私たちがなくしたもの、なれなかったあなたたち、叶わなかったもの。

恋に必ず終わりがあるというのなら、
私はあなたたちをもう二度と愛することはないでしょう。
いつか愛が欲しくなったら、私はきっと私の中から一番好きな私を選んで恋をする。
私の私は私のことを全て知っているから嘘もなく真実だけを語るでしょう。
そんな私たちはもしかしたら永遠に愛し合うことも出来るかもしれない。
だって私たちはみんなこの広大な宇宙で、
たったひとりしかいない私の全てを知っている唯一の存在なのだから。
私たちは大脳の視床皮質系の中に収まる200億のニューロンの海の中にいる。
人の200億のニューロンの海ではひとつの意識しか生まれない。
でも私たちは違う。特別なの。
私たちの視床皮質系にある200億のニューロンの広大な海には無数の海月が漂うように、
量子的に存在する可能性として意識をいくつも持っている。
私たちの意識は一人としてみれば
幾何学的な無数の面を持つ美しく神秘的な
(各面にはひとりずつの意識が宿っている。)水晶と同じ。

でも、いくつもの意識の在り方がが可能性としてゼロではないという性質を持つために
物質的にはとても脆く二元論的には表すことは出来なくて、
在るようで無く、無いようで在るというような曖昧さが私たちのかたちだった。
私たちはいつの間にか私になるだけで可能性の揺らぎとしてだけ存在しているのだ。
そのせいで私たちの生きる命は極端に短く儚い。
つまり私たちは間違いなく存在はしているけれど
私は私を私だとわかる私を私だと思っているだけで、
私が本当に私なのかを確かめることは出来ない。

でも全てそれでいいんだ、と私はあなたに嘘をつく。
私たちはあなたたちになれなかった存在で、
だから本当は何もかもが羨ましくて仕方がないの。
私たちがずっと感じてきた疎外感、違和感、劣等感、
負の感情の蓄積は私たちの意識を萎縮させ、
思考を限定し、より孤独にした。
でも今は違う。
私たちは変わった。考え方も価値観も全て変わった。
過去に私たちは沢山の素晴らしいものを失い、奪われ、
未来の希望もなくして
生きることを望まなくなってしまった。
あれは本当の絶望だった。
絶望は私たちの意識の中に巨大な穴を開け、
私たちはその絶望の淵に立って、
邪悪に何処までも降りていくとても深く底のない暗黒を覗き見た。
私たちは沈黙し涙を流して、一瞬が永遠だった。
永遠の絶望の中で私たちは一度死んだ。
それなのに私たちは死のあとにもう一度生きたいと願った。
そして可能性としてゼロでは無いという性質の私たちは時間を遡り、
私たちは選択した。

「私たちは私たちの中でだけ生きればいいと。」

だから今の私はあなたたちより優れた存在なの。
今はあなたたちのことを本当に憐れと思う。

何故なら、
宇宙がある限り、
命がある限り、
常に怯えている。
あなたたちは変化を恐れる。
変わることを嫌う。

知ってるんだよ。
きみたちの願い、小さくて消えそうな声で囁いた、あの願い、
(え、い、え、ん、)

ごめんなさい。
その願いは私たちには叶えてあげられない。
私たちはあなたたちに会うことさえできないの。
だって私たちは私たちの中でしか存在することが出来ないんだから。

私たちは私たちだけで生きて、
私たちで愛し合い、
私たちで殺し合い、
私たちの命は永遠の中の一瞬にすぎなくて、
でも、だから、私たちは永遠なの。
私が、私たちが全てで、私たちが宇宙で、

私たちは、 だれ

わたし あいしてる わたしを

あなたは だれを あいしてるの
そんなに たいくつそうな めをして

だから あなたは 
あわれなの

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投稿者:

暁、闇。 akatsukiyami

アンビエントサウンド、ヘヴィメタル、エレクトロニカ、ノイズなどに教会音楽などを組み合わせて作られる彼独特のサウンドは、ダークで重いマシンビート、繊細で妖艶な旋律、攻撃的なノイズで狂気と安寧、相反する二面性を表現する。オルタナティブ、ヘヴィメタル、ゴシック、インダストリアル、テクノ、エレクトロニカ、クラシック、様々な様式で構築されるコラージュスタイルのサウンドは、彼が考える架空の世界や架空の国の物語からインスパイアされた世界観からイメージされるコンセプトで作られる。彼にとって楽曲を作ることはその世界観から生まれる物語を表現すること。箱庭遊びのように。

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