ミクニとさよならと女の子とラスティ。

28th/September/2007/07:44
罪が描く曲線は、極限まで美しい。(上質なスリランカ産のサファイアのように) 1/2

何かいえばいいのに
傷ついているのはその羽じゃないだろうと嘘つきが言った。
ゆっくりと傷ついているから、気がつかないのだとも。

その脇には承認を待つ罪が玉座が空くのを待っていて、
なにも知らない魂の線だけが
一本の長い影を作っている。

影は何本も重なって広大なストライプを形作る。
永遠というほど長い、
上昇も下降もできない平面的な階段に似ている。

誰に傷を付けたのか、そもそもそれが重要なことなのか
明日の気温のほうが大切に思える。(それは極端すぎます)

時間軸を曲げて 過去に傷ついても
何もいやすことはできない。

それは玉座に座る資格がないということと同義で、
それがわかっている立派な紳士は影の中に埋もれて、
いつのまにか、太陽をもとめている。
しかし、残念ながら、この宮殿からは太陽は見えない。
影ができるのは、暗黙の光りがあるからだ。

語り部が今日も昨日のことのように、未来を語っている。
嘘つきは相変わらず、退屈そうに、影の相手をして、
ストライプの渦を作りながら、その巻かれ方に、
自分に酔っている。

(128秒の沈黙の後)

えん罪がほとんどの中、永久追放者があらわれたことがあった。
もう1000年も前の話だ。
その影は光りを知らずして、永遠に地平をのびた。
誰にも止められない速度で、時間をだまし続けた。
確認のしようがないのだ。
あまりにはやすぎて。
その憂鬱さを確かめる事がだれにもできなかった。

いまの玉座に座っているのは、飾りにすぎない。
(干涸らびた神父)
狂ってしまっているのか、毎日、自分の罪を告白し続けている。
ああ、いつか見つけよう、そして、うちへ帰ろう。
(けれど、そこにはなにもない)
許されると思っていたんだね、けど
逆方向に言葉を発してしまっては、
誰にも理解されることはないし、
いずれにしても誰の興味もひく事はない。
だから、あなたはもう玉座をおりて、
まっすぐに影のひとつになればいいんだ。

わかっているのは、きみだけだ。
すべて、傷ついている。

誰もが、時間をすぎていくのと同じように。
そして、その傷は言葉ほどに、だれかのものではない。
傷は傷であって、影のひとつ、
ストライプのながさ、永遠の一部、捨てられた時間。

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7th/January/2015/19:23

ラスティ、ラスティ、何処にいるのー。
ラスティ、ラスティー。

目の前に飛び出してきた子犬に目をやると小さな女の子が駆け寄ってきた。
子犬は私の足にくっついている。
子犬から女の子に目を戻すと女の子はこちらに駆けながら、ラスティおいで、と言った。
私はしゃがみ込んで子犬の頭を撫でる。
ラスティお帰り、というと女の子の方を向いた。
子犬を抱きかかえる女の子。
お姉さんありがとう、と女の子が言う。
私が立ち上がろうとしたとき、意識が不意に消えてもう一度しゃがみ込んでしまった。
貧血。
少女の体ってこんなものだよね。
お姉さん大丈夫、と女の子が聞いてくる。
私は、ゆっくりと立ち上がって、大丈夫有り難う、と女の子に言った。
女の子は子犬を連れて、お姉さん有り難うさよなら、と言って庭に戻っていった。
私の名前もさよなら、変なの。
早く研究所に戻らなくちゃ。

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投稿者:

暁、闇。 akatsukiyami

アンビエントサウンド、ヘヴィメタル、エレクトロニカ、ノイズなどに教会音楽などを組み合わせて作られる彼独特のサウンドは、ダークで重いマシンビート、繊細で妖艶な旋律、攻撃的なノイズで狂気と安寧、相反する二面性を表現する。オルタナティブ、ヘヴィメタル、ゴシック、インダストリアル、テクノ、エレクトロニカ、クラシック、様々な様式で構築されるコラージュスタイルのサウンドは、彼が考える架空の世界や架空の国の物語からインスパイアされた世界観からイメージされるコンセプトで作られる。彼にとって楽曲を作ることはその世界観から生まれる物語を表現すること。箱庭遊びのように。

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