揺れる意識とジレンマの構造主義。

※まず初めに、現在の僕はこの世界の現象をフラクタル感情論理と生物構造主義生物学という立場を支持し知識を得ています。

生物は個である自己の内部と他である外部の空間とを細胞膜によって隔て、
代赭しエネルギーを循環させる、生命活動を行う場としての特別な空間である。

そしてこの世界とは、自己の外部である非自己の空間全てであり、物理的法則に従っている空間である。

哲学は宇宙とは何の関係もないし、反論する人がいるとして人の生きるのいう意味とはその人自身の掲げる個人的な生きる理由でしかないのであって、それは他との同一性を得れない故に、生物の本能的生存の動機ではない。犬も、猫も、人間も同じ哺乳類だけれど、犬は生きたいから生きているのではなく、生きているから生きているのであり、それは猫も人間も同じである。人間だけが唯一脳が高度に発達し自己意識を持つ高等生物になっているとしても、生命や物質、この世界に存在するものすべての存在の意義、それは存在することそのものである。ただし、存在する意義と生存する意義は別である。

遠回りになりましたが知りたいのは、自然の法則や本能的意味ではなく、もっとシンプルな答え。
全ての人間に共通する生きるための理由はありますか?

>boogieman_102
厨二乙

>shimajyun
何もかもに意味を持たせるのは人間のエゴです

>Johnwicker
そもそも仮説に意味などなくそれ以前に宇宙等物自体が仮説です。宇宙があって地球があって我々人類が存在し生かされているではなく、人の情報処理能力があるおかげで宇宙もまた人に存在し生かされています。犬や猫には人並みの観測力、情報処理する能力はないので宇宙というものは存在していません。

>sukedachi_man
深すぎるよね、謎すぎるよね。

>琥珀@ちょっとだけ犬が好き
その意味を研究することに、なんの意味があるかもわかりません

>yumejinsei
とりあえず、瞑想しよう

>冷酷無比じゅんじゅん
意味などない。それは人間が考える脳を持つが故に意味を求めているだけのこと。

>NIYA
それは神の領域だ。

>Naoto_mana
あくまで説であって、誰も真実を知らない

>evermind
それを理解したとして、あなたの今後生きていく上で有意義な生き方ができるのですか?

>jjjjjjjj__666
質量保存の法則

>なお
人生論ですかー?☺️

>Nov/lock
意味はないと思いますよ。単なる現象のひとつです。

>alice
想像主の意思かと思います。

>工藤けんけん
意味あるんじゃねーのーー、それがわかればノーベル賞取れるよ、きみ!

>miya
自然の原理。

>

10:58:41: 30 October 2016

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1 (23)

終わってはじまり、そして、また終わり、続く。「unambiguousness」

ずっと長い間、見えないものについて書いてきた。
見えないものが欲しいという道化の話や
透明な蜘蛛の話、
希望や絶望、悲しみや愛しさ、
約束や世界の果て、
夢、死、
数え上げればきりがない。

そして何よりも抜きん出て多く使った
今としては最も退屈な言葉、

「永遠」

季節が秋から冬へ変わるように
僕もまた全く違う新しい自分へ変化する時期が来た。
ただし、僕は季節のように巡りはしない。
元に戻ることもない。
新しい僕はいつでも常に新しい。
新しい自分になりまずなにをしようか。
そうだ、一つ重要なことを宣言しようと思う。
初まりに相応しい。

耳を澄ましてよおく聞いて、
ちゃんと聞いてる、
今はとりあえず全ての作業を中断して、
この宣言だけに集中するんだ。

きみやきみ、そこのきみも、手を止めて口を閉じて、
じゃあないと一生聞き逃したことを後悔することになるんだから。
ベッドの中で肘をつきながら
枕を台にしてiPhoneをこつこつとせわしなく叩いて、
次の展開を考えながら、
喉が渇いてしかたのない僕は
我慢しきれずにベッドから這い出して
テーブルの上から青いタンブラーを掴んで
一口くちにして、温いと思った。
本当は冷たいものが欲しかっただけど
階段を下りるのも面倒だし
とりあえず喉の渇きは収まったのだから、
諦めてまたベッドに潜り込んで
同じ体勢でiPhoneをこつこつと叩き続けた。

ねえ、きいてる、
さっきの話に戻るけど
宣言の話、
あれまだ言ってなかったよね。
一番大切なこと忘れるところだった。
僕の悪い癖だ。
それでは、宣言しよう。

僕は、もう見えないものについて、

書くことはやめる。


宣言、終わり。

次に会うときはどちらかが、死ぬときだね。
そのときだけは、宣言を破ることを許す。
きみに捧げる涙や祈りについては
偽物だけどちゃんとあげる。
午後19時も使えないのは不便すぎるな。

え、わかってるよ。
そう言うと思ってた。
そうだよ、特別文章に飽きたわけじゃないさ。
これからも物語は書くよ。
真っ赤な空の黄色い海の物語を。

天蓋が降りて、
一夜が二夜へ変わる。

先ほどの目つきから明らかに変わった目でふわりと笑う。
時間がゆっくりになって伸ばされて縮む。
暗闇の中心から階段が生まれて
上からゆっくり階段を降りる音がする。
カツンカツンと靴音を闇へ響かせながら降りてくる。(誰が?)

主人が。

僕から僕へと変わる。
新しい僕の名は、

00:32:57 30 October 2016

僕の名前は、四月一日四季と申します。
右目が言った。
そして、私が椿永遠さよならといいます。
左目が言った。

そのからだの両の目があちらこちらを忙しく移動していたが
突然目を閉じて、再び目を開けると瞳の色が金色に変わっていて
表情が女性特有の仕草を帯びて小さく笑った。

次は私が話します。
またいつか機会のあるときに。

若い女の声がそう言うと意識が消え、
それとともに傍観者であった私たちもこの場所から追い出され
仕方なくそれぞれ自分の世界へ戻された。

そして、ときが、とまる、

0:41:58 30 OCTOBER 2016

1 (22)

私が存在する限り、死は存在せず、死が存在する限り、私は存在しない。

此処に来たばかりの私は言葉というものを知らなかった。
それに本物の人間を見るのも初めてだった。
私は人ではない。
生涯単体で生きる私にとってコミュニケーション能力は必要がない。

私は人ではない。

猫がいた。
私は言葉を話せるようになるまで猫と同じようににゃあにゃあ鳴いて猫とだけ話した。
猫は少しまだらのある綺麗な灰色をしていた。
私は人の形をしているけれど、中身は全く性質の違う生物で、
もしかしたら生物ですらないかもしれない。
生命ですらないかもしれない。
私は不安になって地面に座り込み、手近に落ちていたハンマーと小さな細い釘を拾って
左足のつけねに彫られた詩のフレーズの一文の最後の文字の下にハンマーで釘を打ち付けた。

いたい。
とてもいたい。
でも、わからない。
ここはどこ、

気がつけば私は海の底にいる。
息をしていないのに
苦しくはない。
やはり私はひとではない。
では私とはなに。

美しい黒い目、綺麗なカーヴを描く長い睫毛、
そして、左足に彫られた詩のフレーズに打たれた釘のピリオドが私を証明する。
(As long as I am, death is not, and when death is, I am not.)

世界の終わりで私が見たものは15世紀を完璧に模倣した演奏会。

初まりの曲は「武器を持つ人(Missa L’homme arme sexti toni)」。
舞台の中央には石造りの十字架が鎮座する。
誰もが演奏に見入っている中、
私は孤独でたったひとり息が苦しくなって、
ひざに頭をもたげ発狂しそうになる。
わたしは「これは夢」と呟いたあとバッグから注射器を出して足首に刺した。
それで私はやっと自分に戻る。
そして束の間、演奏の途中、胸ポケットの中の携帯が派手な音でホール中に響き渡った。
それまで熱狂的に演奏に集中していた観客の全てが私を憎しみの目で一斉に見る。
私を憎む何千という目が私を磔にする。
それは比喩だけれど、実際に私はもうこの夢の恐ろしさにまいっていて、
正常な感覚をなくしていたから、ただ怯え目を閉じるしかなかった。

指揮者の手が止まった。指揮者は手を下ろす。
そして首が古い回転人形の錆びた歯車のような動きでゆっくりと不自然な形で真後ろを向いた。
指揮者は首だけを後ろに向け、金製のタクトを私に指し「Merci!」と叫んだ。
ポンパドゥール夫人とデュ・バリー夫人が貴賓席から拍手すると皆が一斉に拍手しホール中が熱狂したあらゆる私で満たされる。
幼い私が席を立ちか細く話す。
「これは、ぜんぶ、わたし、わたし、わたしだけ、ここにはわたししかいない」
そうよ、みんな私なんだ。

「だから私はずっとひとりでいたいのよ!」

此処が何処なのか私は知らない。
それに本当は知っていたとしても、教えたりしない。
それに知る必要もない。
それを知るのは当事者である私だけでいい。
ここにいるのは私だけでいい。

1 (21)

儚さを夢を嘘を永遠を隠す。そして、新しい私。

いやなんです
あなたのいつてしまふのが――

花よりさきに実のなるやうな
種子たねよりさきに芽の出るやうな
夏から春のすぐ来るやうな
そんな理窟に合はない不自然を
どうかしないでゐて下さい

(智恵子抄・人に/高村光太郎)

冷たい温度は、悲しみの記し。その中に言葉を埋め閉じる。
温度はここから先にある全ての保存則に従い、円を描く。
それが運命の輪。
決して変えることのできない絶対不変の現象。
言葉がそこに意味を与える。

「これは夢の話ではないよ。」と椿が言った。

小さなさよならを連れた椿が「ほら、さよなら、やっておいで」というと、
恥じらいながら小さな声で言う。
「私は無力で、無知で、弱い。
まだ小さなこの身では女としての価値もない。
私はそれでもりょうの足で地に立って空を仰ぐ。
なにも変えることのできない自分を、
変えるための自分殺しを行う。
私はこれから一度死にます。
花を飾る隙間があれば救えたものを、
きみはどうして、手を離したの。
この記憶は私のじゃない。
誰。
私に入らないで。
私は今から死ぬのだから。
本当に愛していたの、
愛していたのに出来なかったの。
きみには無理が多すぎる。
だから、愛想を尽かされる。
救いようがない。
自分の中身が空っぽだということに気づけず、
宛先のない手紙はどこにも届くことはない。
手紙の中身さえ、
なにも書いてないただの白紙の紙なのだから。
ただ名前を呼ぶことさえ僕は躊躇った。
きみの名前を僕はたった一度も呼んだことがない。
本当は一番呼びたかった名前だというのに。

わたしのきおくから、
きえて
わたしはもう、
しのなかにいる、
はやくにげて、なかのひと、

椿がさよならの手をひいて、
霧の中に消える。

私は椿の手を離さずに椿に問う。

「椿、私は新しい?」
「私は新しい?」

「うん、新しくて素敵だよ、
さよならは大人になったね、とても綺麗だよ」
椿がさよならを見つめて褒めた。

私は私の中に新しい私を作った。
それは私の王国そのものだった。

さっきのひとは、
どうなったのかな、
しらないひとだけど、
なつかしい、
どうして、
なみだかでるの、
わたしないてるの、
どうして、
どうして、
どうして、

1 (20)

つばきのあしおと、

みにふりかかる、ひのこを、ひだりてでしりぞける、
ひのこをあびた、てのひらには、むすうのけろいどが、うかび、
いたみは、のうかくを、きょうりょくにしげきし、
いっしゅん、わたしはときをうしなう、
いたみに、しんけいが、しゅうちゅうしすぎたせいで、
ほかの、じょうほうが、しょりできずにいる、
それほどに、ひのこをあびた、てのひらは、つよく、いたんだ、
みためから、そうぞうするいじょうの、いたみで、わたしはきをうしなう、
そして、めをあけると、そらが、あおかった、
とても、かなしいくらい、あおかった、
もう、しんでも、いいとおもった、
(ああ、そうだね、もう、しんでも、いいんだった、
いつのまにか、わすれていたよ、)

ほんとうにばかだね、

1 (19)

かたちのないわたし、さよならの接吻、

冷酷な告白よ、私の願った未来、恋人への接吻は、
たった9つの文字で無に帰った。
今や闇を照らす蝋燭さえも消えかけ、
最後の揺らめきを楽しんでいる。
私はそれをただ見つめていただけ、
何もせず何もできず、あなただけを見つめて、
何も知らないふりをすることで、
私は私を慰めた。
そして私はあなたを失って、
冷たい気持ちの化け物になる。
私は壊す。
いつか夢見た世界を。

28 September 2016 14:00:26
Shiki Watanuki
—————————————-

冬のすべてが私の中に立ち戻る。怒り、
憎しみ、おののき、怖れ、逃げられぬつらい労働、
そして、極北の地獄に閉ざされた太陽に似て、
私の心も 赤く凍ったかたまりにすぎなくなろう。

Les Fleurs du mal LVI CHANT D’A UTOMNE / Charles Baudelaire

私の存在しない世界であなたは笑ったり遊んだりできる。
私は嬉しいよ。
あなたが楽しそうに笑う幼い表情や手首に傷を作って泣いたりしていないことが想像出来る。
私の最期はとてもゆっくりと始まった。
もう王冠のない私は静かな終わり方を選びました。
あなたが私を知らない世界で
いつまでだってあなたを待ち続けてもよかったけど、
私には長い物語はつくれないと知った。
あなたのことを
ひたすらに思い続けることは簡単にできた。
でも、それを物語にする力がなかった。
想像力と悲しみだけは無限に持っていた、ただ、
それを空想の出来事にしてしまうことがあまりにも辛くて言葉にすることができなかった。
私はこの世界に本当には存在しない。
私は風にさえなれない。
雨でもいい、雪でもいい、
なんでもいいから本当の形のあるものになりたかった。
私には死ぬことさえできない。
一度も生きたことのないこの身では、
存在自体がないのだから。
私はいない。
最初から誰もいない。
私は夢。
あなたが生涯にたった一度だけみた夢。
朝にはもう忘れてるそんな夢。
それを知らないあなたで本当によかった。
かなしいことばかりだったけど
わたしがゆめでよかった
ゆめならほんとうにはかなしまなくてすむから
めをあけて
ゆめはもうおわったよ

24 February 2016
END

1 (18)

エヴァーラスティング、灰になったユアン。

28 MAY 2106

空は初夏の始まりを告げるために
神さまが特別に用意した絵の具で描かれたような
神聖な青色を纏い、
風は幼子の頬を撫でるかのようにそっと静かに流れ、大気は上質なシルクのように
肌に優しく触れてくる。

そんな希望と祝福に充ち満ちた日、
ユアンは灰になった。

司は普段どうり、目覚めるとすぐシャワーを浴びた。
そしていつものようにバスタブの中で
煙草に火をつけると天井を見上げ、
ゆっくり煙を吐きながら、
オプティカルコンソールを展開させた。
(視界の左に映っているのは健康状態を示す体温や心拍数などの基本的なパラメーターでニコチンやアルコール、薬物など害を与える物質の過剰摂取に対する警告を示すラベルの幾つかが点滅したりポップアップを繰り返している。中央にはワイアードのアカウントが表示され、その横に網膜認証が有効であることを示す「∞」という記号が緑色で光っている。右には、現在のデイトタイム、メール、着信履歴などを示すホームリストがホログラフィックアイコンになって縦一列に浮かんでいる。)

ワイアードへアクセスする。

目を閉じると見えているのは深遠な闇。
何処を向いても何も見えない、ただ闇があるだけ。
(違う。)
何も見えないんじゃない。光がないだけだ。
司のワイアードは光さえ抜け出ることが出来ない
ブラックホールによく似ている。
高密度に圧縮された一点に
銀河ひとつ収まるくらいに相当する情報が
ぎっしり詰まっている。
司はその情報を光ではなく質量で見ている。
個々の情報のデータとしての質量が
司の意識の中では視覚化される。
司が見ているワイアードの景色はこんな風だ。
初めに暗闇の深遠にぼおっと白い光の点が現れる。
それが次第に捻れ回転しながら
眩い光を発光する巨大な二重螺旋を作り上げる。
これが司の見ているワイアード。
司が情報にアクセスする度に
瞬時に光の二重螺旋は構造がほどかれ二つに分かれる。
(二重螺旋の片方はバックアップであり構造は全く同じである。)
データが螺旋から切り離されると、
螺旋の最後尾に付け足されて螺旋の一部になる。
ワイアードの形態は人間が使う度に癖や嗜好性、
傾向の影響を受け変わっていくシステムだが
ある程度は同一性を保つのが普通である。

司のワイアードは普通とはかけ離れた特殊な形態を持っている。
機能も性能も通常のワイアードとは比較にならない。
だから普通のワイアードでは出来ないことも可能になる。

いつもの制服に着替えたあと、
右手の親指の節に何となく違和感を感じて
右手を上げて見てみると
ほんの少しだけ薄く皮がめくれていた。
たいした痛みはなかったけれど
めくれていた皮を歯で噛み切って
捨ててしまったので
傷口が空気に直接触れて
余計に痛みが増した気がした。
それで傷口を洗ってからパッチを貼ろうと
洗面台で手を洗いながら
何気なく鏡に映る自分の首元を見た。
暫く無心で見ていた。
不意に思い浮かんだこと。
そういえば僕は高等部に上がってから
一度もネクタイを付けたことがなかった。
ネクタイなんて気取ったものは
自分に似合うなんて思うことがなかった。
ん、いや、本音はネクタイが
単純に嫌いだっただけかもしれない。
ああいうのは真面目で普通な人だけが
つけるものだと思っていた。
タバコ吸ったりクスリやったりする
僕には似合わないと思っていた。
でもいま鏡の自分を見ながら、
ネクタイを付けたらどんな感じだろうかと考えている。
一度も付けたことがないネクタイ。
司はすぐにオプティカルコンソールに
いまの自分を投影させて
ネクタイをレイヤードしてみた。
初めてネクタイを付けた自分は不思議と
嫌な気がしなかった。
でもそれ以上にネクタイを付ける理由になったのは
今日は礼儀知らずではいられない
特別な日だということだった。
僕が今日ネクタイを付けることは
僕がこの世界に存在する唯一の理由、
ユアンという存在に出逢えたことへの感謝。
ネクタイを付けるという簡単なこと、
なのに一度もしたことのなかったことをすること、
それは僕からユアンへの感謝を示す為に
必要な行為だと思った。
だから今日はネクタイを締めて行こうと決めた。

初めて締めたネクタイの感触は
首回りがきつくて圧迫感を感じたけれど
うちを出る頃には気にならなくなっていた。

外に出ると風が静かに髪を揺らし撫でる。
空は眩しいほど青く良く晴れたいい天気だった。

ユアンの葬儀はこんな日に粛々と穏やかに行われた。

古くからある針葉樹の森に囲まれた高台の中心に
純白のエストラマーで作られた全て同じ形の墓標が
規則正しい巨大な迷路のように無数並んでいた。
その光景はとても美しいものだったが、
可哀想なほど寂しくも見えた。

墓地には既に大勢の同級生や親族らしき人、
そして高等部全ての教師、
学院長と各学部の委員会の取締役らが来ていて
誰もが静かにユアンの到着を待っていた。

司は予定の5分前に墓地に着いた。
みんなが一様に整列して立っていたので
司は同級生の列の最後尾に並んだ。
足音で何人かが振り返り、
割と仲のよかった同級生が司に気づき
司と目を合わせようとしたが司はそれを無視した。

葬儀は時間通りに形式に沿って
至って普通に執り行われ、
周りでは同級生の殆どが声を出さずに
葬儀が始まってから終わるまで
ずっと涙を流して泣いていた。
僕だけを除いて。

僕にとってユアンの死は悲しみではなかった。
ユアンは願いを叶えた。
理想の死に方で苦しまず死んだ。
だから、ユアンは自分の死を後悔なんてしない。
ユアンの遺灰はアルミニウムポリフオリマーで出来た
円筒形の箱の中に収まっている。

もう既に灰になってしまったユアン。
ユアンを構成していた部品はもうこの世界にはない。
全部灰になった。
灰にユアンの意識は宿らない。
これが死。
そして終わり。

(違うよ、
これが、始まりなんだよ、
ねえ、司。)

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