無題の絶頂、殺戮のワルツと矛盾のレクイエム。

私たちのベッドには きっと ほのかな匂いがこもり、
長椅子はお墓のように深々として、
見たこともない花が棚に飾ってあるでしょう。
もっと美しい空の下で私たちのために咲いた花が。

Les Fleurs du mal CXXI LA MORT DES AMANTSI / Charles Baudelaire

消えそうになる意識と無意識の境で忘れていたあなたの横顔を思い出した。
意識と云うものはあるようでない、そう私に言ったあなたの横顔を。
赤いソファの前には楕円形のガラステーブルがあって、2つのコーヒーカップが置かれている。
私は沈み込んだ身体を起こしながらコーヒーカップを手に取ってゆっくりと飲んだ。
ねえ、きみ」とあなたが言った。
私は不意をつかれて右側を咄嗟に振り返る。
いるはずのないあなたが隣に座っていた。
これは完全に夢で私は今眠っているのだ、と心に言い聞かせる。
あなたはテーブルに手を伸ばしてコーヒーカップを掴んで私と同じようにゆっくりと飲んでみせた。
これは夢だから今目を覚ませばそれで終わる。
そう思っていながら私は意識を覚醒させることが出来ない。
いや、違う。
そうだよ、これは夢じゃない。」とあなたが言った。
私の無意識の中ではない。
でもここはどこだ。
白い床が何処までも続いている。
天井は無い。
空が青とピンクで夕闇を作っている。
そして、あるのはテーブルとソファだけ。
あと、私とあなた。
ねえ、きみが僕を殺す前に言ったよね。私は死ぬまであなたを愛しているって。
あれって、今も続いているのかい。」コーヒーカップをテーブルに戻しながら,あなたが言った。
こんな現実を作ってまで私はあなたに会いたいと思っていたのか。
こんな寂しい場所を選んで。
私はあなたの方を向いてあなたを見ていた。
私の記憶に有るあなたと全く同じあなたがそこにいた。
幻想でもいいか。
私は今でもあなたのことを愛している。それは死ぬまで変わらない。」
ー暗転
血まみれの私が血まみれのあなたと抱き合っている。
真っ赤に染まった私たちは目を閉じたままベッドに転がっている。
そのまま私は眠った。
目が覚めて見えたものは目を閉じたままのあなた。
あなたが死んでいた。
私が殺した。
理由?
私が殺したかったからだ。
愛していても関係ない。
私はそういう風に出来ている。
だから、私は愛することが大嫌いなんだ。
愛なんて余計なもの無くなってしまえば良いのに。
私は失うたびに黒くなる。
そして闇になった。
私のナイフをよこせ。
皆殺しにしてやる。
ー暗転
僕は何も後悔していないよ。」
きみに殺されたことも含めて全部ね。」
もう泣くのはやめたら。」
愛しているから。」
あなたの手を掴もうとして私の手がすり抜けた。
あなたの声が響き終わると全部消えた。
涙が雨のように顎を滴り落ちて私は悲しみの淵に立っていた。
私はここから飛び降りたい。
悲しみの淵の見えない底まで落ちていきたい。
それが出来ればあなたのところに行けるのに、と思ったところで現実に戻された。
悪趣味な悪戯だ。
私の意識を弄んでいる。
ああ、いいよ。
好きにすれば良い。
どれだけの苦痛を受けたとしても変わらない。

私はあなたを死ぬまで愛している。

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投稿者:

暁、闇。 akatsukiyami

アンビエントサウンド、ヘヴィメタル、エレクトロニカ、ノイズなどに教会音楽などを組み合わせて作られる彼独特のサウンドは、ダークで重いマシンビート、繊細で妖艶な旋律、攻撃的なノイズで狂気と安寧、相反する二面性を表現する。オルタナティブ、ヘヴィメタル、ゴシック、インダストリアル、テクノ、エレクトロニカ、クラシック、様々な様式で構築されるコラージュスタイルのサウンドは、彼が考える架空の世界や架空の国の物語からインスパイアされた世界観からイメージされるコンセプトで作られる。彼にとって楽曲を作ることはその世界観から生まれる物語を表現すること。箱庭遊びのように。

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