ギルティエンジェル、切り裂いたら、笑ってよ。

孤独 暗礁 天なる星
何もてもあれ 他ならぬその値とは
我らが布(きぬ)の 白き苦しみ。

Poésis de Stéphane Mallarmé / Stéphane Mallarmé

店内は休日とあってどこの席も混んでいた。
僕の前には誰も座っていない椅子とアイスコーヒーが置かれている。
約束をしたものの僕は誰かに騙されているのではないかという気持ちでいた。
それでも約束の20分前に僕は指定された喫茶店に来ていた。
どうやってお互いを確認し合うのだろうかと僕が尋ねた時、彼女は「私がわかるから平気」と言った。
つまり僕を誰だか知っているということ。
普段いじめられている僕にとってそれはあまり気持ちのいいものじゃなかった。
ただ言葉使いから相手が女の人だということはなんとなく感じた。

僕の試行錯誤を切り裂いて、突然に「お待たせ」と彼女は言って笑顔で目の前の椅子に座った。
佐内茉央がそこにいた。
「君なの?」と僕が呆然として言ったら「そうだよ」となんでもない返事を佐内はした。
「でも、どうして君が何で」と続けて僕が言うと
「うーん、趣味よ、単なる趣味」と佐内はオレンジジュースのストローをかじりながら僕の目を見て言った。
そのあと佐内は窓の外を眺め人の群れを見ているそぶりをしながらオレンジジュースをゆっくりと飲み干すと、
「行こっか」と僕を見て言った。
立ち上がって僕の手を握って「いいから行こう。ここじゃ話せないよ」と僕を引っ張って歩いた。
人通りの多い坂道を佐内に手を握られながら少し歩いて右側に曲がると小道があって
その小道を下ると派手な看板ばかり続く歓楽街で僕は少し恥ずかしかったが
佐内は気にしていないようだった。
そして、急に止まると「ここだよ」とキラキラしたロゴが飾られたラブホテルの入り口を僕の手を握りながら引っ張って入っていった。
初めて見るラブホテルのエントランスをキョロキョロ見回している僕と対照的に空き部屋を何事もなく探している佐内がいた。
佐内は「ここにしよ」と言ってカードをかざすといつの間にかエレベーターが前にあって勝手に開いた。
エレベーターに乗って僕が「どうしてここなの」と聞くと佐内は「こういうところはカメラもマイクもセキュリティ条例を無視して一切付いていないの。だから密談にはぴったりなのよ」と言った。
僕は握られたままでいる手が汗ばんでいないか心配しながら彼女の言ったことを「なるほど」と思った。
部屋の前に来ると佐内が立ち止まって僕を振り返り「私を信じて」と言った。
僕は何も言えずただうなづいた。

公式ブログ用フォト - 1 / 3

投稿者:

暁、闇。 akatsukiyami

アンビエントサウンド、ヘヴィメタル、エレクトロニカ、ノイズなどに教会音楽などを組み合わせて作られる彼独特のサウンドは、ダークで重いマシンビート、繊細で妖艶な旋律、攻撃的なノイズで狂気と安寧、相反する二面性を表現する。オルタナティブ、ヘヴィメタル、ゴシック、インダストリアル、テクノ、エレクトロニカ、クラシック、様々な様式で構築されるコラージュスタイルのサウンドは、彼が考える架空の世界や架空の国の物語からインスパイアされた世界観からイメージされるコンセプトで作られる。彼にとって楽曲を作ることはその世界観から生まれる物語を表現すること。箱庭遊びのように。

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