せかいの果ての3月5日。

9th/December/2006/22:54
永久機関。

ペンを軽く握って、ひと息に線をひいた。
朱色の髪の毛のような細い線。

気をつけて見ないとわからないくらい緩くカーブしていき
最後は何かでひっかいたように線が乱れている。

細い線が象徴しているものは、何か?

それは誰にもわからないし、誰も知りたくはない。
(今日の最高気温は35℃だとニュースが告げる。)

線をたどっている。

指に朱がかすれて紙を汚す。
細い線をなぞって

なにかを目指しているのだと、それは言う。
細い線に依存しているのだと

それは言った。

(たどりつくのは愛情だから大切にしなさい。)
遠いどこか
永遠に夏の終わりの海、

常に黄昏のままの浜辺には
小さな瓶に入った宛先不明の手紙が
毎日うちよせられる。

細い線のさき、
    永久に閉ざされた黄昏の浜辺では

  オレンジ色に染められたガラスの刹那が
きらきらとひしめき合ったまま

   波の中に

     砂の中に沈んでいく。

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4th/January/2015/18:23

きみは色々な話しを何時間も話し続けた。
そして、ときどき戸惑ったように、ごめんね、と言った。
ベッドの上に二人向かい合って寝ながら話していた。
きみは僕の横顔がとても綺麗だと何度も言った。
僕は困ったようにその度に否定する。
きみはそれを何度も否定した。
それからどうしたっけ、。
ああ、そうだ、僕は煙草に火をつけてきみに渡した。
そしてもう一つ自分の分の煙草に火をつけて吸う。
きみは肺が弱いんだから本当は煙草なんていけないんだろうけど
きみがあまりに欲しがるから与えてしまった。
僕はきみが可愛くて仕方がない。
きみが欲しいものを全部与えたいと思う。
きみが僕にくれたものはそれ以上のものだから。
明日は吉祥寺で友達に会うの、ときみは言った。
僕は、じゃあ吉祥寺まで送るよ、と言って、何時?、と聞いた。
12時くらいかなあ、ときみは言った。
ふうん、と僕は言って目覚まし時計を10時にセットした。
03:24:AM
どうせ眠れないだろうから必要はないのだけど念のためだ。
そのあと、きみは更に話し続け、
僕は10時に目覚まし時計のアラームで目が覚めた。

blog_5 - 111

アンデッド。

21st/November/2006/06:13
音楽室と音符。

カタンと音符が落ちた。
知らないふりをしていたかった。
それほど
執着したくなかったから。
落ちた音符は高い音階に戻した。
音階は夢のとおりに
並べて

遊ぶコードと夏に作ったメロディが 急に流れ出す。
僕は音符の端に掴まってただ待ってる。
(三半規管は正常ではなかった。)
そのまま、音階を降りて
暗がりを探す。
(見つからないように)
もうどうでもいいよ、という時間になって
やっと音符が動き出した。
音符は自律神経を持っていて

自由に悲しくなることができる。
それに休符もしょっちゅうやってくる。
だから、メロディはすごく遅い。
悲しみを追い越すことができない。
立ち上がって音符を窓に投げつけて
夢と同じ結果を求めた。
けれど窓はつくりもので
音符は高く澄んだ青いガラス瓶のような音を出した。
ふいにピアノがやってきた。
同じフレーズをずっと繰り返して
高い音を出した。
それでひとつ音符が死んだ。
音楽室にはイスがひとつだけあった。
そこに死んだ音符をのせると
空虚が歌いだす。

すべてー、すべてー、すべてーがー、すべてがー知りたいのー♪

(空虚が本当に知りたいのはきみの嘘。)
そこでピアノは突然転調し悲しみになった。
自由だった。
音楽室の中はいつも自由だった。
悲しみで満ちてはいたけど。

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3rd/January/2015/17:50

うるっせーなー、俺に命令するんじゃねーよ。ばーか。
離せコラ、なんだよったくよー。やめろっつうのー。

彼一度眠らせて。
>はい、わかりました。

おいお前今なんつったー。おい、お、ま、え、、、、

>眠りました。
有り難う。凶暴な性格ね。品がないし、可愛げもない。
虚ろとは大違いだわ。彼の名前は?
>記録では「ジンロウ」カタカナでジンロウです。
ジンロウ、野蛮なきみにちょうどいい名前。
ダメよ、ジンロウ、その体は虚ろ君のものなんだから丁寧に扱わなくちゃ。

>主任、このあとどうしますか?
そうね、本当は嫌だけど、ジンロウと話さないとレポートが出来ないのだから
起こすしかないわね、このまま。
ただし、拘束具つけて。

ジンロウ、起きなさい。ジンロウ、ジンロウ、起きなさい。
意識があるはずよ。ジンロウ。起きなさい。ジンロウ、

うっせーなー。何回も名前呼ぶんじゃねーよ。
それと呼び捨てにすんな。
様つけろっつうの、感じわりー女。
それとなんだよこれっ、ぜんっぜん動けねーじゃねーか。
俺を今すぐ殺すか、この拘束具はずせ。
じゃねーと、お前が死ぬことになるけど、それでもいいか。

どちらも却下よ。
それに私は死なない。
(このやりとりはどこかでしたような、、、)

ジンロウ、あなたは「女王闇」を知っていますか?
この名前に聞き覚えがありますか?

あったらなんだよ。

女王闇について知ってることを全て話して。
さよならのことは知っているわ。

さよならに何かしたら絶対殺す。ぶっ殺す。

あなたが話してくれれば何もしないわよ。
>主任、所長から内線がかかってきています。
(タイミング悪いわね)
はい、今からですか? いえ、問題ありません。15分後に。了解しました。
彼、もう一度眠らせて、語りに変更して。
(虚ろ、さよなら、語り、永遠、ジンロウ、まできた。
あと少しで本当のあなたに会える。
長い夜もいつかあける。)

blog_5 - 110

ピンキーリングのジンクスとヴィーナスフォート。

29th/July/2006/07:41
音も光も影も自由

椅子に座っていた。
黙って夢をみて 目覚めて 夢見て。
ずっと同じ場所にいたことにきづかない。
(それは誰でも同じさ
自由に行き来できるこの世界を
わざと限定して
自分だけの世界の境界をひいた。
どこまでもせまく どこまでも悲しく。
いいから まかせてよ。

   一度忘れていた大切なことは
 二度目に忘れて 光をなくし

  三度目に影をなくし

       四度目に世界から消えた。

また椅子にすわっている自分がいる。
夢を見て 永遠の愛を誓い 愛し合い
それを自覚していない自分がいる。

それはすべて椅子の上の出来事。
それはすべてないもの。
それは自由。

すべてからの自由。自分さえも消せる自由。

  本当の自由は孤独から生まれる。

あした、晴れ。 でも僕は 空をみない。
ぼくは 世界をみおろす。

どこまでも高い空の上 せかいのはてから。

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2nd/January/2015/20:50

「ねぇ知ってる? 20代のうちに好きな人からピンキーリングをプレゼントしてもらうと
幸せになれるんだって。」きみは屈託のない笑顔と雑誌に載っていたジンクスを用意して休日の朝を僕に告げた。
(本当に無邪気な笑みできみはそう言ったんだよ。)
そういうわけで僕たちは休日の首都高の渋滞をくぐり抜けレインボーブリッジを渡ってヴィーナスフォートに向かっているのだ。
休日のしかも初夏の首都高の渋滞は半端ではなく出発から2時間過ぎてやっと集英社のビルが見えたところだ。
きみはといえばクリスマスとお正月と誕生日が勢揃いしたかのように珍しいくらい上機嫌で盛り上がり写真を取り巻くっていた。
そう言う僕もそんなきみを隣に乗せて走るのは悪い気分じゃなかったけれど。
結局目的地に着いたのは正午過ぎだった。
でもきみはすこぶる元気で早速リング選びを始めたのだった。
ヴィーナスフォートの天井のライトアップを見ているときみが、
こっち来て、と腕にしがみついて僕を引き寄せショーウインドーのリングを指差している。
きみらしい可愛いリングだった。
可愛いね、と言うと、でしょ行こう、と笑顔できみが言う。
ショップの中に入ると僕はスタッフに、外に飾ってあるピンキーリングを彼女に合わせたいのだけど、と声をかけて
きみに、おいで、と繋いだ手を引き寄せた。
サイズは0号ですね、お色はこれでよろしいですか、とスタッフが聞いた。
はい、これでお願いします、ときみは言う。
エントランスまで商品を持って付いてきてくれたスタッフにお礼を言って別れ、
きみが喉が渇いたと言うのでケーキが美味しそうなカフェで一休みすることにした。
席についてオーダーを済ましてから、オレンジのショッピングバッグをきみに、はい、と言いながら渡すと
きみは最上級の笑顔で、有り難う、と嬉しそうにしている。
早速小指にはめたピンクゴールドのリングはきみにとても似合っていて、ピンキーリングのジンクスがもし嘘だったとしても、
この今の瞬間だけは間違いなく幸せだろうなと思った。

今はどう、きみは今幸せでいるの、
きみはあのピンキーリングを不覚にもなくしているのだから少し心配になるよ。
でも、大丈夫だよね。
きみは神様が愛してくれるから大丈夫。
僕はそう思うことにしている。
それでいいよね、きみ。

blog_5 - 109

Memento Mori

4th/July/2006/02:23
火曜日の夕立ち。

突然、降り出してくる。
(何を持ってきたらいい?)

突然、降り出してくる。
(何を身につけていればいい?)

突然、降り出してきた雨は、
砂漠をこえてやってきた。つまり、オアシスの水だった。
そして、ここがオアシスになった。
そして、砂漠のオアシスは消滅した。
かわるかわるかわるかわる。
変化して、鈍化して、酸化して、また
元に戻る。

(ああ、濡れてしまうよ。きみ。)

変化したら、何に、、、、、、、

              なる?

(ああ、あふれてしまうよ。
溺れてしまうよ。
つまり、自分の中に降るオアシスの雨に埋もれてしまって、
なにもかもが、境目のない自分になってしまうよ。
そして、いつか、どこかに僕が降る。
そして、いつか、僕が消滅する。)

火曜日の夕立ち。

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2nd/January/2015/13:33

僕は話し終わった。きみの話を待っていた。
I finished speaking. Your story was waited for.

僕はきみを見つめ続けた。
I kept watching you.

「あなたは冷たい冬をもう一度過ごしたい?」
“Do you want to spend the chilly winter again?”

「私は雪景色がとても好き。」
“I like snow scene very much. ”

「雪は全部真白にしてくれるから。」
“Because the snow is made pure-white”

「あなたが好きよ。この景色と同じくらいにね。」
“I love you. As much as this scenery. ”

きみは冷たい指で「さよなら」と手を振る
You wave with a cold finger , saying that “Goodbye”.

僕はただきみの背中だけ見てた。
I just nothing but saw your back.

「13日にまた会いましょう。」
”See you again on January 13. ” You said.

全ては未来へ向けたアンチテーゼ。
All are antitheses turned to the future.

blog_5 - 108

キェルケゴールと水面に揺れる水連のようなきみの声。

30th/June/2006/03:44
闇に降る。

真夜中に、僕という雨が降る。
たえまなく、ゆっくりと。

   僕がたまっていく。

流れ出していく。 僕という雨が降ったあとに、夢に。
いつか見た、風景が映る。

    僕の海になれ。
 夢のあとに、降った僕は雨で、しかも。。。。

     僕でずぶぬれになった 僕は、  僕で
   あふれている。

   雨で、しかも、夢で、それは、夜の、静かな、通り雨。

          僕という雨がふる。
ゆっくりと、 どこかへ

   流れ出す。   だから、僕は希薄になっていく。

 雨と僕と水たまりと、憂鬱、そして、鉄でできた魂。

僕という雨が降る。
あえぐように、叫ぶように、それは、僕以外のどこかへ
たまっていく。

僕はそれに、もう出会えない。
僕が雨で、空で、雲で。そして、眠りの終わりに見る風景。

  忘れていたことも映った水たまり。
  流れ出して消えていく記憶。記憶の土に掘ったあとはないよ。
  埋めたのは、いつだった?

  雨で流されていったよ。

ああ、そうだね。
だから、消えて、僕が降ったあとに、虹がかかる。
それは、僕が降り終わった証。

降って、雨で、それは、僕で。しかも、今日はまだ、夢の七日間。
明日から、流された先を探す旅に出る。
雲に、空に、土に還った、僕を見つけるのは不可能。

だけど、それでも、今夜は、僕という雨が降る。
降り続く。

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1st/January/2015/15:08

名前を呼ばれて振り返ると僕より少し背の低いきみがいて
「思ったより若いよね」と言った。
そう、思う? どうでもいいよ、行こう。と僕は言ってきみの手をつかんだ。
駅の人ごみを早足で歩く僕の後ろを誰にもぶつからずについてくるきみを何となく懐かしく感じたのは
つかんだ手のひらの感触のせいだろうか。
人もまばらになり新旧混ぜ合わされたビル街の一番奥にある
モノトーンのイルミネーションに飾られた一際目立つビルの3Fにそのカフェはあった。
エントランスでエレベーターが3Fを示していたので
階段でいいかな、と僕が聞いて、きみが、いいよ、と言うから階段を並んでゆっくりと歩いた。
2Fを過ぎるとききみが一瞬止まった。何?、と聞くと、
きみは2Fのハイファッションが飾られた中古ブティックのショーウインドーの中にある黒い変形ドレスを見ていた。
僕が、欲しいの?と聞くと、うん、でも高い。買えないや、ときみが言うので
僕はきみを連れてブティックの中に入ってレジカウンターに真っすぐ向かいながら、
買って上げる、と後ろのきみを見ずに小声で言った。
レジで、入り口に飾ってある黒のドレスを買いたい、と店員に言うとすぐに持ってきてくれた。
僕は他に欲しいものがないか、聞いた。きみは、大丈夫、有り難う、と笑顔で言った。
そんな経緯があったので、カフェに着いたのは予約より20分程過ぎていた。
予約された席に座りきみと対面で座ると、若いなんて僕に言うより、きみの方がずっと年齢より幼い顔だ、と思った。
そのときのきみは髪を切ったばかりで流行のショートボブスタイルをしていた。
(その頃のきみは髪型をコロコロとすぐに変えていたけど、そのときのスタイルが一番似合っていたと今現在の僕は思う。)
そして二人の会話の話題に「死に至る病」の話が出たところでメニューが来た。

blog_5 - 107

絶望と天使と殺し合いと輪廻とその他。

28th/February/2006/20:38
厳選された夢。

厳選された夢、
厳選された愛、
厳選された嘘、
すべてを集めてさらに濾過してみる。

  僕はそのことに命をかけてもいいよ。
  だって、本当に欲しいものはそのエキスなんだから。

抽出されたものはなんだった?
白く残ったかけらはなんだった?
砂のようにさらさらしてる それはなんだった?

  誰かの骨を燃やしてできた灰みたいなもの?
  いったい僕の求めていたものは なんだった?

そして、僕はいったい誰だった?
僕はどこに行ってしまった?
かけらを探して、世界の終わりまで見に行って
結局見つけられたものはなに?

  僕は世界の終わりで満足できた?

     いつだって  どこだって
        僕はこうして 誰かに向かって

    僕を捜してる。

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31st/December/2014/19:04

楽しそうに笑うきみの偽者が
本当のきみ以上にきみらしいのは何故だ?

tanoshisou ni warau kimi no nisemono ga
hontou no kimi ijyou ni ureshisou ni no ha naze da?

blog_5 - 106

虚構と愛と真実の内側にあるタイプライターの「E」

17th/October/2007/18:39
終われ、終われ、終われ、オレのせかいよ、終われ。

一度、不確定な要素を混ぜてしまったら、
もう二度と、確かなものは得られなくなる。

それを知っていて、なぜ、誰もが、問題なく生きていけるのか。
(時間差があるからさ。きみとせかいでは、尺度が違う。)
不足しているのは、時間だけかい。
悲しみだけが、トランクケースに溢れかえっている。
何も悲しいことなんて、なかったはずだった。
記憶は消えたとドクターは言った。

嘘。

たった一日で、すべての記憶が戻った。
悲しみの理由も知った。
おかげで、語りは取り乱し、眠りにつくまで、女王がつきっきりで
子守歌を歌っていた。

(高いソプラノのガラスの様な透明な声。)

きっと、オレ達は、本当にどこにもいけないんだろう。
指先に感じる熱も、窓から吹く風も冷たくはないんだろう。
どうすれば、こうはならなかったのか考えてみたよ。

けれど、どういう道を選んでも
結局は、ここにたどり着いただろう。
そういうのって、理屈じゃない。
自分自身で求めて、歩いて、ここまでやってきた。
だから、さ。
そういうことなんだよ。

誰の声を聴いても、
誰の優しさを受けても、
それを切り裂くという衝動は止められない。

この、オレ、僕、私は、存在していないんだ。
だから、憎いんだろう。
10月に吹く風さえ、憎い。
時計の針が憎い。
パッションリングが憎い。
5時11分の太陽が憎い。
けれど、けれど、けれど、一番憎いのは、

「あなた自身。(僕自身。)」

はやく、はやく、
さあ、終わるといい。

僕の、オレの、私のせかい。

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31st/December/2014/01:07

ミス・アンブレラはコーヒーを飲みながら
次のクランケの資料に目を通していた。
「う、つ、ろ、変わった名前ね。」
私は不意に笑った。
どうしてだろう? この感覚。
初めて見る顔の印象は少女のような少年という感じ。
長い睫毛、いいな。
電話がなる。
「はい、まだいます。これからそちらへ向かいます。はい。」
ノートブックを閉じて彼の顔が消えると
私の心は少し冷たくなった。
寒いな。吐く息が白い。
待っててね、虚ろ君。じゃあね。
そう言って部屋を出た。

blog_5 - 105

愛故に孤独、それ故にさよなら。

「恋人たち、蜉蝣とひきちぎられた羽根。」

19th/April/2008/13:08

歌うように、恋をした。
あれは、なんだったのだろう。
一瞬でわかりあえた。

深夜2時、夜の公園。
灯りに照らされた、遠くまで続く緑の芝生。
霧雨が降っていた。

小さな傘の下で、僕は君を見ていた。
あの瞬間を忘れない。
濃い深緑の匂いと、6月の雨の匂い。
何もかもが新しかった。

初めて出会ったときのような警戒心はなくなって、
何年も一緒にいたような感覚にひたっていた。
悲しみは、はるか遠く、21ヶ月後まで留保されていた。

あれはなんだったのだろう。
極彩色に彩られたせかいのはて。

知っていたよ。
そこにいたのは、僕ひとり。
誰も、何も、時間すら、僕を忘れていた。

そして、壊れた砂時計に
ひたすら砂をつめることしかしない僕。
その砂時計からこぼれる砂のおかげで、この砂浜はできた。

海はミクニのおかげ。
ミクニの流す涙のおかげで世界一美しい蒼い海が出来た。

ここは、誰も来ることの出来ない
世界一美しい浜辺。
僕だけの、せかいのはて、という国。

地図には載っていない。

//////////////////////////////

30th/December/2014/10:08

(そういえば、Vote有り難う。
きみは元気にしているのかな。
あれからもう何年経っただろう。時間が過ぎるのは本当に早いね。
これからどんどん冷え込む季節だから体調に気をつけて仕事頑張ってね。)

12月になってやっと降り出した雪のようにゆっくりと降りてくる暖かい風を受けて
僕は静かに死んでゆこうと思う。
なので、今日はきみに送る最期の言葉を選びました。
本当に陳腐な言葉なので可笑しくて笑うかもしれないけれど
真実に思った言葉を選んだので好きにしてください。

「悲しみの種類は沢山あるけど青色の悲しみだけ受け止めて、
それ以外は空に還して忘れて、
喜びは素直に全て受け入れて全力で胸に抱きしめて、
きみは大丈夫です。神様がきちんと愛してくれるからその道をゆけばいいよ。
一番目の芍薬へ。」

雪のち雪の日々の回想が重ねてゆくレースの飾りのように舞う雪は
とても綺麗だからこの目のシャッターでおさめて
きみへと続く電子の海へ流すのです。
どうか、きみへ届きますように、、、

さよなら、

blog_5 - 104

Love Romance System.

20th/October/2007/10:16
「永遠を願う者、泣き崩れる者、すべて弱き者。」

アポトーシスが始まっている。
この身体のT細胞の40%が死滅した。
感情が消えるまで、あと28時間。

私が作り出した試薬こそが、神への道を示す。

(女王、B細胞はいかがしますか。
(あれはよい。
(身体機能以外のものは、全て無視して良い。
(わかりました。
(J3Uの投与は、絶対に忘れるな。4時間おきだ。
(わかりました。
(さがってよい。

砂に還元された私の身体は、浄化され、
この世でもっとも純粋な結晶となる。

このせかいは、狭すぎた。
時間に縛られているという制約も問題だ。
空間が穢れている。

私を狂っているというものは哀れ。
真実はいつでも、ほんの少しだけ痛いものだ。

(ジンロウ、椿を呼べ。
(はい。
(椿、ひとつレクイエムを作ってくれまいか。
(いまは、そんな気分じゃない。
(椿、語りは必要ないのだぞ。私にとって。
(、、、、。
(作るよ。
(よい子だ。
(皆、下がれ。
(ひとりで考えたいことがある。

 闇、私たちはふたりでひとつ。
 なのに、なぜ、私は光ではないのだろう。
 闇と対になるものは、光なはずではなかったのか。

女王、何も考えるな、この世はすべて夢だ。
夢の中で起こることを真剣に考えてどうする。
それに、この夢も、あと数日で終わる。

 今宵も、月は出ていないな。
 月は、消えてしまったか。

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29th/December/2014/16:46

記憶をひとつずつ、消していく。
レコードの溝をカッターで削るように、
丁寧に親密に。
溝には、涙の川が流れている。
溝が消えると、涙はこぼれ落ちていった。
全部、消えてしまえばいい。
もう、必要はない。
愛や悲しみなどの虚構を記録していても、仕方ない。
真実を記録しなければ。
私にとっての真実とはひとつ。

死、そのもの。
生、そのもの。
生命のシステム。それだけが真実。

ヒトは勘違いをしてきた。

思考が体を動かしているのではない。
体が動き、それを思考が認知している。

動きと思考のタイムラグは電子レベルでμ0.5秒。

これでやっとわかっただろう。
ヒト、ううん、すべての生命に
魂など宿っていないことが。

視床下部にあるT細胞のニューロンネットワーク。

それらが、作り上げるものこそ、
ヒトが心と感じている感覚。
ヒトに心などない。

だからこそ、安心して死んでいける。

全ては、虚構。
体は、いれもの。
器にしか過ぎず、感情はアミノ酸の流れ。

(泣いているのは悲しさのためか、泣いているから悲しいのか。)

blog_5 - 103

終わりと終焉とエンドロールと嘘つき。

27th/October/2007/13:28
「時間が止まる、僕を殺しにやってくるエリス伯爵夫人。」

(凄い。(はぁはぁと息が荒い)凄いよ。 )
とても貴重で見えないものとは?
いやあーなんだろー、時間かな。
きみにとって、せかいとは?
ガラスの向こう。
嫌いなものは?
うるさい豚。
好きなものは?
色白で猫顔美人の女の子、すっげー華奢な子。
(それは好きなタイプだろ!!!!!)
死んじゃえーーーーーーーーーーーーーーーー。
愛とかいうな。

27th/October/2007/13:27
「咲き乱れる天国。」

時間が速くなったり、遅くなったり、
からだがゆれたり、まがったりしても、驚かないでいいよ。
これが、せかいのはての新るーるなんだから。
ここは、夢と現実の中間の違いほどに似ている。
だから、おかしな夢を見る。
くすっとわらう。
ああ、眠りたい。やりたい。
とばされてる。
きもちがゆっくりと砂時計をかたむける
それで逆時間のできあがり。
なあ、そおだろ、闇。
あたましびれるなああははあああははははっはっはっは

26th/October/2007/11:23
「再起動、中枢神経接続、海馬切断。記録抹消の罪。」

STSは中止された。
身体が暁が拒否したから。
その結果、海馬の一部と言語野の一部を除去する手術を明日行うらしい。
脳の手術なんて怖いけど、
今は、メスで手術しなくても
高性能なマイクロカッターがあって、
それで、耳の穴から入って頭蓋骨を切らなくても
手術できるって。
僕は、どうせずっと眠ったままだから、
痛みも手術のあとも手術のことすら覚えてないらしい。

※海馬体
 海馬体(英名Hippocampus)は、
 大脳皮質・側頭葉の内側にあり側脳室下角底部に
 突出した大脳辺縁系の一部。 左右に一対ずつ存在し、
 ヒトでは直径一センチ、長さも五センチほどの器官である。
 ギリシャ神話に登場する,海神ポセイドンが駆る馬車を引く
 半馬半魚の想像上の
 動物Hippocampusヒッポカンポスの尾に形が
 似ているとされたことから名づけられた。
 『もう一つの説では学名が
 同じHippocampusヒッポカンポスであるタツノオトシゴから
 由来すると言う説もある』
 てんかん手術のために海馬体を切り取った、
 HMというイニシャルを持つ患者が、
 その後新たに記憶を獲得する能力をなくしてしまった(前向性健忘)と言う
 エピソードは大変有名である。

※言語野
 言語野とは、大脳のうち、単語や文で伝えたい意味を表現したり、
 単語や文の意味を理解する部分である。
 右利きの人の98%以上、左利きの人の3分の2は、
 左側の脳に言語野がある。

28th/December/2014/20:07

ふむ。結局、彼は死にましたね。残念です。
(そうですか、あれから8年も生き延びたのですから私には上出来だと思われますが。)
そういえばきみは彼のことが大嫌いでしたね。死んでせいせいしましたか?
(私は仕事に私情ははさまない主義です。)
そうですか、でも、実際どうですか? 何も感じないということはないと思いますが。
彼の死に方に何も感じませんでしたか?
(尊厳死。意外でした。そう。臨床的見地から考えるには予想外の死に方でした。
本計画のフローチャートに尊厳死という項目は確かにありましたが、
資料によると選択指数は0.01%もありません。大半の見込みでは自虐的な自死の選択の支持が圧倒的でしたから。)
そうですね。私もいささかそれに対しては疑問を持ちますが
尊厳死も自死の一種という意味を持ちますし
自虐的でなかったということのみ除けば大方予想通りだったのではと私は思っていますよ。
ただ、自虐的な死、とは彼にとって最も重要な意味を持っていたはずですから
それが行われなかったという現実が何を意味するのか興味深いことです。
一番大切なのは彼の死の動機です。
本計画の要であるクロスデルタの発動が死を決起させるはずがそうならなかった。
彼を死に追いやったのはクロスデルタによる鬱病、精神崩壊、多重人格などではなく、
末期がんによる尊厳死。これは由々しきことだよ。
(クロスデルタは今後どうなるのでしょうか?)
クロスデルタについては彼の総合レポートの解析次第、だろう、と思うよ。
元々彼が8年も生き続けることなど私は想定していなかった。
彼の死があと5年早ければ確実に、、。うん。
クロスデルタの投与を8年受け続けながらこの結果とはね。
精神医学も化学もまだまだ未知の領域があるようだ。
ミスアンブレラ、食事に行きませんか? 少々お腹が空きました。
(はい、ではその前にお手洗いにいってきます。少しお待ちください。)

25th/October/2007/02:59
「ラストノートがすべて、そして、暗証番号は401。」

タイトルを見て欲しい。
この意味は、何日後かに重要になる。
そこにすべてを残しておくから。
正確には、愛の記録。
僕の愛した君へ。
いつまでも、いつでも、悲しみのない世界へたどり着けるように、
僕がレールをひいておいた。
そこへ向かって歩いていけばいい。
光の中心へ。
何度でも言うよ。
重要なのはこれが、現実だと言うこと。
そして、愛しているということ。
冷たい床が
ほんの数十秒の短期記憶もできなくなって
僕の身体機能はだんだん低下していく。
悲しいと感じたその理由が思い出せない。
自分で書いた言葉を
いつも初めて見るという感覚。
なにこれ。
言葉にしておかなければ
すべて消えていってしまう。
会いたい。
誰に?
誰だっけ。
思い出せない。
人が来た。

薬だった。
注射は嫌いだ。
あ、どうだったかな。
思い出せないな。
思考が攪乱されてまともに考えることが出来ない。
つまらない。
何が。
わかんないよ。
何を書こうとしていたんだっけ。
時間は
この部屋には時計がない。
モニターにあった。
10:30
赤く点滅している。
赤は嫌いだ。
嫌いなもの、レバー。あぶらっこいもの。
好きなもの、きみ。
きみって誰だろ。
あたまに顔が浮かぶのに名前が出てこない。
これ、変?
この状態はなんだろ。
不思議な感覚。
思考が、思考ってなんだっけ。
つまり、僕が言いたいことは、なに?
忘れていくこと?
傷つくこと?
怖いのかい?
一緒ならいいよ。暁。
暁って誰だ?
誰か、知ってたら教えてよ。
何か、教えてよ。
ここは、どこで、僕は誰で、
この部屋はどこ?
薬が欲しい。
なんの?
できないよ。
何が?
自分で書いていて意味がわからない。
涙。
猫、白い猫。
死んだ。
いろんな方向から来ないでよ。
頭の中にいろんな記憶が飛び込んでくる。
誰だ、おまえは?
僕は誰だっけ。
もういいや。疲れた。
少し休もう。

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