18, Mar, 2218, 09;10:27
風が凪いでいる。
時おり激しくジャケットの裾を引きちぎろうとする。
からだが持っていかれそうになる。
僕はいま、超高層ビルの屋上にいる。
普通は入れない。
だから僕はここで掃除のアルバイトをしたんだ。
ここの鍵を手に入れるために。
綾菜、見てる?
やっとここまできたよ。
お待たせ。
今から行くよ。
この手を離せば世界が終わり。
あとは
生きてたい人たちだけで
新しい世界を作ってよ。
僕のいない世界を。
皆バカみたいにいつも笑ってるけど
それを真似するのが本当に辛かったんだよ。
本当ばっかみたいだね。
高所恐怖症なのにね。
あれこれ死に方考えたけど
一番効率がいいのはこのやり方だったんだ。
最後に君に電話しようとしてやめた。
風の音が五月蝿くて話せないって、
それに話すこともなかったし。
もういいよね。
もう手が疲れた。
さあ行こう、綾菜。
世界の終わりが待ってる。
本当に、いいよねこれで。
I died in the end of the world.