よく切れるハサミのはなし。

ーおまえの手がぬけたこの胸を滑っても無駄なこと、
さぐってみてもそこは 恋人よ。もう略奪にあった場所
女の爪と 凶暴な歯が 荒らし尽した場所なんだ。
私の心臓を探すのはおやめなさい、もう獣らが食べてしまった。

Les Fleurs du mal LV CAUSERIE / Charles Baudelaire

暗い闇の荊に獰猛に絡みついた巨大な蛇のように
うねりのけぞりながら闇の底まで(どこまでも深き闇の底)それは繋がっていた。
しかし、底と呼ばれる場所はなく、此処(此処とは何処か?)から見える闇の一番深い黒い点の先からのことは何もわからない。
それは螺旋を巻いている形が似ているだけの単純な理由で螺旋階段と僕が呼んだ。階段はついていない。

(この辺で死んでみたくなる気持ちがあるから闇は夜にやってくるのだろう。)

僕は此処で何をしているのか、何をすればいいのか、何をしてはいけないのか、
何処かへ行くのか、ずっと此処にいるのか、そんな抽象的で具体的なことばかり考えていた。
今日は昨日と何が違ったのか、
思い出してみようとしても何も思い出せなかった。
どうして生きているのか、どうして死なないのか、どうしてこんな世界があるんだろう。
この世界を作ったのは僕だ。
それなのに、どうして作ったのか理由も知らない。
作りたかったのか、作りたくなかったけどできてしまったのか、
その合間に、
唇にカミソリを挟みながらいま目に映っているものすべてにタグ付けをして
必要なものと必要のないものに分けてしまわなければいけないような衝動に襲われて
これが絶望なのかもしれないと感じた、と同時に一番最初一つ目にタグ付けをした特に意図なく目に付いたピンク色の何も入っていない小さなプラスチックのピルケースをゴミ箱に投げ捨てた。
そのあとに始まった際限なく続くタグ付けレースの話はいつかどうしようもなく暇なときに書こう。

唇に挟んだカミソリを舌で丁寧に舐めながら感じる絶望は
とても冬に似合うそんな類の冷気を含んだ絶望だった。
とにかくいますぐにでも死にたい。
そんなセンスの悪い死にたさだった。
死ぬときは一番好きな服を着て綺麗に死にたいなんていう気持ちは
タバコ一本の価値もなかった。
そうして目に付いたのがデスクトップのペン立てに入っていた髪を切る用のハサミで、
去年前髪を自分で切るように買った有名なスタイリストなら誰でも使っているブランドの高級なハサミで
改めて手にとって刃で指を軽くなぞっただけで痛みもなく血が吹き出した。
このハサミなら死ねるだろうと考えながら、
何かやり残したことはないか少し考えていた。
そして5分経っても何も思いつかなくて
ハサミを全開にして片方を握れるようにガムテープを巻いた。
刃を頚動脈に当ててたまま、
何も残せなかったけど
やりたいことはいいことも悪いことも全部やったし
思い残すことはないと思って
右手に持ったハサミで思い切り首を切り裂いた。

ぜんぜんいたくなかった
ただくびがすごくあつかった

めをとじてもまっかで
すごかった

公式ブログ用フォト - 1 / 1 (18)

投稿者:

暁、闇。 akatsukiyami

アンビエントサウンド、ヘヴィメタル、エレクトロニカ、ノイズなどに教会音楽などを組み合わせて作られる彼独特のサウンドは、ダークで重いマシンビート、繊細で妖艶な旋律、攻撃的なノイズで狂気と安寧、相反する二面性を表現する。オルタナティブ、ヘヴィメタル、ゴシック、インダストリアル、テクノ、エレクトロニカ、クラシック、様々な様式で構築されるコラージュスタイルのサウンドは、彼が考える架空の世界や架空の国の物語からインスパイアされた世界観からイメージされるコンセプトで作られる。彼にとって楽曲を作ることはその世界観から生まれる物語を表現すること。箱庭遊びのように。

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