アスファルトと雨の匂い。

雨が窓を叩く音が聞こえた。
眠りが浅い午前6時、
夢の中まで土砂降りで、
どこかで夏の匂いがしてた。
今日の夢はとても長くて、
目を開けても記憶の壁を越えられない。
だから、現実へ帰れない。

、、、帰れない、、、帰れないなら、それでもいい、
それならもっといい。

このままずっと夢でいい。

雨が降ってた。誰か泣いてた。
君、誰だっけ?

誰、、
誰でもいい。

本当は誰でもいい。
独りならもっといい。

いつか雨が降り終わったら
もう一度、、、

割れた爪。

7月12日、中指の爪が割れた。
不揃いになった右手。
割れた爪を切ろうとするといつもの声が言う。

爪は切るんじゃなくて、
磨くの。

ああ、そうだったね。
君は爪の磨き方とマニキュアの仕方を教えてくれた。
もう使われなくなった黒と朱。
人工的な匂い。
懐かしさに目眩。

塗る?
君の代わりに三秒前の、、、。

黒と朱の交わり。
君と描いた夢。

僕の朱。
君。

君に。

雨の音で目が覚めた。
時計は朦朧としていて正しい時刻を示さない。
朝なのか夕方なのかわからない薄闇の中で僕は君を確認する。
新しい君の空はくすんだモノクロームで
鋭いコントラストに彩られた雲が誰かに微笑んでいる。
いつかどこかで見たような君の後ろ姿。
あの頃の願いそのままに
きっと笑っているから僕はもう君にさわれない。
出逢いと別れの記憶だけを残して僕は逝く。
それだけでいい。
僕はもうそれだけでいい。
記憶は残酷に君を際だたせて
僕は少しずつ欠けていく。
だけどそれでいい。

僕は不自然に願うよ。
君に祝福を。

 

blog - 219

雨の記憶。

雨を愛した君は

雨の中をいつも傘を差さずに歩いた。
髪の毛が濡れて束になって落ちてくるのを嬉しそうにかきあげる仕草が好きだった。
あれは夢みたいだったけど
本当にあったはなし。
あのとき、確かに君は僕の隣を歩いていた。
今はもう見えないくらい遠い未来に行ってしまったけど。
未来に行けない僕はいつまでたっても過去の中を
うろつくしかない幽霊みたいに
不確かに生きる。
君の声が雨音。
君が笑った、あのとき、あの場所なら
何度でも出逢える気がして
僕は未来を早送りする。

水連の消えた日。

そお、あの子がいなくなったの。
僕よりも長く生きられなかったんだ。
何があの子を壊したの?

(君のせいだよ。)

あの子は寂しがり屋だから
きっと泣いてる。
はやく行ってあげなきゃ。

もう少し待っていて。
来年の春にはそこに行くから。
君の好きなお菓子を持っていくよ。
抱えきれないくらい沢山のキャンディーを持って行くから。
そこは冷たくて寒いだろう。
凍えないようにして、待っていて。

君に会いたい。

もうすぐさ。
エイプリルフールにはそこへ行くから。
そうして、また会えたら
もう二度と離れない二人でいよう。
ずっと二人でいよう。

君の思いはきちんと届いたよ。

こんな僕に有難う。
待ってて。
花が散る頃に君の元へ行くよ。
この世界捨てて
君のひかり辿っていくから。

待ってて。
きっと待ってて。

また二人でいよう。
何もない世界だけど二人で一緒にいよう。
小さな君の手を引いていくから。
もう何も怖くない

 

blog - 203

幻に泣く、君。

心が宙に浮いたまま、

心の支えが外れて僕は空へ落ちていく。
君の上、僕は懐かしさで涙落とした。
君の顔、言葉、温もりが
浮かんでは消えた。
もう一度、手を繋いでこの世界を泳いで行けたら
僕は二度と間違うことなく君を抱き締めていけるのに。
きっと、僕の声は届かない。
君の目に触れない。
それなのに指が冷たくなるくらい
君を求めてやまない僕の手のひらに爪をたてて
僕はこの世界の王になる。
夜の夢、君の目を通してみた世界は
君の映す世界は
どうしてそんなに美しいのか。
僕の心は少しずつ減っていく。
最後には綺麗に消えてなくなる世界。
だから、唄って
君の歌声が空を照らす。
僕の望んだ世界で君が笑ってくれたらいい。
晴れ時々雨の世界でも君がいればずっと雨でいい。
どこかで君が見てくれたなら
僕をその心に宿して夢の中でもいいから
一緒に歩いて
この悲しさで満ちた世界に色彩を。
僕は変わってく。
君も変わっていく。
二人の世界が離れていく。
それが嫌なら君だけを夢見て。
静かに眠ればいい。
君に触れている大気が僕とつながっている
それだけを頼りに僕は生きている。
だから、ここから飛び降りよう。
君と一緒に生きた、そんな嘘を抱いて落ちていく。
だから、君の前で僕はいつも嘘つきだった、
真実はいつも空回り
それでも僕は君をずっと見ていたよ。
ずっと一緒。
心の中で僕らずっと一緒だから
なにも寂しくはない。
だから、さよならは言わない。
気がつけばいつも僕は幻だから。

 

 

blog - 199

透明な薔薇。

君を想うたび、僕は壊れていく。
未来までもたない心が儚く、軋んでる。
君をとらえた目の奥で
僕はただ想う。

「君へ、僕はもう届きませんか?」

きっと、もう僕は死んでいて
余った時間が僕を壊していくんだろう。
君をとらえた目の奥で
僕はただ願う。

「君へ、僕はもう届きませんか?」

君の消えた世界で
僕が生きていく理由はなくて
小さな声で
君の名を呼ぶ、
その行為が
既に僕がいなくなった
君の世界で虚ろだ。

君に会いたいと願うことで
僕は残りの世界を受け入れた。
ただ、それだけのために
僕はこの世界を埋めていく。

全てが小さな宇宙で起きた過去だと知っていて
今現在がもう君の香りしかない夢の途中で
僕は目覚める機会を失ったまま
ここで死を待っている。

羽根の生えた僕がいつか
君の元へたどり着いて
君を抱き締めても
君は僕の体を感じることは出来ず、
僕は君の体をすり抜け
世界のはてへ落ちていく。

それならやっとここまで来た僕は
何を糧に生きていけばいいの。

「君へ、僕はもう届きませんか?」

せめて君の綺麗な水晶に
僕の想い映すことができたら良かった。
僕は君をずっと待っている。
僕がもうすぐ終わって
せかい、宇宙から一欠片もなく消えたら
君は泣いてくれるだろうか。
君はきっとそれすら知ることもなく
僕は君が与えてくれた輪廻不在を願いのまま受け入れ
君の世界から永遠に消えて
君はただ時間のままに僕を忘れていくだろう。

それでいい。
それでいい。
君が泣かないならそれでいい。

全ては間違った僕の思惑通りに終えていく。
願いは君の静かな世界を守ること。

それなら、きっとこれでいい。

最後に僕の寂しさに代えて
花束を贈ろう。
見えない深紅の花束を、透明な薔薇を贈ろう。

 

blog - 198

きみのあとについて。

平和な空や低空飛行のグライダーみたいに
風になって飛んで行きたい。

もうここは春で
雪が溶けて砂利と混ざった道路や
桜が散っていたるところ、
踏みつぶされた跡に似た醜さを路程した僕の見える世界は、

君の影に隠れながら
君の寝息に耳立てている。
君は僕に気づかないふりで寝息を絶やさない。

優しい子。

君の言葉が煙草に煙った。
揺れる反響。
固い空気。

流れる赤い血。
眠そうな君。
とぎれた世界をつなげたい。

だけど、遠くに見える蜃気楼に
君をくゆらす煙が混じって僕を少しずつ減らしていく。

削られたあとの僕が降り積もるのは
どこだろう?

削られたあとの僕が降り積もるなら
君の空がいい。

そして、僕が君の髪にそっと触れるとき
僕は君に還る。

ただそれだけのために
生きていければそれでいい。

ただそれさえ叶えばいい。

blog - 188

長すぎる夢の続きは冷たい鬱の壁を通り抜けて。

夢を見た。
赤い空だった。
君と二人、砂浜に座り
何も話さず、ただ手を握って
海を見ていた。
海は青く、小さく波打って
何か知らないものを
砂浜に残しては消えていった。
空に金星が昇る頃
君の名を呼ぶ。
君はこっちを見ない。
君の名を呼ぶ。
君の名?
君の名前は何?
君は誰?

気がつくと
独り砂浜に座り
海を見つめていた。
海は相変わらず遠くなるにしたがって
赤く染まり、
黄昏を演じていた。
僕は濡れた足の冷たさに立ち上がった。

そこで世界が逆転する。
冷たい空が僕を殺すって神様が言ったんだ。

それはいいさ。
久しぶりに夢を見たんだ。
とても素敵な夢を。
冷たい空が落ちてきた。
色彩が暴れている。
君が、君と二人、、、、、

(暗幕が下りる。)

私はあなたを見ていた。
遠くて手は届かないけれど
私はあなたに私の笑顔を届けたくて
懐かしいあなたとの日々を思い出そうとするけど
どうしても思い出せないの。
あなたの名を呼ぶ。
あなたは振り返る。
逆光で顔は見えない。
もう一度あなたの名を呼ぶ。
誰もいない。
もう一度あなたの名を呼ぼうとした。
けれど、
私はあなたの名前を知らない。

あなたは誰?

君は誰?

僕たちは永遠さ。
名前なんていらない。

そうだろう?

 blog - 171