Into me.

15th/September/2007/03:11
曇りのち、雨のち、針。

 小さな、とても小さな、規則的な音が部屋を満たしている。
  それは、7つの時計の動く機械音。

   僕の部屋には、7つの時計があって、
 5つは、正しい時間を示し、残りの2つは、
   10分前と10分後を示している。

 形はどれも似たものはない。
    統一性はないけれど、
     どの時計にもアラームがセットしてある。

 アラームは、どの時計も夜中の3時に鳴る。
  起きるためのアラームではなくて、
    眠るためのアラーム。

  アラームが鳴ったら、眠りにつく時間だということ。
 アラームの音色は様々で、電子的な音や、アナログ的な音が
夜の3時になると、一斉に鳴り始める。

 僕は、それを、特に急ぐ訳でもなく、
ゆっくりとひとつずつ、とめていく。(それでも鳴り止まない)

睡眠薬が入っている、クロコダイル模様の青い箱をあける。
   箱の中は、一種のコレクション。
  睡眠効果の強い順に整頓されて、
   隙間なく、いろんな種類の睡眠薬が並ぶ。

 僕は、雨の音が針にかわるのを感じながら、
   一番奥から順番に、シートから薬をはがしていく。

  手のひらが色とりどりの薬で埋まる。
    (少し上を向いて、すべて舌の上に落とす。)

 ゆっくり噛み砕く。

    何種類かの苦さや甘さ、
  すぐに溶けていくもの、固くてなかなか割れないもの。
 最後は、水で飲み込む。それで、おしまい。

   儀式のように、デジャヴのように、
    同じ夜が毎日やってくる。

(では、今日から眠剤を追加しましょう、と頭の中で声がする)

 乾いた中年の女性の声で。
      ぼくの空からは、相変わらず針が降っている。
 針で濡れたからだをバスタオルでふくと
      白かったタオルが真っ赤に染まる。
 日本の国旗のようになったタオルを見ながら、
    涙は、
      あかい、と小さく呟いた。

     虚ろは、何も見つめないまま、
  目を開いて思考を閉じている。

      床が真っ赤に濡れている。
 涙はそれを見て、虚ろがもう帰れなくなっていることを知る。

   遠くに来てしまった。
どこにいるのかさえ、わからない。
 ほんの寄り道のつもりが、戻れなくなってしまっていた。

 揺れる。
  自分が揺れているのか、それとも、地震なのか。
   いまは、訪ねる相手がいない。

     (そんなことは、どうでもいいことだった。)

  時間は前に進み、朝が始まる頃、
 いつものように、バスルームへ向かう。
   新しくなった虚ろが、
    まだ濡れたままの涙を、ガフの部屋から出している。

  針の大きなアナログの時計の針が止まっていた。

     電池を入れ替えて時刻を合わせる。
   数分後に見ると、針は動いていなかった。

  壊れていた。
虚ろは、その時計から電池をはずすと、ゴミ箱へ捨てた。

  予定表に、新しい時計を買う、と書いた。

虚ろのすぐ隣で
 涙が、
    時計は、やっぱり砂時計がいいな、と呟いた。

      遠くに砂の落ちる音を聴いた。
        サラサラと細かな白い砂の落ちる音。

     砂時計がいいなと、虚ろが呟いた。

          4時5分。
            朝のくすりの時間。

             デジャヴのように同じ朝だった。

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12th/January/2015/18:54

暁見ては喉元過ぎて爛れゆく冬、狂おしい性が精を壊す。
夢見ては嘆き、嘆いては夢見、繰り返す様道化のよう。

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投稿者:

暁、闇。 akatsukiyami

アンビエントサウンド、ヘヴィメタル、エレクトロニカ、ノイズなどに教会音楽などを組み合わせて作られる彼独特のサウンドは、ダークで重いマシンビート、繊細で妖艶な旋律、攻撃的なノイズで狂気と安寧、相反する二面性を表現する。オルタナティブ、ヘヴィメタル、ゴシック、インダストリアル、テクノ、エレクトロニカ、クラシック、様々な様式で構築されるコラージュスタイルのサウンドは、彼が考える架空の世界や架空の国の物語からインスパイアされた世界観からイメージされるコンセプトで作られる。彼にとって楽曲を作ることはその世界観から生まれる物語を表現すること。箱庭遊びのように。

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