成層圏のエイプリルフール。

愛せ。汝が闇より出でよ。愛せ。これわが永久に変わらざる思いなり、
頼りなき哀れなる魂よ、われを汝愛すべく、われことさらにここに残りぬ!

Paul Marie Verlaine / Iil faut m’aimer

朝は静かにおとずれる待ち人のたった一人もいない高度1万キロメートルの成層圏から。
光の線が朝5時を知らせながら眠りにつけないでいる存在しないゼロの魂をなだめている。
冷えた空気の中から存在しないゼロの魂が熱を放射して命の等価交換が行われている。
悲しみが真実をゆがめているんだ!
みんな! 気づいて! ここは宇宙!
とても広大な世界のほんの一部なんだよ!
そして、もう1秒前にさえも戻れない冷たい世界なんだ。
僕はここでずっと夢を見ていただけなのかもしれないし、
夢を見ているのは僕じゃない誰かかもしれないんだ。
何が真実か本当か知りたければ、今すぐ首筋にナイフを突き立てて一気に振り下ろすしかないんだよ!
何が本当で何が嘘なのか僕にはもうわからないから死ぬしかないんだ。
ああでもそれでいいね、夢なら目が覚めるだけだし、時間もない暗闇に飲み込まれたなら、それが真実だったってことさ。
それを知るのは僕じゃない。
それを知るのは今ここにいる人すべて、
きみやきみやあなたやきみやきみ!
ここにいるみんな、真実を知ることができるのは僕じゃない。
これを眺めているすべてのきみの目だ。

今日はエイプリルフールですね。
またひとつ年をとりました。
僕はもうこの世界にはいませんが
どうぞこの夢のような意味のない世界の構造を支配して
きみは笑っていてください。
最後に笑ったのはやっぱりきみでしたね。
よかった。
これでいいよ。
さよなら、ばか、愛してる、ずっと、永遠に・・・

Y

有難う

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ヴァージンスーサイド。

野に咲く春の花も今はもう
お前ほど私をひきつけはしない。
天使よ、お前のいる所にこそ愛と情はあるものを。
お前のいるところにこそ自然もあるものを。

Johann Wolfgang von Goethe / An Bleinden

佐内がソファに座っている僕に後ろからボールペンを差し出して「持って」と言った。
僕はボールペンを握った。
「これがナイフね」と佐内は言って僕の後ろからボールペンを握っている手を上から優しくさわって掴んだ。
「ナイフの刃は上向きで首筋に押し付ける。」
僕の首にボールペンのナイフが押し当てられる。
佐内に後ろから抱きしめられる感じになって、佐内の香水が香って、
死の講義を受けている自分がどうしてこんなことでドキドキするんだろうと少しおかしくて多分笑った。
そんなことを気付くはずもない佐内は講義を続けて、
「そして、押し付けたナイフをさらに深く、動脈の鼓動がはっきりとわかるくらい強く押し付けたら、一気に引くの。こう。」と
言って僕の手を強く握りしめてボールペンのナイフで切り裂いた。
そのときの感覚がボールペンだということを忘れるくらい余りにもリアルだったので僕はこれがこのまま、
ボールペンじゃなくナイフだったら、佐内に手を握られてその手に操られて切り裂いてもらえるのだったら
本当に素敵だろうなと思った。
佐内は僕の手を離して煙草に火をつけながら「ね、わかった。簡単でしょ。」と言って煙を吐いた。
僕はボールペンをもう一度自分の首筋にあてて強く押し付け動脈の鼓動に押し付けて一気に引いてみた。
「うん、大丈夫。これならもうやれる。ありがとう佐内。」と僕は言うと、 少し置いてから
「ねえ、動脈切ったら即死するのかな、、やっぱり痛いの、、かな、、。」としどろもどろに佐内に聞いた。
「そうね、、即死ではないね。これはね私の推測と実際に試して未遂に終わった人とかの記事からの話になるんだけど、、
基本的には最初は痛い、でもね、5秒で体の4分の一の血液が吹き出して首から下の感覚は全て麻痺するはず。そして、人によるけど大抵5分間くらいは脳内の神経に酸素が残ってるから若干なりとも意識があるはず、でも朦朧としていて集中はできないはずだから夢を見るような感じだと思う。だから、みんなバスタブでやる人が多いよね。お風呂に入りながらリラックスして最後にお別れをして首筋を切り裂くの。真っ赤だよ。赤い世界、時間が急速に流れ出して、血液が半分もなくなったら視界から色が消える。モノクロの世界。最後に見る夢はモノクロなんだって。そして夢になって。閉じておしまい。そんな感じだよ。」
「怖くなった?」と佐内が言った。
僕は「いや、その終わり方優しくていいかも。バスルームが血まみれで驚くだろうけど、両親は。」と答えた。
「そうよかった。じゃあ、今度はこっちの番だね。」と佐内が言った。
その思いがけない返事に僕は驚いて「え。」と間抜けな返事をしてしまった。
「キミキミー、世の中ギブアンドテイクなんだよー。そして、私はもう君に既に情報を渡したのだから、今度は私が貰う番なんだよー。」と佐内は言って上機嫌な笑顔で笑った。
佐内が報酬を要求してくるとは思っていなかったので焦って冷や汗が出てきたけれど
「佐内、悪いけど僕お金はあまり持ってないよ。ただで教えてもらえると思ってたから。ごめん。」と僕は佐内に言った。
佐内はそれを聞いて同じ笑顔で「大丈夫だよー。お金じゃないもん。私の欲しいもの。へへへー。」と言った。
それで僕は「じゃあ、佐内の報酬って何なの。」と聞いた。
すると佐内と僕は隣同士で見つめ合う形になった。
ほんの数秒が永遠に感じる。
佐内の瞳は揺れている。
もっとよく見ると瞳の中に僕が見えた。
佐内の瞬きすら見える。
こんな近くで女の子の目を見るのは初めてだった。
思えば佐内とこうして知り合う前までは
女の子とこんなに近づいたことすらなかったんだ僕は。
そして、佐内はとても綺麗な目のままで、僕に向けてこんな絶望的な言葉を言ったのだ。

「私の為だけに生きなさい。私のことを早く思い出して。何度も繰り返した、前世からの約束を果たして。」

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ギルティエンジェル、切り裂いたら、笑ってよ。

孤独 暗礁 天なる星
何もてもあれ 他ならぬその値とは
我らが布(きぬ)の 白き苦しみ。

Poésis de Stéphane Mallarmé / Stéphane Mallarmé

店内は休日とあってどこの席も混んでいた。
僕の前には誰も座っていない椅子とアイスコーヒーが置かれている。
約束をしたものの僕は誰かに騙されているのではないかという気持ちでいた。
それでも約束の20分前に僕は指定された喫茶店に来ていた。
どうやってお互いを確認し合うのだろうかと僕が尋ねた時、彼女は「私がわかるから平気」と言った。
つまり僕を誰だか知っているということ。
普段いじめられている僕にとってそれはあまり気持ちのいいものじゃなかった。
ただ言葉使いから相手が女の人だということはなんとなく感じた。

僕の試行錯誤を切り裂いて、突然に「お待たせ」と彼女は言って笑顔で目の前の椅子に座った。
佐内茉央がそこにいた。
「君なの?」と僕が呆然として言ったら「そうだよ」となんでもない返事を佐内はした。
「でも、どうして君が何で」と続けて僕が言うと
「うーん、趣味よ、単なる趣味」と佐内はオレンジジュースのストローをかじりながら僕の目を見て言った。
そのあと佐内は窓の外を眺め人の群れを見ているそぶりをしながらオレンジジュースをゆっくりと飲み干すと、
「行こっか」と僕を見て言った。
立ち上がって僕の手を握って「いいから行こう。ここじゃ話せないよ」と僕を引っ張って歩いた。
人通りの多い坂道を佐内に手を握られながら少し歩いて右側に曲がると小道があって
その小道を下ると派手な看板ばかり続く歓楽街で僕は少し恥ずかしかったが
佐内は気にしていないようだった。
そして、急に止まると「ここだよ」とキラキラしたロゴが飾られたラブホテルの入り口を僕の手を握りながら引っ張って入っていった。
初めて見るラブホテルのエントランスをキョロキョロ見回している僕と対照的に空き部屋を何事もなく探している佐内がいた。
佐内は「ここにしよ」と言ってカードをかざすといつの間にかエレベーターが前にあって勝手に開いた。
エレベーターに乗って僕が「どうしてここなの」と聞くと佐内は「こういうところはカメラもマイクもセキュリティ条例を無視して一切付いていないの。だから密談にはぴったりなのよ」と言った。
僕は握られたままでいる手が汗ばんでいないか心配しながら彼女の言ったことを「なるほど」と思った。
部屋の前に来ると佐内が立ち止まって僕を振り返り「私を信じて」と言った。
僕は何も言えずただうなづいた。

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八月の殺し屋は天使。

 いとしい想像力よ、私がおまえのなかでなによりも愛しているのは、
おまえが容赦しないということなのだ。

Manifeste du surréalisme/Poisson soluble / André Breton

頚動脈を確実に切るためにはコツがあるのだと教えてくれたのは、
意外にも三年も同じクラスだったのに一度も声もかけたことも話したこともない佐内茉央だった。
佐内は学年で常にトップに名前があるくらい成績優秀、
しかも特別に神様がズルしたのではないかと疑うくらい誰もが認める美人だった。
だから、彼女の周りには友達や知り合いになりたい連中がいつも溢れている。
そして僕は深刻ないじめにあっている、どこにでもいそうな
なんのとりえもない人間だった。
この二人が会話するなんてことはその瞬間が来るまで想像したことさえなかった。

その日は去年の8月、最高に暑くて、3分歩いただけで汗が顔中を濡らし顎から滴り落ちていった。
僕は額の汗を拭きながら歩き続け、人で賑わう駅前のショッピングモールを逃げるように足早に通り抜けて、
人気のない寂れた商店街に隣接する古びた商業ビルの中に入った。
ビルの三階にあるネットカフェの受付でいつもの席を選んで静かに自分の席に移動した。
僕はパソコンをスリープから起こして、1年前に知ってから必ず見る自殺サイトにアクセスした。
サイトには掲示板がいくつか用意されていて、自殺の方法教えます、とか、復讐しませんか、
心中しましょう、などがあった。
僕がいつも見るのは、自殺の方法教えますの掲示板。
なるべく痛くなくて人に迷惑のかからない方法を探していた。
5月になる前には死のうと決めていたから、
そろそろ本当に自殺の方法を決めなければいけないと少し焦っていた。
僕はいつも他人の相談や返事を読んでいるだけだったけれど
その日は焦りもあってずっと躊躇って出来なかった投稿を自分ですることにした。
内容は確実に死ねてなるべく痛くない自殺の方法を教えてください、というものだった。
投稿してずっとどきどきしていた、どんな返事がくるだろうか、
無視されないか心配で、投稿しなければよかったとさえ思えてくるくらいだった。
けれど予想より早くすぐに回答が来た。
内容は簡潔で頚動脈を切る方法を勧めるものだった。
理由として、頚動脈は切ってさえ仕舞えば5分で死ぬため
誰かに見つかったとしても蘇生させられることがほとんどないということ、
痛みもほとんどないということだった。
ただし、頚動脈を自分で切るためにはコツが必要だと書かれていた。
そして、そのコツを知っているけれど、
警察に捕まる恐れがあるからここでは教えられない。
知りたければ直接会って教えたいということが書かれていた。
僕は会う約束をした。

もうじかんがない
はやくおしえて
しにかたを

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かたちのないわたし、さよならの接吻、

冷酷な告白よ、私の願った未来、恋人への接吻は、
たった9つの文字で無に帰った。
今や闇を照らす蝋燭さえも消えかけ、
最後の揺らめきを楽しんでいる。
私はそれをただ見つめていただけ、
何もせず何もできず、あなただけを見つめて、
何も知らないふりをすることで、
私は私を慰めた。
そして私はあなたを失って、
冷たい気持ちの化け物になる。
私は壊す。
いつか夢見た世界を。

28 September 2016 14:00:26
Shiki Watanuki

—————————————-

冬のすべてが私の中に立ち戻る。怒り、
憎しみ、おののき、怖れ、逃げられぬつらい労働、
そして、極北の地獄に閉ざされた太陽に似て、
私の心も 赤く凍ったかたまりにすぎなくなろう。

Les Fleurs du mal LVI CHANT D’A UTOMNE / Charles Baudelaire

私の存在しない世界であなたは笑ったり遊んだりできる。
私は嬉しいよ。
あなたが楽しそうに笑う幼い表情や手首に傷を作って泣いたりしていないことが想像出来る。
私の最期はとてもゆっくりと始まった。
もう王冠のない私は静かな終わり方を選びました。
あなたが私を知らない世界で
いつまでだってあなたを待ち続けてもよかったけど、
私には長い物語はつくれないと知った。
あなたのことを
ひたすらに思い続けることは簡単にできた。
でも、それを物語にする力がなかった。
想像力と悲しみだけは無限に持っていた、ただ、
それを空想の出来事にしてしまうことがあまりにも辛くて言葉にすることができなかった。
私はこの世界に本当には存在しない。
私は風にさえなれない。
雨でもいい、雪でもいい、
なんでもいいから本当の形のあるものになりたかった。
私には死ぬことさえできない。
一度も生きたことのないこの身では、
存在自体がないのだから。
私はいない。
最初から誰もいない。
私は夢。
あなたが生涯にたった一度だけみた夢。
朝にはもう忘れてるそんな夢。
それを知らないあなたで本当によかった。

かなしいことばかりだったけど
わたしがゆめでよかった
ゆめならほんとうにはかなしまなくてすむから
めをあけて
ゆめはもうおわったよ

24 February 2016

END

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よく切れるハサミのはなし。

ーおまえの手がぬけたこの胸を滑っても無駄なこと、
さぐってみてもそこは 恋人よ。もう略奪にあった場所
女の爪と 凶暴な歯が 荒らし尽した場所なんだ。
私の心臓を探すのはおやめなさい、もう獣らが食べてしまった。

Les Fleurs du mal LV CAUSERIE / Charles Baudelaire

暗い闇の荊に獰猛に絡みついた巨大な蛇のように
うねりのけぞりながら闇の底まで(どこまでも深き闇の底)それは繋がっていた。
しかし、底と呼ばれる場所はなく、此処(此処とは何処か?)から見える闇の一番深い黒い点の先からのことは何もわからない。
それは螺旋を巻いている形が似ているだけの単純な理由で螺旋階段と僕が呼んだ。階段はついていない。

(この辺で死んでみたくなる気持ちがあるから闇は夜にやってくるのだろう。)

僕は此処で何をしているのか、何をすればいいのか、何をしてはいけないのか、
何処かへ行くのか、ずっと此処にいるのか、そんな抽象的で具体的なことばかり考えていた。
今日は昨日と何が違ったのか、
思い出してみようとしても何も思い出せなかった。
どうして生きているのか、どうして死なないのか、どうしてこんな世界があるんだろう。
この世界を作ったのは僕だ。
それなのに、どうして作ったのか理由も知らない。
作りたかったのか、作りたくなかったけどできてしまったのか、
その合間に、
唇にカミソリを挟みながらいま目に映っているものすべてにタグ付けをして
必要なものと必要のないものに分けてしまわなければいけないような衝動に襲われて
これが絶望なのかもしれないと感じた、と同時に一番最初一つ目にタグ付けをした特に意図なく目に付いたピンク色の何も入っていない小さなプラスチックのピルケースをゴミ箱に投げ捨てた。
そのあとに始まった際限なく続くタグ付けレースの話はいつかどうしようもなく暇なときに書こう。

唇に挟んだカミソリを舌で丁寧に舐めながら感じる絶望は
とても冬に似合うそんな類の冷気を含んだ絶望だった。
とにかくいますぐにでも死にたい。
そんなセンスの悪い死にたさだった。
死ぬときは一番好きな服を着て綺麗に死にたいなんていう気持ちは
タバコ一本の価値もなかった。
そうして目に付いたのがデスクトップのペン立てに入っていた髪を切る用のハサミで、
去年前髪を自分で切るように買った有名なスタイリストなら誰でも使っているブランドの高級なハサミで
改めて手にとって刃で指を軽くなぞっただけで痛みもなく血が吹き出した。
このハサミなら死ねるだろうと考えながら、
何かやり残したことはないか少し考えていた。
そして5分経っても何も思いつかなくて
ハサミを全開にして片方を握れるようにガムテープを巻いた。
刃を頚動脈に当ててたまま、
何も残せなかったけど
やりたいことはいいことも悪いことも全部やったし
思い残すことはないと思って
右手に持ったハサミで思い切り首を切り裂いた。

ぜんぜんいたくなかった
ただくびがすごくあつかった

めをとじてもまっかで
すごかった

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輪廻しない、でも、リインカーネーション。

   ごらん 運河に
   眠るあの船
放浪の心を持って生まれた船たちを。
   おまえのどんな望みでも
   かなえるために
あの船は世界の涯からここへ来る。
   ー沈む日が
   野を染める、
運河を染める、町全体を染めあげる、
   紫色と金色に。
   世界は眠る。
いちめんの 熱い光の中で。

Les Fleurs du mal LIII L’INVITATION AU VOYAGE / Charles Baudelaire

空は青色をすべて雲に奪われ2月にしては陰気で暗く、艶のない風景だった。
ん、、、、、、、違う、陰気で暗くて、嫌な予感のする風景だった。・・・ん、これも違う、
陰気で暗くて、乱れていた。
・・・んーこれも違う、、、・・・。

(網膜に張り付いた何億という数の光の点が瞬間に現れては消え、現れては消え、絶え間なく、僕の答えを待っていた。)

バスタブに浸かり灰皿を浮かべて虚ろは煙草を吸いながら今日会う予定のさよならのことを考えていた。
300年振りの再会に彼女は僕だと気付いてくれるだろうか。
本当の自分が自分ではないことに驚かない人はいない。
それが何千年も続くリインカーネーションなら尚更不安になる。
(神経質に何度も細かく煙草の灰を落とす癖、彼、緊張しているわ。)
バスルームは水蒸気と煙草の煙で深い霧に覆われたように彼の表情を隠した。
黒いスーツに着替えて、襟を直しながら鏡の前で、現在の彼女はまだ12歳、僕は16歳。と声に出していった。
僕は予定の時間を大幅に遅れて外に出た。
空は阿片の巣窟のように何層もの煙が重なりあうみたいに濁った雲が一面に張り出して、、、
・・・・・・・僕の気持ちを奪おうと明らかに淫に振る舞った。
性格の悪い神様が僕に意地悪をしている。
僕は小さなブルーのスニッファーに入ったコカインを吸って、さよならのことを想った。
今はまだ何も知らない少女のさよならはこの輪廻でもう時期死を迎える。
死ぬ前に会って伝えたい。
彼女は1世紀前に僕が今からしようしていることと全く同じことをしてくれたのだから。
夢じゃない。
妄想でもない。
これは現実。
私とあなたの永遠に続くリインカーネーション。
さっき、さよならが死んだ。
虚ろに会うことは叶わず、何も知らず死んだ。
病室のドアのネームプレートには火憐という名前があった。
虚ろは帰り道、青い薔薇を12本買って帰った。
次の輪廻まであと2世紀、虚ろは18歳で死んだ。

公式ブログ用フォト - 2 / 2

不滅の記憶。

愚かしい酒池肉林の残骸がまだ煙を立てている上へ
君の思い出が明るさを増し、薔薇いろを増し、魅力を増して、
見開いた私の目に 絶えずひらひらと飛びまわる。
日の出が ろうそくの焔を黒くかげらせた。
こうして、またも勝ちを収めて、君のまぼろしは、
輝きわたる魂よ、不滅の太陽にもひとしいのだ!

Les Fleurs du mal XLVI L’A U BE SPPIRITUELLE / Charles Baudelaire

消えない記憶なんて
この世界のちり一つの価値すらもない。
僕の中で暴れまわる魂は記憶一つに縛られてバラバラにされて、挙句
人を失った幻想を生きる怪物を幾つも生み出した。
それは未来を、今を、過去を縦横無尽に行き来する力を得て
無限の輪廻を余儀なくされ、さらに多くの記憶を束ね、
自らの重力に押しつぶされて爆発する超新星爆発のように
記憶の束はシナプスを焼く尽くし神経網を吹き飛ばし
僕を無限に分化させた。
それがこの話のことの顛末となるのだ。
僕や、私や、俺や、永遠や、闇や、虚ろや、さよなら、
みんな最初は一つだった。
それがこうなってしまったのは
たった一つのなんの価値もない記憶のせい。
怖いのは色褪せない記憶、
今も香る花の香り、
君の温度、
そういうのが
化け物を作るんだ。
女王闇、きみが始めたんだ。
責任はすべてきみにある。
そんなこと言われても私には関係ないわ。
好きにすればいい。私はこれから忙しいの。殺すの邪魔しないで

公式ブログ用フォト - 1 / 2

青の世界へようこそ。

私は幾度も思い浮かべた あの魔法にかかった月と、
   あの静けさと あのものうさを、
そしてあの、心の告解所でささやかれた
   おそろしい打ち明け話を。

Les Fleurs du mal XLV CONFESSION / Charles Baudelaire

私の中にあるエーゲ海は青い花弁のガーベラの群れ。
青色の世界が私を犯す。
私の放つ蝶々の群れに囲まれる。
ブルーモルフォ、鮮やかな青色には毒があって、
その毒は12年かけてゆっくりとあなたを奪う。
新しく雇った殺し屋は気が短くて
すぐ殺してしまうから私は退屈してしまう。
新しい退屈のために新しい憎しみを求める私は、
気がつくと窮屈なプラネタリウムで
偽物の未来を見上げ
世界で一番悲しい嘘を吐いた。
(××××××××××××)

狂ったあなたがプロポーズする。
私はそれを無視した。
でも気にしない、いつでもおいで、ここは楽園、私の海。
あなたが願えばいつでもここにいる。
永遠と絶望と愛情と憎しみ、
あなたの願いは必ずここにある。
そんな悲しい目をしないで、
誰にでも必ず訪れる当たり前の終わり。
目を閉じて眠るだけ、二度と目覚めない。

私の海では青い花弁が舞い踊る。
たった一度のさよなら、私のこと忘れても
青い海は覚えていて。
私が殺したあなた。

公式ブログ用フォト - 1 / 1 (17)

真っ白で、真っ暗で、冷たくて憐れ。

人々の心の上に建物を建てるなんて馬鹿なこと、
   何もかも崩れ落ちるの、愛も美も、
結局は「忘却」が背中の籠にほうりこんで
   「永遠」に返してしまうんだわ!

Les Fleurs du mal XLV CONFESSION / Charles Baudelaire

悲しみの針が意識の痛覚を刺激する。
ダモクレスの剣を振り下ろされた兵士のように、
無残に一瞬で切り裂かれた。
命は失っても意識だけは残っていて
夢の中で出逢う理不尽な現象が流れ出す。
そこにあるのは痛み、
激しい痛み。
その痛みが私を切り裂いて
私を思い出させた。
悲しい記憶は私の知らない誰かの記憶だった。
私はそうしてとにかく始まった。
私の名前は冬といいます。
真っ白で冷たい2月の空から降ってきました。
誰も私のことは知らないの。
私は全部知りました。
私はこの世界の大抵のことは嫌いです。
でもこの景色を真っ白にする雪だけは大好きで
だから私の始まりは2月でよかった。
指先は冷たく淡く真っ暗で、
でもその冷たさだけが
私の唯一の存在証明だと知っているから
私の心も冷たいの。
真っ白で真っ暗で見えないの。
私ここにいるよ。

誰もいないたった一人の世界で
私は自由に生きている。

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