凍える真夏のカシスソーダ。

わが妹よ、肩を並べて泳ぎながら
私たちはただひたすらに逃げて行こうよ
私たちの楽園を目指して!

LEVIN DU SOLI AMANTS / Charles Baudelaire

ベッドの中で彼が私の名前を何度か呼ぶ。
私は床の上で膝を抱えながらカシスソーダを飲んでいた。
真夏だと云うのに冷房が強すぎて冬のように寒い部屋だった。
彼が急にベッドから立ち上がって、寒くないの、と言ってクローゼットの中から
黒い上着を出して、着なよ、と私に放った。
ありがとう、と彼に言ったあと、私は立ち上がって素肌の上にそれを着た。
膝の上まで隠れるくらい長くて厚手のニットが素肌に心地よかった。
温かい。
私はさっきと同じように床に座って残りのカシスソーダを飲む。

此処へ来ると時間の感覚がなくなる錯覚に陥る。
窓からの光は黒の遮光カーテンが隙間無く遮断していて、
暗闇を照らすのは4つある間接照明だけ、
此処は何時どの時間でも同じ景色だから時間の感覚が無くなってしまう。
私はこの感覚が好きだ。
吐き気がする外の世界とは全然違う世界にいるみたいな気分になる。
世界の果て、みたいな感覚。

私が初めて彼の部屋を訪ねたとき彼は部屋のドアを開けながら、
ようこそ、此処が世界の果てだよ、と私に言った。
彼自身が世界の果てと呼んだその部屋は雰囲気だけじゃなかった。
私が望んだものがそこにはあった。
ヘヴンがあっても此処にはかなわない。

私たちは世界の果てで冷たい夏を過ごしながら
いつか終わりが来ることを知りながら
私たち二人だけの世界の果てを四六時中狂いながら記録し続けた。
二人だけの最初で最後のOnly This Moment.

ねえ、今でも覚えているよ、私。
約束のこと、覚えてる、ねえ、、覚えてる、語り。
覚えてるといいな。
覚えてるといいな。

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投稿者:

暁、闇。 akatsukiyami

アンビエントサウンド、ヘヴィメタル、エレクトロニカ、ノイズなどに教会音楽などを組み合わせて作られる彼独特のサウンドは、ダークで重いマシンビート、繊細で妖艶な旋律、攻撃的なノイズで狂気と安寧、相反する二面性を表現する。オルタナティブ、ヘヴィメタル、ゴシック、インダストリアル、テクノ、エレクトロニカ、クラシック、様々な様式で構築されるコラージュスタイルのサウンドは、彼が考える架空の世界や架空の国の物語からインスパイアされた世界観からイメージされるコンセプトで作られる。彼にとって楽曲を作ることはその世界観から生まれる物語を表現すること。箱庭遊びのように。

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