6th/June/2005/01:10
6月6日、君。
雨が降っていた
6月の都心
傘は捨ててしまったから
撃たれていくしかない
秒速300キロメートルで降り注ぐ心の雨の振る闇へ
夏の貴婦人の麦わら
大きなつばのような屋根の下には
大勢の順番待ちができていて
待ちきれなくなった悲しみが
屋根の下から飛び出していく
一瞬だけ
止まったように見える
弾丸のような雨に
彼らは
あたまから
かたから
むねから
うでから
あるときは
新品の革靴から
打ち砕かれていく
走った距離は
うまくいった場合でも
自分の身長よりも短く
その努力の報酬は
生き長らえた時間に比例した痛みだけだ
(形をなくした悲しみは大小さまざまな塊に分解される。
魂をつなぎ止められない程小さくなった塊は誰かに回収されることもなく、そのまま永遠にそこで壊れている)
吹き飛ばされた塊のひとつが転がってきて
足にぶつかって止まった
手にとってみると
それは
すっかり淡くなってしまった
絵の具のようなやわらかい塊だった
塊は
軽くつまむと
「ゆめ」
もう一度つまむと
「ゆめ」
なんどつまんでも
同じ痛みが指に走る
指先がしびれるまで
それを繰り返してから
いっきに握り潰した
手段はどうでもいい
とにかくここから
出なければならない
目の前は
降り続く雨で
10メートル先も見えない
それでも
どうしても
届けたいものがある
朝 雨上がりの水たまりに
ちらばったまま 永遠に壊れていたとしても
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11th/February/2015/18:09
2015年のきみへ
SUEDEのPantomine Horseと
The Stone RosesのI Wanna Be Adoredを聴いてみて、
きっと気に入るから。