ウインターミュート。

あらゆる罠 あらゆる重い罪から私を救い、
私の足を「美」への道へと導いてくれる。
この目は私の召使 そして私はこの目の奴隷。
わが存在のすべてが生きた炬火に服従する。

Les Fleurs du mal XLIII LE FLAMBEAU VIVANT / Charles Baudelaire

ああ、私は寒さに耐えながらあのことだけを望んでいたから、
耐え切れず理性をなくすのは簡単だった。
私はベッドの枕の隣に置いてある白いテディベアに振り返って引き寄せて抱きしめた。
(大好きなルシファー)
そして背中のファスナーをあけて中にあるチョコレートの丸い缶を取り出してあけて中身を確かめると
ますます心が踊りだすのを感じた。
心は早く早くと願ったけれど、私はワザとゆっくり動いた。
ベッドから降りてコンピュータデスクに移って煙草を吸いながら、
マニキュアを塗り直して乾くのを待っていた。
新しいマニキュアは色乗りがとても良くて、唇に爪を軽く当てるともう大体乾いていたけれど
きちんと乾くのを待つために二本目の煙草に火をつけた。
数分後、全ての爪を唇に当てて乾いたことを確かめると、
私は目の前の液晶ディスプレイに向かって自分のアカウントネームを丁寧に言った。
すると真っ黒だったディスプレイがぼんやりと光りはじめてグレイの背景に変わると中心に「ヘヴン」というロゴマークが浮かび上がった。

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コンピュータがそう言うと広い画面全体に淡いブルーのルノワールの絵が広がってその上に沢山のアプリケーションのウインドウが並んだ。
冬は煙草を灰皿に投げ捨て、その上に飲んでいたペットボトルの水を垂らして消した。
それからチョコレートの缶を開けて中から2錠出すとピルクラッシャーで粉にして、
液晶ディスプレイが映り込む鏡のようなガラスデスクの上にまいた。
それを吸ってハイになった私は楽しくて観たかった映画や本を何本何冊と読んで、気がつくと4日が過ぎていた。
冬のクスリ遊びは4週間続いて、体重は10kg減った。
そして、ある日突然、「もういいかなー。飽きたし。」と言って、さよならになった。

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投稿者:

暁、闇。 akatsukiyami

アンビエントサウンド、ヘヴィメタル、エレクトロニカ、ノイズなどに教会音楽などを組み合わせて作られる彼独特のサウンドは、ダークで重いマシンビート、繊細で妖艶な旋律、攻撃的なノイズで狂気と安寧、相反する二面性を表現する。オルタナティブ、ヘヴィメタル、ゴシック、インダストリアル、テクノ、エレクトロニカ、クラシック、様々な様式で構築されるコラージュスタイルのサウンドは、彼が考える架空の世界や架空の国の物語からインスパイアされた世界観からイメージされるコンセプトで作られる。彼にとって楽曲を作ることはその世界観から生まれる物語を表現すること。箱庭遊びのように。

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