虚ろとアンブレラ。1/3

2014-03-31 05:31:59

ミスー、ここにあった青色の錠剤知らない-?

捨てたよ。

えええ、どうして-?

いいから早く出る準備をして
あと5分も持たないのよ。

わかったよ。
そのとき窓の外に大きな光を見た。
アンブレラ、ドアから離れて。
叫んだときには爆発音がしてアンブレラは中央のテーブルまで
吹き飛ばされていた。
アンブレラの元へ走ろうとしたけど
部屋の中は既に武装したグループに制圧されていた。

僕はあたまを押さえつけられ首に注射をされて、
アンブレラの方を向いて名前を呼びながら落ちていった。

次に目覚めると真っ白な壁と真っ白な床、それに真っ白なパジャマで
窓のない広い場所にいた。
それから5分後に誰かがやってきて
今までの経緯を僕に聞いた。
僕はただアンブレラと一緒に旅をしていたのだと言った。
それ以外でもそれ以上でもない。それよりアンブレラは何処?
青い錠剤持ってない、と聞いた。タバコでも欲しいと付け足して。
けれど、それは全て無視されたらしい。
僕はアンブレラのことを聞いた。
だけど、こちらからの質問には何も答えないみたいだった。
僕はアンブレラが心配でどうにかこの部屋から逃げ出したくて
部屋にある端末からこの建物の情報をハッキングした。
僕はクスリが切れてきていて
頭がぼんやりする中を頭を殴りながら
意識を保とうとするのに必死で
モニターカメラで監視されてるなんてすっかり忘れていた。
今までずっとそうだったのに。
僕はアンブレラの部屋を見つけた。
部屋があるということは
少なくてもまだ生きているということ。
僕はバスルームに入って鏡の前で
自分の目を見つめる。
見つめているとゆっくりと髪型が変わり
目の形も次第に変わった。
語り、なんとかしてアンブレラとここを一緒に出たい、そう言った。
無理だ、鏡の中のもう一人の自分があっさりと答えを出した。
でも、どうにかしてアンブレラに会いたい。そう僕は言う。
ここは独立した研究施設で完全武装した部隊がいる。
お前ひとりで何が出来る。と語りが言った。
だから、語りを呼んだんだよ。
僕を呼ばれてもこの状況は変えられないよ、虚ろ。
どうしよう、語り。
取りあえず、ここは様子をみるしかないな。
お前は研究対象で大切な存在のようだから殺されたりしない。
多分アンブレラもお前のために利用価値が在ると思っているから殺されたりしない。
青いクスリが欲しいよ、語り。
青いクスリが欲しい。
泣きながら僕はずっとそれだけを繰り返していた。

2014-03-31 23:05:24

虚ろはベッドに寝ていて点滴を打っている。
散漫で意識が集中出来ない。
ぼーっとしている間に僕は夢を見てた。
それはアンブレラが撃たれた夢。
アンブレラに近寄ろうとしたのにあいつら引き離したんだ。
血が沢山出ててアンブレラが死ぬんじゃないかって心配で鼓動が速くなった。
どうして僕達を静かにしてくれないんだろう。
きっとこの目が原因なんだろうな。
アンブレラを巻き込むことなかったのに、
僕はアンブレラが逃げてって叫んだ言葉が頭に残ってる。
しばらくすると彼らがアンブレラと一緒にやってきた。
僕はアンブレラに大丈夫って近寄って
でも、アンブレラが近寄らないでって言った。
聞き間違いかと思った。
アンブレラ、どうしたの?
あなたは第一級クランケ、明日から
研究を再開します。
アンブレラ、どうしちゃったの?
いつもと違うよ。
どうしちゃったの、アンブレラ。
私はこの研究施設の責任者なの、今後は先生と呼びなさい。
ここに青いクスリと赤いクスリがあるわ。
好きなだけ飲んでいい。
鏡は外していくわ。我慢して。
血圧も脈拍もモニターし続けてる。
あなたの名前、虚ろ、っていうのね。
変わった名前ね。
これから忙しくなるわよ。
今夜はゆっくり休んでおきなさい。

そういって彼らは帰っていった。
アンブレラが違う。
あれは違う。
何かされたのかな。
急がなきゃ。
アンブレラ、もう一人は嫌だよ。
涙を流しながら虚ろは青い錠剤を噛み砕いて
体がだるくなると
ベッドに寝転がって
泣きながら笑った。

2014-04-04 21:29:10

虚ろって名前珍しい。
懐かしい気もする。
誰だろう。
クランケを気にするなんて馬鹿げてるわ。
鏡に映った私の目から涙がこぼれた。
虚ろ。
私の?
わからない、何この感覚。
虚ろと言ったあのクランケは私を知っていた。
初めて会ったのに。
どうして、
私は何も思い出せない。
でもあの人を思うと涙が流れる。
なにもわからない。
悲しい気持ちで一杯の私は
青い錠剤を取り出して
口に投げ入れると噛み砕いて飲んで
泣きながらまた笑った。
同じことを繰り返してると
なんとなくわかった。
笑いながらテーブルを思い切り叩いて
誰にも聞かれない部屋で
虚ろ、と叫んだ。
私にはまだなにもわからかったけれど。

2014-04-05 20:59:33

目隠しと拘束具に縛られていた。
毎日アンブレラはここに来て僕に質問をする。
例えば、青いクスリを飲んであなたは何を感じるか、とか
そんなこと今まで散々アンブレラは僕を見てきたことなのに
全部初めての出来事のように記録し続けていた。
もしかしたらアンブレラの中身はもう別のものになっていて
本当に僕のことを知らないのかも知れない。
でも、どうしてそんなことになったのか
全部この目のせいだ。
僕はこの目を使って鏡伝いに中の人格と話をする。
それは特別なことだって知ってる。
だからどうやってそれが出来るのか知りたいのだろう。
そしてそれを効率よく研究するために
アンブレラの形が必要なのかもしれない。
全部僕の所為なのだと思って
今は目隠しも拘束具も外されたこの部屋の中でだけの自由で、
僕は青い錠剤をつかみとって5、6錠噛み砕いてコーラで流し込んだ。
3秒後、身体中に大量の電気が走り出す。
身体の中の心が笑い出す。
あははははははは。
どうでもいいや。
あははははははははは。
アンブレラ-、僕はまた壊れるよー。
目が熱くて体中の神経が敏感になって
くすぐったくて仕方ない。
誰かー、セックスしようよー。
誰かー。
誰かー。
誰かー。
アンブレラー。
僕はベッドの上に寝転がって泣きながら
アンブレラの名前を呼び続けた。

2014-04-09 11:44:31

アンブレラの手を繋いで駈けてゆく。
自動で閉まっていく隔壁を僕の目が開けてくれる。
息を切らしながら最後のドアを開けると
銃で武装した兵隊に囲まれた。
真ん中のスーツの男が言う。

二人で死ぬかい。

僕ら二人抱き合って死んだ。
僕はその光景を俯瞰から見ていた。
そして、僕は全て終わったあと
みんな殺したんだ。

目が覚めると夢のせいか
目元が濡れていた。
夢の中の僕は二人が死んでから
みんなを殺した。
どうして二人が死ぬ前に助けなかったんだろう。
アンブレラは今日も相変わらず冷たくて
何もかも忘れてしまっているみたいだった。
僕は診察中に泣き出してしまって
安定剤をうたれた。
それで涙は収まったけれど
悲しい気持ちには変わらなかった。

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投稿者:

暁、闇。 akatsukiyami

アンビエントサウンド、ヘヴィメタル、エレクトロニカ、ノイズなどに教会音楽などを組み合わせて作られる彼独特のサウンドは、ダークで重いマシンビート、繊細で妖艶な旋律、攻撃的なノイズで狂気と安寧、相反する二面性を表現する。オルタナティブ、ヘヴィメタル、ゴシック、インダストリアル、テクノ、エレクトロニカ、クラシック、様々な様式で構築されるコラージュスタイルのサウンドは、彼が考える架空の世界や架空の国の物語からインスパイアされた世界観からイメージされるコンセプトで作られる。彼にとって楽曲を作ることはその世界観から生まれる物語を表現すること。箱庭遊びのように。

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