僕は、壊れる。

Oct 16 2012 12:05:25
それは秋で、
(深夜2時、静かにゆっくりと流れ下る灼熱(溶岩)は彼の世界の頂きの一番天空に近いところ、つまり脳内、記憶の溝が深くシナプスの密集度が最大値を示すA10と呼ばれるポイントから産み出される。膨大な数の神経網は上から下へ伸び続け、複雑に交錯し絡み合い末広がりに巨大化し、自己複製ピラミッド型スーパーコンピュータになる。その性能、ベンチマークは現在のスーパーコンピュータの演算速度を三世代は上回る。一番驚くのはその脳内の活動に必要なエネルギーは全て神経網を駆け巡る光に反応して細胞内のミトコンドリアが植物の行う光合成に似たシステムでATPを熱分解し、熱量を自給自足しているということだ。それは国家さえ越える巨大なコングロマリットのように不気味に闇を形成している。そして、この巨大な化け物はひとりの脳内に数百億を越える疑似人格を持ちながら、それぞれが個体としての意識を完璧に管理する。つまり、ここに宿った疑似人格たちはどの個体も、自分が自分自身である、と完全に認識している。そして、その自意識を維持するための膨大な記憶のデータベースを持っている。一体、何故? 彼の脳に何か特別な因子があるのか。何もわかっていない。何もわからない。彼は生まれた時から一度も目覚めたことがない。脳死状態ではない。むしろ、常人より多くカロリーを消費している。脳の活性は高く、発電量も異常に高い。彼はきっと夢を見続けているのだと私は思う。夢というのは体験している間は何時間、何週間と感じたとしても、実時間では1秒ですらない。彼の中にある数百億の疑似人格それぞれが各自毎日個別の夢を見ると仮定すると脳の活性が異常に高いことも納得できる。しかし、これは確かめようがない。何か質問はありますか。(沈黙)
(中略)
特に興味深いのは、(声が裏返る。)
この数百億の疑似人格同士が同じ身体に多数の別の人格の存在をを認識しながら自己としての整合性を保っていることです。いままで観察されてきた多重人格の症例では多重人格は主人格が破綻した結果の逃避行動
(ねぇ寒いよ、窓閉めてくれない)
であると言われてきましたが、彼に関しては全く当てはまりません。彼の中の人格たちはお互いの持つ個性や嗜好を要素に因果関係を派生させながら生態系の基本、エコピラミッドを構築しています。これは重要な点です。彼の最も特異なる性質であり特長です。彼の身体はひとつの世界と言えます。弱肉強食のありふれた世界なのです。これほど変わった特性を持ちながら彼自身をひとつの全体像とするとこの世界と全く変わらない。同じルールで生きています。宇宙と全く同じルールです。そして、その世界を作る個性的な疑似人格たち。すべての人格を自身ひとつに収束しようと全人格を敵として殺し合うもの。7がどうしようもなく好きな男。夢と偽りの中で真実を求める男。世界に裏切られたという理由で世界の果てという国を作った男。恋人に捨てられ、夜しかない世界を生きる闇の女王。(省略)疑似人格の個性の要素となる因果率は無限だよ。あそこを見てごらん。数字の2がどうしようなく好きだというだけでお互いを恋人と呼ぶもの。本当に面白い、そしてくだらない。どうでもいいことだ。(ああ、もういい、この話は長すぎる。省略する。)
追記。
彼の主人格について。
■■■■■■■■■バーチャルワンダーランドの■■■■の中で■■された超最新型アトラクション、シベリアから太陽まで2分で往復する最新型のジェットコースター■■■■■■■過剰に放出されていくカリウムを(忘れたくない記憶)から順番に赤く染めていく。葉は朽ちて赤く舞う豪雪のように美しくあっけない。(反転する。)私は■■? (すぐに反転。)朽ちる。落ちる葉全てが舞い散る様をを懸命に10本の指と手のひらの動きで演技している。 ■■■■■のA10レセプター■■■■■それ自体思い出すことも■■■何処か、世界中で一番寒い国にしんしんと降り積もる雪のひとひら■■■■■■■■■僕は舞台の真ん中で手のひらをひらひらと翻す。舞い落ちる葉を僕は誰でも気付くようにわざと稚拙に演じた。笑えばいいさ。あれから幾年が過ぎて、もう一度あれを、あの一瞬を演じてみて真実を知った。あの手のひらが翻していたのは朽ちた葉の螺旋ではなく、力尽きて緩やかに落下していく蜉蝣の最後だったんだ。)

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投稿者:

暁、闇。 akatsukiyami

アンビエントサウンド、ヘヴィメタル、エレクトロニカ、ノイズなどに教会音楽などを組み合わせて作られる彼独特のサウンドは、ダークで重いマシンビート、繊細で妖艶な旋律、攻撃的なノイズで狂気と安寧、相反する二面性を表現する。オルタナティブ、ヘヴィメタル、ゴシック、インダストリアル、テクノ、エレクトロニカ、クラシック、様々な様式で構築されるコラージュスタイルのサウンドは、彼が考える架空の世界や架空の国の物語からインスパイアされた世界観からイメージされるコンセプトで作られる。彼にとって楽曲を作ることはその世界観から生まれる物語を表現すること。箱庭遊びのように。

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