死ぬために僕がしたこと。ver.1

18, Mar, 2218, 09:20:20

世界が裏切るなら、僕も裏切る。
そう言い残して僕はこの世界を去った。
つまり、死んだんだ。

空間が揺らいでいるように見える都心を形作るのは
光学迷彩を施して外からは中が透明に見える最新のパターンを施した高層ビル群。
商業、公的機関、オフィス、住居、用途は様々、都心で算出されるGDPはこの国の約80パーセントに及ぶ。
そしてここで暮らしている人々はこの国の人口の1パーセントにも満たない高額納税者だ。
第三次世界大戦後、資源の乏しかったこの国は最大の経済効果をあげるための戦略を押し進めた。
効率だけを優先した結果、有力な人材は都心へと集められ都心は拡大しやがて経済も回復した。
しかし都心への一極集中は地方都市の経済に壊滅的な打撃を与え疲弊させ、地方都市はことごとく滅んだ。
現在、この国は都心だけで成り立っている。この国の人口99パーセントを置き去りに。

20, Mar, 2215, 20:42:20

目を開けて起き上がろうとすると何かが僕の右手を引っ張って邪魔をした。
ふと意識の混濁から目覚め、右手に目をやるとたくさんの透明なチュープが皮膚から伸びている。
そのとき僕は瞬時に悟った。
ああ、またしくじったんだ、と。
優しいボリュームでアラームが鳴っている。
僕の右手を押さえている機械のパネルには僕の生命活動の詳細が記録され続けている。
最新の状況のところに僕が目覚めたことを示すパターンが表示されていた。
僕が初めて自殺しようとしたのは何歳の頃だっただろうか。
少なくても今回を含めて10回は自殺を試みたことになる。
全てしくじってしまったけれど。
高度に医療が発達した現在、自殺することは人を殺すことよりも難しい事実となった。
僕はベッドに倒れ込む。
ああ、なんて嘆かわしいことだろう。
自分の命さえも簡単に捨てることが出来ないなんて。
この言葉を何度となえたことだろう。
少なくても死のうとした数だけはあったはずだ。
そして、僕にはこのあと、大量の向精神薬による治療と26ヶ月に及ぶ心理カウンセリングが待っている。
そのことを思うとさらに憂鬱になった。
僕は天井に映し出される青空を睨みながら、次は飛び降りがいいかな、と呟いた。

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投稿者:

暁、闇。 akatsukiyami

アンビエントサウンド、ヘヴィメタル、エレクトロニカ、ノイズなどに教会音楽などを組み合わせて作られる彼独特のサウンドは、ダークで重いマシンビート、繊細で妖艶な旋律、攻撃的なノイズで狂気と安寧、相反する二面性を表現する。オルタナティブ、ヘヴィメタル、ゴシック、インダストリアル、テクノ、エレクトロニカ、クラシック、様々な様式で構築されるコラージュスタイルのサウンドは、彼が考える架空の世界や架空の国の物語からインスパイアされた世界観からイメージされるコンセプトで作られる。彼にとって楽曲を作ることはその世界観から生まれる物語を表現すること。箱庭遊びのように。

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