私の青春はただまっくらな嵐ばかりで、
ところどころに輝く日ざしが落ちたにすぎない。
雷と雨とがあまりにも荒れ狂ったので、
私の庭には木の実もろくに残っていない。
そしていま 私も思念の秋にさしかかり、
シャベルや熊手を使わなければならなくなった
洪水にさらされた地面をもう一度ならしたいのだが、
墓のように大きな穴がいくつも水にえぐられている。
それにしても誰が知ろう 私の夢みる新しい花々は
河原のように洗い流されたこの土地に
滋養となる神秘の糧を見出だすことができるかどうか?
おお苦しみよ! 苦しみよ!「時」がいのちを喰らい、
私たちの心臓をかじる不気味な「敵」が
私たちの失う血を吸って育ち 肥えふとる!
Les Fleurs du mal X L’ENNEMI / Charles Baudelaire
黒い鳥が空を旋回していた。
私は庭に立ってそれを見ていた。
黒い鳥は私の上を何度も旋回し続けている。
ナイフから血が滴り落ちた。
返り血を浴びた純白のドレスは黒く染まり血の匂いを撒き散らす。
死が黒い鳥を集めている。
血の匂いに寄ってきた黒い鳥は獲物をじっと待っている。
これは虚ろだ。誰にも渡さない。去れ、カラスども。
虚ろが階段を昇って行く
私は虚ろの名前を呼ぶが彼には聞こえない
虚ろの進む先に小さな光が見えた
虚ろは光になるのか
私の闇から出て行って虚ろは光になるのか
私はクスリを噛み砕いて飲み干す
ゆっくりとまどろみがやってきて私は私を忘れて行く
気持ちが良くなって虚ろを忘れだす
頭をゆっくり揺らしながら足下がふらついている
沈んで行く月がとても大きく見えた
意識がバラバラになって
私はカミソリになる
(楽園で待っていておくれ、虚ろ。)
波のように滑らかに形を変えながら
私の意識は、、、ダメだ,
虚ろ、
お前がいないなんて私は嫌だ。