28th/December/2006/17:29
シューアラクレムとふっくらしたデブ。
丸の内の地下に似ている。
東京駅まで続く広い道に似ている。
天井はどこまでも高く
壁には涙のあとがしみついていて
両側にあるベンチには ふっくらしたデブがいて
眠りについて 考え違いをしている。
今朝食べた献立について
その献立を思い出せないことについて
アボガドの柔らかさについて
手に持っている シューアラクレム を握りつぶして
手に溢れるクリームを頬張っている。
3日かけて嫌いになったら
もう飽きた と 不在連絡表 が入っていて
(飛び出すカード仕立てになっている。
飛び出してくるのは虹。)
クリームまみれ。
ベンチが1丁目まで延びた。
ふっくらしたデブが眠くて歩けない。
フラフラしながら手をクリームでべたつかせたまま
ベンチで寝てしまった。
デブは寝言がはげしい。
なにもないよ。
なにもない?
きみには眠りがあるよ。
ああ眠りはいいねえ。
けど眠りだけじゃねえ。
なにがたりない?
かどのまるいオーガニックなさあ、
センシティブな僕でも耐えられる夢心地なさあ…。
それは甘い?
たぶん甘いよ。
葉巻の煙みたいに?
高級な葉巻の煙みたいに。
煙かあ。煙はいいねえ。
揺れるのがいいね。
流れていくのがいいねえ。
かたち が ないのがいいね。
消えていくのがいいねえ。
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3rd/March/2015/18:27
吹き飛ばされた記憶の渦。
渦に巻き込まれていく過去や憐憫。
中心では過去の記憶が引きちぎられてばらばらになった。
僕はここで見ているよ。
愛したことも千年先の未来も全部引きちぎられて自由。
言葉の法律が改正されて愛が嘘になる。
憐憫に連れられたさよならが手を振ってさよならと告げた。
つまらなさそうにした小さな兄弟がお菓子をねだる。
悲しみと云う名で彩れた庭園だ、ここは。
遠くに見える観覧車も何処かで見たような形でピカピカと光る。
咲いている花は全部茎を折られて枯れている。
花のように見えたのは茎から流れ出た様々な色の血の乾いた跡。
ここでは全てのオブジェの首が無い。
それは名前を奪われた証。
顔を失った体から名前を推測することは出来ない。
この世界の果てに流れ着いた様々な記憶の跡。
悲しくとも記憶はもう誰のものでもない。
ここに有るのは全て現象と云う時間のレゾンデートル。
現象を砕いて一番小さな単位にした原子の様なもの。
砂の様な粒の形になった流体で様々な形に加工されている。
(誰が作ったの。)
悲しみを忘れないように、
でも痛くないように。
(誰が作ったの。)
バイバイ、
(ここは私の代わりにあなたが作ったの。)