。
細い線をなぞって 

なにかを目指しているのだと、それは言う。
細い線に依存しているのだと

それは言った。
   
    (たどりつくのは愛情だから
     大切にしなさい。と手紙を書く。)
 
遠いどこか
永遠に夏の終わりの海、

常に黄昏のままの浜辺には
小さな瓶に入った宛先不明の手紙が
毎日うちよせられる。

細い線のさき、
    永久に閉ざされた黄昏の浜辺では

  オレンジ色に染められたガラスの刹那が
きらきらとひしめき合ったまま

   波の中に

     砂の中に沈んでいく。

blog_3 - 43

8時28分16秒

Oct 25 2012 4:11:07

玄関に座って
3本目の煙草を吸う。
寒い。
きっと空を見上げたら
満天の星が見える。
だから、僕は空を見ない。
そんな綺麗なものなんて僕にはもう必要ないからね。
煙草だけあればいいよ。
何も考えたくないし、何も願わないように
まっさらにしなきゃ。
僕にはもう必要なものなんてない。
煙草だけ
それだけあればいい。

(煙草なくなっちゃった。取りに行こう。)

夜でなければ会えないときいて
こうして来てみれば
ああ、あなたはもう本当に自分を大切にするということをしない。
もう影の月に入ったというのに
あなたは平気で影月日を浴びるのね。
どうしても死にたいのね。

そんなに大げさに言わないでよ。
この世界には約66億人もいるんだ。たった一人いなくなったことを、
誰がどう知るというのか。
誰も気にしないよ。
知らない人の生き死になんて
気にしないし。

ねぇ、
左手見せて。

緩すぎて左手にぶら下がってるような腕時計を表に返す。
長針と短針、そして逆回りに動く秒針。

(8時28分16秒)

これは逆回りに動く時計。普通の時計とは違う。
時を計る時計ではない。
身につけた人に残された時間を計る命の時計。
だから秒針は逆回りして、長針も短針も逆回りする。

あなた、どういうつもり。

どうして、生きないの。あなたはどうして生きようとしないの。
未来に希望を見つけて
幸せに生きたいとどうして願わないの。

僕ね、色々考えたんだ。
どうすれば幸せになれるか。
全く反対なんだけどね。
考えてたら、どうして幸せになれないのかがわかったんだ。
無理だってわかった。
僕の願う幸せと僕がこれから得られるかもしれない幸せ、
比べてみたら全く質が違うんだ。
全然別物。
僕が願う幸せは、もう手の届かないところにあって
僕はそれが手に入らないなら生きる理由がなくなっちゃうんだ。
人はね色々言うよ、生きてるうちに小さな幸せでもちゃんとあるとかね。
でもね、僕はそんな小さな幸せのために
僕を裏切った世界、僕の大切なものを奪ったこの世界で生きたいなんて思わないんだよ。
きみにわかる?
目が覚めると新しい苦しみと悲しみが用意されてて、起き上がれない。
辛いからまた眠る。
こんな世界でいくつかの小さな幸せのために生きる。
全く釣り合わない。
対価に見合わないよ。
だから、僕は影月日を浴び続けるよ。
命を削るためにね。

(蜉蝣は秋になると死ぬんだ。)

The outside is cold.
But I want to feel it all the time for me as the last winter.

(8時28分12秒)

煙草、切れちゃったよ。
買ってきてくれないかな。

blog_3 - 42

音楽室と音符。

Nov 21 2006 06:13:56

カタンと音符が落ちた。
知らないふりをしていたかった。
それほど
執着したくなかったから。
落ちた音符は高い音階に戻した。
音階は夢のとおりに
並べて
遊ぶコードと夏に作ったメロディが
急に流れ出してくる。
音符の端に掴まって
ただ待ってる。
(三半規管は正常ではなかった。)
そのまま、音階を降りて
暗がりを探す。
(見つからないように)
もうどうでもいいという時間になって
音符が動き出した。
音符は自律神経を持っていて
自由に悲しくなることができる。
それに休符もしょっちゅう
やってきて
だから、メロディはすごく遅い。
悲しみを追い越すことができない。
立ち上がって音符を窓に投げつけて
夢と同じ結果を求めた。
けれど窓はつくりもので
音符は高く澄んだ霞のような音を出した。
ふいにピアノがやってきた。
同じフレーズをずっと繰り返して
高い音を出した。
それでひとつ音符が死んだ。
音楽室にはイスがひとつだけあった。
そこに死んだ音符をのせると
空虚がうたいだす。
すべてすべてすべてすべて知りたい、と。
(空虚が本当に知りたいのは輪郭)
そこでピアノは突然転調し
悲しみになった。
自由だった。
音楽室の中はいつも自由だった。
悲しみで満ちてはいたけど。

blog_3 - 41

音も光も影も自由

Jul 29 2006 07:41:41

椅子に座っていた。
黙って夢をみて 目覚めて 夢見て。
ずっと同じ場所にいたことにきづかない。
(それは誰でも同じさ
自由に行き来できるこの世界を
わざと限定して
自分だけの世界の境界をひいた。
どこまでもせまく どこまでも悲しく。
いいから まかせてよ。

               一度忘れていた大切なことは
                 二度目に忘れて 光をなくし

                     三度目に影をなくし

                 四度目に世界から消えた。

また椅子にすわっている自分がいる。
夢を見て 永遠の愛を誓い 愛し合い 
それを自覚していない自分がいる。

  それはすべて椅子の上の出来事。
  それはすべてないもの。
  それは自由。

すべてからの自由。自分さえも消せる自由。
本当の自由は孤独から生まれる。

あした、晴れ。 でも僕は 空をみない。
ぼくは 世界をみおろす。

どこまでも高い せかいのはてから。

blog_3 - 40

火曜日の夕立ち。

Jul 04 2006 02:23:16
 
突然、降り出してくる。

何を持ってきたらいい?)

突然、降り出してくる。

何を身につけていればいい?)

突然、降り出してきた雨は、
砂漠をこえてやってきた。つまり、オアシスの水だった。
そして、ここがオアシスになった。
そして、砂漠のオアシスは消滅した。
かわるかわるかわるかわる。
変化して、鈍化して、酸化して、また
元に戻る。

ああ、濡れてしまうよ。きみ。)

変化したら、何に、、、、、、、

              なる?

ああ、あふれてしまうよ。)
溺れてしまうよ。)
つまり、自分の中に降るオアシスの雨に埋もれてしまって、)
なにもかもが、境目のない自分になってしまうよ。)
そして、いつか、どこかに僕が降る。)
そして、いつか、僕が消滅する。)

火曜日の夕立ち。

blog_3 - 39

浸透して。

Oct 23 2012 19;14;28

真夜中に降る僕は、雨という名前で
きみの目を濡らし続ける。

May 30 2006 03:44:44
 
真夜中に、僕という雨が降る。
たえまなく、ゆっくりと。

   僕がたまっていく。

流れ出していく。 僕という雨が降ったあとに、夢に。
いつか見た、風景が映る。

    僕の海になれ。
 夢のあとに、降った僕は雨で、しかも。。。。

     僕でずぶぬれになった 僕は、  僕で
   あふれている。

   雨で、しかも、夢で、それは、夜の、静かな、通り雨。

          僕という雨がふる。
ゆっくりと、 どこかへ 

   流れ出す。   だから、僕は希薄になっていく。

   雨と僕と水たまりと、憂鬱、そして、鉄でできた魂。

 

    僕という雨が降る。
    あえぐように、叫ぶように、それは、僕以外のどこかへ
    たまっていく。

    僕はそれに、もう出会えない。
    僕が雨で、空で、雲で。そして、眠りの終わりに見る風景。

    忘れていたことも映った水たまり。
    流れ出して消えていく記憶。記憶の土に掘ったあとはないよ。
    埋めたのは、いつだった?

    雨で流されていったよ。
ああ、そうだね。
だから、消えて、僕が降ったあとに、虹がかかる。
それは、僕が降り終わった証。

降って、雨で、それは、僕で。しかも、今日はまだ、夢の七日間。
明日から、流された先を探す旅に出る。
雲に、空に、土に還った、僕を見つけるのは不可能。

だけど、それでも、今夜は、僕という雨が降る。
降り続く。

blog_3 - 38

絶望は簡単にきみが死ぬための理由を用意する。

Oct 16 2012 12:05:25

それは秋で、

(深夜2時、静かにゆっくりと流れ下る灼熱(溶岩)は彼の世界の頂きの一番天空に近いところ、つまり脳内、記憶の溝が深くシナプスの密集度が最大値を示すA10と呼ばれるポイントから産み出される。膨大な数の神経網は上から下へ伸び続け、複雑に交錯し絡み合い末広がりに巨大化し、自己複製ピラミッド型スーパーコンピュータになる。その性能、ベンチマークは現在のスーパーコンピュータの演算速度を三世代は上回る。一番驚くのはその脳内の活動に必要なエネルギーは全て神経網を駆け巡る光に反応して細胞内のミトコンドリアが植物の行う光合成に似たシステムでATPを熱分解し、熱量を自給自足しているということだ。それは国家さえ越える巨大なコングロマリットのように不気味に闇を形成している。そして、この巨大な化け物はひとりの脳内に数百億を越える疑似人格を持ちながら、それぞれが個体としての意識を完璧に管理する。つまり、ここに宿った疑似人格たちはどの個体も、自分が自分自身である、と完全に認識している。そして、その自意識を維持するための膨大な記憶のデータベースを持っている。一体、何故? 彼の脳に何か特別な因子があるのか。何もわかっていない。何もわからない。彼は生まれた時から一度も目覚めたことがない。脳死状態ではない。むしろ、常人より多くカロリーを消費している。脳の活性は高く、発電量も異常に高い。彼はきっと夢を見続けているのだと私は思う。夢というのは体験している間は何時間、何週間と感じたとしても、実時間では1秒ですらない。彼の中にある数百億の疑似人格それぞれが各自毎日個別の夢を見ると仮定すると脳の活性が異常に高いことも納得できる。しかし、これは確かめようがない。何か質問はありますか。(沈黙)
(中略)
特に興味深いのは、(声が裏返る。)
この数百億の疑似人格同士が同じ身体に多数の別の人格の存在をを認識しながら自己としての整合性を保っていることです。いままで観察されてきた多重人格の症例では多重人格は主人格が破綻した結果の逃避行道

(ねぇ寒いよ、窓閉めてくれない)

であると言われてきましたが、彼に関しては全く当てはまりません。彼の中の人格たちはお互いの持つ個性や嗜好を要素に因果関係を派生させながら生態系の基本、エコピラミッドを構築しています。これは重要な点です。彼の最も特異なる性質であり特長です。彼の身体はひとつの世界と言えます。弱肉強食のありふれた世界なのです。これほど変わった特性を持ちながら彼自身をひとつの全体像とするとこの世界と全く変わらない。同じルールで生きています。宇宙と全く同じルールです。そして、その世界を作る個性的な疑似人格たち。すべての人格を自身ひとつに収束しようと全人格を敵として殺し合うもの。7がどうしようもなく好きな男。夢と偽りの中で真実を求める男。世界に裏切られたという理由で世界の果てという国を作った男。恋人に捨てられ、夜しかない世界を生きる闇の女王。(省略)疑似人格の個性の要素となる因果率は無限だよ。あそこを見てごらん。数字の2がどうしようなく好きだというだけでお互いを恋人と呼ぶもの。本当に面白い、そしてくだらない。どうでもいいことだ。(ああ、もういい、この話は長すぎる。省略する。)

追記。
彼の主人格について。
■■■■■■■■■バーチャルワンダーランドの■■■■の中で■■された超最新型アトラクション、シベリアから太陽まで2分で往復する最新型のジェットコースター■■■■■■■過剰に放出されていくカリウムを(忘れたくない記憶)から順番に赤く染めていく。葉は朽ちて赤く舞う豪雪のように美しくあっけない。(反転する。)私は■■?  (すぐに反転。)朽ちる。落ちる葉全てが舞い散る様をを懸命に10本の指と手のひらの動きで演技している。 ■■■■■のA10レセプター■■■■■それ自体思い出すことも■■■何処か、世界中で一番寒い国にしんしんと降り積もる雪のひとひら■■■■■■■■■僕は舞台の真ん中で手のひらをひらひらと翻す。舞い落ちる葉を僕は誰でも気付くようにわざと稚拙に演じた。笑えばいいさ。あれから幾年が過ぎて、もう一度あれを、あの一瞬を演じてみて真実を知った。あの手のひらが翻していたのは朽ちた葉の螺旋ではなく、力尽きて緩やかに落下していく蜉蝣の最後だったんだ。)

28度の気温を正確に計る誰かが
割れたカップみたいに
ぼくの記憶をかたづける

Sep 1 2012 19:33:09

ねぇ聞いてる?

blog_3 - 37

失くした鍵と、気温28度のわすれもの。

May 10 2007 10:47:33

なにも
聞こえない(こわしてしまえ)

真夏日のわすれものは
なんだった?

少しずつ消えていくのが
ぼやける かげろうみたいにわかる

さよなら

いつか なくした鍵は
見つかると思う?

遠い向こうへ
どこまでも行こうと言ったきみを

ぼくは
どこで忘れてきてしまったんだろう

ぼくの脈がとまる
それとも世界が終わる

さよなら

どこかで失くした鍵は
ぼくの心を閉じ込めたまま、誰にも見つけられない

またひとつ記憶が消えていくよ

28度の気温を正確に計る誰かが
割れたカップみたいに
ぼくの記憶をかたづける

そして
さよなら

ぼくはきみを知らない

夢から連絡はないし
ぼくは砂時計を見つめているだけで
なにもできない

切り刻んでやる(血にまみれた手で祈っても無理さ)
切り裂いてやる(それは記憶?)

閉じ込められたぼくは
もうどこへもいけない(行く? ここが終点なんだけど)

ここが最果てだよ

さよなら
もうなにもない(すべて奪った)

蜻蛉になって
きみに切り裂かれよう

殺して
そして
忘れて
閉じ込める

気温28度の水曜日の回想

太陽がくるしいし
悲しかった

(なにが?

気のせいだよ
空虚の宮殿だからね きみは

(もっと傷つけたかった
(もっと切り裂きたかった

さよなら

真白い指で
どこまでも 遠くて

儚くて 知らなくて 微笑んで
(かなしみさえ のこらない)

メッセージをお預かりしています
暗証番号を どうぞ

ぼくは 知らない
なにも おぼえていないよ

メッセージは8月24日までお預かりしています

それ以降は消えてしまいますので
ご了承ください
ご了承ください

(ぶっころしてやる)
いのちのつま先まで 切り刻んでやる

そして?
どうするの?

代謝するだけさ
悲しさ を 空虚 に 行き止まりにさ

(8月24日
(メッセージは削除されました

blog_3 - 36

切り裂いて、永遠に愛しているといった、さよなら。

Apr 27 2007 10:26:34

ある日 ぼくは ギザギザの刃を持ったサカナだった。

何回も切り刻んだし、
何度も切り裂いた。

嘘でもなく、夢でもなく、

超現実的に切り裂いた
(あたり一面が黒くて冷たい深海だ

25638745219605

今までに切り裂いた数、今までに切り刻んだ数。

弱い魂をひとつひとつ並べて
数秒、眺めた後、
やっぱり、切り裂いた。

なんでも切れる。

概念も抽象も
物質以外のものも、切り裂いた。

世界中、切り裂いても
切り裂くものは、そこにあった。

そして、それらは大抵、脆かった。

暖かい気配を感じたら
ぼくは ただ それを切り裂けば良かった。

それに気付いたら 振り向いて、

(こんにちは はじめまして

一瞬で 切り裂いた。

とても簡単だったし、
幸せだった。

あるとき、気まぐれに
一度だけ 切り裂くのを やめた。

振り向くと
深い森のような 真っ暗な 悲しい目をしていて
傘もささずに雨に濡れている少女がいた。

それがまだ
名前をつける前の

さよならだった。

刃は さよならの 1mm前で ひかる。
さよならは ぼくが欲しいと言った。

それから、1年と8ヵ月を一緒に過ごした。
その間、何度も切り裂くことを迷った。

いつも途中でためらった。

(水温が上がってきている
(体温があがってしまう

さよならはいつも笑う。
深い森の目で 笑いながら、言う。

切り裂いてもいいよ。

ぼくは 何度も、何度も、切り裂こうとしたけれど、
途中でやめた。

(強い風の吹く夜に思い出すだろうか?
(あるいは冷たい雨の夜に

7カ月が過ぎた頃、
さよならを切り裂くことを諦めた。

かわりに さよならを切り裂こうとするものを
切り裂いた。

どんな小さなかけらも
切り刻んだ。

さよならはそれ以来、笑うことはなかった。
そして ぼくを憎んだ。

    終わらない闇のような 濃紺の密集した
どこまでも 続く 憎しみのための憎しみ。

(10分後に)
 
さよならは
ぼくの方を振り返り、微笑んだ。

そして、ぼくを切り裂いた。
切り裂かれながら
僕はさよならに

さよなら と言った。

さよならは ぼくに 愛してると言った。
永遠に 愛していると言った。
さらに、

永遠に 憎むとも言った。

(30時間後

僕は深海をすてて 陸にあがった。

ギザギザで作ったリングは
小指にはめた。

(切り裂いた証しに
(切り裂かれた証しに

※さよならがまだ 不幸だった頃のはなし。

blog_3 - 35

シベリア、さよなら、かげろう。

Apr 18 2007 23:47:08

もうすぐ日付が変わる。

そして雨が降って、言葉の意味が失われて
永遠にもう会えない。

シベリアの永久凍土。
あれと同じ。

そこにあるとわかっていても
取り出すことはできない。

闇夜なんだ。
何も見えないだろう。

(冷たい雨が降ってる

忘れてしまった約束は、輪廻と一緒に焼いてしまおう。

僕の命と輪廻を代償に灯をつけてあげよう。
それとも名前をあたえようか。

おまえ。
いまから、おまえの名前は
さよならだ。

さよなら、この世界で
ひとりで泣かずに生きていくんだ。

さよなら
おまえに僕の命と輪廻をあげよう。

永遠
どこかで見ているんだろう。

条件はのんだ。
契約は成立しただろう。

さよならに灯を与えてくれ。

シベリアは沈黙したままだ。
永遠
聞こえているんだろう。
契約を果たせ。

(さよならの手のひらの上に灯がついた。

それを持っていきな。
もう泣く必要はないよ。

灯がおまえを導くから。

永遠
僕はいつ消滅する?

(自分で選びなさい

そお
選んでいいのかい。

(8月24日

それでいい。

永遠
最後のお願いだ。

全ての記憶から僕を消してほしい。

(対価はあるのか?

僕の記憶をやろう。
全てだ。

(雨はだんだん強くなる。

びしょ濡れのシベリアが
呻き声をあげる。

それが合図になった。

僕はなにも知らない。僕は誰も知らない。

さよならはもういなかった。
空白がつづくだろう。

8月24日まで。
(ハッピーバースデー。さよならは26歳になる。

(遠い空の下で、さよならは歩いていく)

灯を片手に持ったまま
空を見上げた。

むし暑い真夏の青空が見えた。
一瞬かげろうが視線をよこぎった。

さよならは蜉蝣を素早くつかむと
羽を引きちぎって投げた。

さよならは落ちた蜉蝣を、踏みつぶしながら歩き続けた。

さよならが通ったあとには
たくさんのかげろうの死骸があった。

さよならは笑う。
かげろうの弱さを笑う。

さよならは優しい目で笑った。
それは幸福の象徴に見えた。

さよならは真白く細い指についた蜉蝣の羽を息をふきかけて払うと
自分が幸福だとやっと気付いた。

ずっと幸福の中にいた。
さよならは綺麗で残酷で幸福。

永遠に輪廻する。

(第824夜)

blog_3 - 34