左目で愛してると囁いたさよならの憂鬱。

unambiguousness
[名詞] 接頭辞 un- と ambiguousness の合成語。
[意味] 明白なこと

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24 Nov 2016 AM03:43
by Shiki Watanuki
月の明かりに白く照らされたベッドに仰向けで四季は意識がさざめくのを感じていた。そして、ガラステーブルに置かれたスタンドミラーに目をやると、やはりいつもと変わらず僕を見つめるさよならの目があった。さよならの視線にはいつも誰かに酷く怯えているような何かを怖れているような緊張感があった。そして、その兆候はさよならが歳をとるたびに少しずつ強くなっていった。僕はそんなさよならが愛しいと思いつつも逆に怖れてもいた。僕はさよならがいなければいいのにとさえ思うこともあった。誰だ。これは僕じゃない。僕はこんなこと思っていない。誰かが、僕じゃない誰かが考えた言葉が僕の中に浮かぶ。冷や汗が出て怖くなる。僕はしばらく息を止めたあとに深呼吸をして、少し落ち着いた。そして何もせずにぼんやりしていると、不意にさよならが「今日は私にさせ・・・・・・、」とほとんど聞き取れない言葉を言った。(ここは特殊な作りになっていて、下層に降りていくための階段へ続く長い廊下は壁が全て鏡で出来ていて、鏡同士が何度も繰り返し鏡映りしてどんどん小さく映っていく仕組みになっている。長く続く壁一面張り巡らされた鏡(しかし、これはもう鏡とは呼べない、鏡の機能はすでに失われているのだ。)を一度でも通ったことのある人間なら必ずそこで立ち止まり何かに取り憑かれたかのように映る無数の自分が見えなくなるまで小さくなって、恐ろしさにはっと我に帰る。そんなような少し変わった建物が私たちの屋敷だった。)
ベッドにまた寝転がった四季はタバコに火をつけてゆっくりと昇っていく煙を見つめたまま、今頃になって、さよならが言ったさっきの問いかけに「そうだね」とわざとゆっくり話すように言い、続けて今度は上機嫌そうな早口で「今夜はそうだね、きみがいい、さよならの好きにすればいいよ、全部。僕はもう少しここにいたいんだ。だから行っておいでよ。」四季は話し終えると向きを変えてサイドボードの灰皿に半分吸いかけの煙草を人差し指と中指で丁寧に押し付けて消すと、天井を見上げる姿勢になって、「さよなら、後は頼んだよ。」と言ったあと右の目を閉じた。そしてそれに追いつこうと急いでさよならも左目も閉じた。それが合図になり変容が始まった。私たちは意識の集合体だから何にでもなれるし、本当にはなににもなることは出来ない。だから、何も聞こえないし、何も見えないし、痛くて悲しくて可笑しい。でも、これでいい、ていうか、これが好き、私、こんな冷たくて寂しくて絶望的な気持ちや孤独は全部四季にあげることに決めた。 決めたもん。

24 NOV 2016 AM01:45
by: Sayonara Tsubakitowa
誰もいるはずのない真夜中のビルの屋上の落下防止策の向こうに金色の瞳の少女が立っている。名前は椿永遠さよなら。さよならは祈るように名前を告げた。私の名は四月一日四季、これから死ぬ人の名前です。いつまでもなるべく忘れないでいてあげてほしい。

20 NOV 2016 PM13:28
by: Sayonara Tsubakitowa
私たちは移ろいやすい上に傲慢で本当は私だけでよかったのにといつものように思う。けれど、果たしてそうなのかとも思う。四季は普段はどんなことを考えているのだろう。私たちのような半分の身で何を目的に生きているのだろう。私には椿と永遠が側にいてくれる。私たちが自己意識と呼ぶものは、椿、永遠、私三人が円卓を囲んで一つの意思決定の会議を常に行なっているようなものに近い。実際には出来る兄に頼りきりの妹のようではあったけれど。一瞬の間があって再び目を開けると、目の前に椿永遠さよならがいた。さよならは姉様に頂いた黒い蛇のドレスを着て「ねえ、私姉様に似てる。」と何度も何度もしつこく僕に聞いた。

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投稿者:

暁、闇。 akatsukiyami

アンビエントサウンド、ヘヴィメタル、エレクトロニカ、ノイズなどに教会音楽などを組み合わせて作られる彼独特のサウンドは、ダークで重いマシンビート、繊細で妖艶な旋律、攻撃的なノイズで狂気と安寧、相反する二面性を表現する。オルタナティブ、ヘヴィメタル、ゴシック、インダストリアル、テクノ、エレクトロニカ、クラシック、様々な様式で構築されるコラージュスタイルのサウンドは、彼が考える架空の世界や架空の国の物語からインスパイアされた世界観からイメージされるコンセプトで作られる。彼にとって楽曲を作ることはその世界観から生まれる物語を表現すること。箱庭遊びのように。

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