牡丹灯籠。

言葉より愚かな目が言う。
「あなたの心に三重の鍵をかけたい。」と。

blog_2 - 205

夕食のあとで、散歩に行きましょう、ときみが言った。
部屋を出て目的地もなしに歩き出すと
街灯が僕らをよけるように脇に早足で去っていった。
実際、僕は彼女のことなんて気にしていないくらい早歩きだったと思う。
いつもの病院へ抜ける道を歩いた。
その近所には大きな公園があって、
そこは今の部屋に移る前に住んでいた家の近くだった。
僕は以前の家を引っ越してから一度も見ていない、というより見たくなかった。

前に住んでいた家を見に行かない、と彼女は言った。
僕は行きたくない、と答えて、彼女の手をつかんで公園へ向かった。
本当は、公園にも行きたくなかった。

7ヶ月前ー
夜の公園で僕はブランコに乗っていた。
隣には違うきみがいて、その日はその子の誕生日だった。
あの日、彼女は家にいて僕を待っていた。
なるべく早く帰るつもりだったのに残業がのびて
帰りの駅を降りて家に着くと23時すぎてた。
玄関を開けると、間に合ったね、とリビングから顔を出した彼女は笑った。
僕はそのまま靴を脱がずに出かける準備の済んでいた彼女を連れて
公園近くのレストランに行って、
小さな花火がロウソクみたいにのっているケーキを二人で食べた。
花火じゃ吹いても消えないね、ときみは笑って
花火が消えるまでずっと見てた。
そのあと夜の公園を歩いてテニスコートの横にあるブランコを見つけると
これにのりたい、と彼女が言うから二人でブランコをした。
彼女とはそれきり会ってない。

僕らは公園を歩いた。
僕は林の中で空を見てた。きみがいたのに無視して空だけ見てた。
二人離れてお互い見えない位置から、同じ空を見てた。

そして、きみは、一つの終わりをあなたにあげるわ、と言った。

もうここにいないきみへ、いまここにいるきみから
さよならを僕は告げられた。
冷たい空気が頬を撫でる夜だった。
帰り道にレストランに寄ってケーキを食べた。
きみは花火が消える前に花火をはずして
これ、食べにくい、と笑った。

投稿者:

暁、闇。 akatsukiyami

アンビエントサウンド、ヘヴィメタル、エレクトロニカ、ノイズなどに教会音楽などを組み合わせて作られる彼独特のサウンドは、ダークで重いマシンビート、繊細で妖艶な旋律、攻撃的なノイズで狂気と安寧、相反する二面性を表現する。オルタナティブ、ヘヴィメタル、ゴシック、インダストリアル、テクノ、エレクトロニカ、クラシック、様々な様式で構築されるコラージュスタイルのサウンドは、彼が考える架空の世界や架空の国の物語からインスパイアされた世界観からイメージされるコンセプトで作られる。彼にとって楽曲を作ることはその世界観から生まれる物語を表現すること。箱庭遊びのように。

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