AM 2:50、薄いグレイ。

Nov 16 2005 02:50:01

今夜はエアコンがいりません

ちょっと肌寒いくらいですから
きちんと布団をかけて
眠ります

今夜は眠りが深くて短い
深く深く
入ってみようか

今夜ならうまくいくかもしれない

まず階段を作って
最初は線が細い
細い線がだんだん厚みを帯びて
目に見える太さに変わる

よく見ると線には文字が書いてある
はっと気づく 

それは嘘と書いてある

階段の形が現れる(消えながら)ノックする
眩しすぎると羊がキレている

ああごめんと誤る

しかし嘘がうまいと感心している
仕事はうまくいっているのかと質問されるが
奇妙でならないから笑ってしまう

ようこそいつかへ
ふざけた夢だ

ここは何階ですか

知りません知りません
僕もまだ来たばかりです

どんどん降りる
眠りにおりる

blog_2 - 279

羊について。3

Dec 01 2005 20:41:38

彼はじっと 聞き入っているようだ
静けさを 遠い世界を…」
(リルケ)

羊のクビには切られることがわかっていて
あらかじめ 切り取り線が付いていた。
けれども 予想されることを嫌がって
切り取り線からズラして切られている。
けれどそれも予想されている。
線から少しズラして切り取られたクビは
最適なバランスだった。
なにもかもがあらかじめ用意されたし
失われるものはあらかじめ失われていた。
たくましい羊も華奢な羊も
みんないつかクビだけになって
種になる。
世界中に種がまかれたら
大量の光が必要になるけれど
光には限界があるから
ほとんどはクビのままだろう。
ひとつだけ許された自由は
上昇と下降で。
ただほとんどが上昇を選ぶために
みんな落ちていった。
上昇しきれば良かったのに
途中で立ち止まるからさ。
羊のことは似顔絵を描いたら
それで探してもらうことにしたよ。
誰に?)

blog_2 - 278

羊について。2

Nov 28 2005 14:22:10

夜のあたまの中には 羊がいて
箱の中に入ってポーズをとっている。
しかも クビがない。
クビがないから何頭とは数えない。

ああ、だから みんな「羊が一匹、羊が二匹」って、数えるんだね。

なくなったクビをみんなが探しているよ。
それ生きてる?

(みんなが生きたいと言う。

川で待ち合わせたあと、結局どうなったの?
待ち合わせ?

ああ、行かなかったよ。
だからどうにもなってないし、あれは夢だ。

(むしろ今が夢でしょ?

どうして行かなかったの?
どうしてって、あの場所がないからさ。

どうして、あの場所がないの?
同じ夢を見るのは難しい。
それだけのことだよ。

今日は羊のクビを探してる。
見つかる?

たぶん見つからない。
もう大分時間がたってるから
腐ってしまってると思うし。

クビを切るなんて酷いことするね。

え? なにが酷い?

クビを切るのは酷いでしょ?
あたりまえでしょ?

僕がクビを切ったんだ。
クビがないほうがバランスがいいから。

バランス、大事だよ。
バランス?

そうだよ。バランス。

僕はバランスがとりたいんだ。
すごくバランスがとりたくて仕方がない。
バランスさえ取れていれば問題ないんだよ。

空もバランスなんだ。
雲とか川とか海もみんなバランスなんだよ。

僕のクビも切り落としていいよ。
そうしなよ。

僕の世界のバランスは君のクビで保たれる。

僕の箱の中では クビのない羊が
ポーズをとっている。
階段の横に住んでる小さなドビュッシーも
バランスのためにピアノを弾いている。
いらない と いる に境界があるのも
バランスのせいだし
あの子が蜘蛛のお腹で長い時間をかけて
溶かされていくのもバランスのためだ。

みんなバランスをとるために
行われていることなんだよ。

それ本当のはなし?

ううん。嘘。

blog_2 - 277

ソプラノと夕闇と羊の生まれた理由。

Dec 12 /2005 13:57:31

すべて夢だった。

目が覚めると 
       相変わらず細い線と
円の
  連続した光る暗闇はずっとそこにあって

     光や闇を反射して 音階をいくつも分離させて

 ソプラノは夕闇を 高い音階で砕いて

    砕かれた夕闇の破片は
     巨大な夜の破片となって星となって

     誰の願いも叶えることのない流星になった。

  流星は群れて海の向こうに狂ったように落ちていき 
  灼熱になった表面で

    一瞬に 海水をすべて蒸発させ 
    空までのぼりあがった 蒸気が 

 
     百億粒の雨になって 
               また海を創った。

  深海の底に沈んだ流星は 
   もはや ただの岩塊になって

   灼熱も吸い取られ 
    真っ黒に焦げた暗闇になって

  その暗闇から 流れ出る漆黒が 
      海に流れ出て 空にあがって

      夜を創り 

      また眠りをつくって 

         夢の中に戻っていった。

 
     

       そして もう一度 
      昨日に帰る。

blog_2 - 276

永遠という標し。

Dec 22 2005 03:29:30

羊の首は砂漠の中の
砂粒のひとつになっていた。
それは米粒より小さくなっているものの
見た目はしっかりとした羊の首の形をしていた。
なにをしても なにがかわっても
けしてかわらないものの象徴として
どんなに時間をかけて探しても
見つけられないものの象徴として
羊の首はそこにいた。

blog_2 - 275

希望、蜉蝣、記憶の果て。

Dec 21 2005 16:32:57

羊はそれを希望といい、
ぼくは蜻蛉と言った。
蜻蛉は見たことがないとも言った。
蜻蛉に対して
特に印象に残る記憶を持っていないとも言った。
羊は希望という言葉を続けて
何度も言った。
希望
希望
希望希望
続けて言ったのは
なぜだったんだろう。
羊は希望という言葉が
好きなんだろうか。
もしかしたら そうかもしれない。
羊は優しいから
希望みたいな明るい言葉が
好きなのかもしれない。
優しいと明るい言葉が好きなんだろうか?
別なことをいっしょくたにして
考えてはいけないよ。
どうして羊はあれを希望と言ったんだろう。
多分みんなが そのとき 
それを掴もうとしたからだよ。
みんなが掴もうとしていた?
みんなが掴もうとしていたよ。
手をいっぱいに伸ばして
指が抜けるくらい 思い切り伸ばしていたよ。
それでどうなった?
どうにもならない。
指先の何光年も向こうを通り過ぎていったよ。
月が通り過ぎていったよ。
まだいるよ。
ぼくには氷をかじるくせがあってね。
喫茶店でアイスコーヒーを頼むと
最後は氷を全部かじってしまわないと
落ち着かないんだ。
それで羊が希望といい、
君が蜻蛉と言ったのは
結局なんだったの?
知らない。

blog_2 - 274

ミクニのこと。2

Nov 30 2005 20:42:24

その水晶には海の向こうが映っているらしい。
ミクニの海って どんなの?
海だけが広がってる。
どこまで行っても海で
島も国もないよ。
海だけ。
海の上には冷たくて悲しい気持ちのする風が吹いていて
そのいたるところ  あらゆる   海の上で 
ミクニ の失くした目が 
涙を流している。

想像して。 

ミクニの白目は 水晶のように 光を跳ね返す。
瞳は何千年も闇しかなかった洞窟のように
真っ黒で光はすべて吸収してしまう。

海の上で ミクニの目が涙を流している。
ミクニの涙が幻影を裂くナイフみたいに海を切り裂き

世界を旅する君を
どこへでも運ぶんだ。
    残酷で素敵でエレガントに。

blog_2 - 273

ミクニのこと。

Nov 29 2005 09:10:04

部屋の天井にある大きな風車から伸びる
透明なキャタピラーは
ミクニの目の奥にある歯車と繋がって
ギリギリと音をたてている。
キャタピラーは透明だし 長いので 時々緩んではずれてしまう。
そういうときは ミクニ自ら 目を外して
歯車を調整して キャタピラーをはめ直す。
ミクニが目を外している間は ミクニは盲目になるから
代わりに羊の頭が見ている。
羊の頭はクビから伸びるケーブルで
ミクニの手に繋がっている。
その間ミクニは手で見ている。
(手で見ているの?
(シッ! 静かに。
(ミクニに気づかれてしまうよ。
ミクニの目の奥には
青い水晶があって
(青い水晶なんてあるの?
(シッ! 黙って。
その水晶には海の向こうが映っているらしい。
ミクニの海って どんなの?
海だけが広がってる。
どこまで行っても海で
島も国もないよ。
海だけ。
じゃあ水晶に映る海の向こうって やっぱり海?
それがね、違うんだって。
何が見えるの?
知りたい?
とても知りたい。
(ミクニの指は白くて細くて長い。
ミクニはその指に羊の歯で作った指輪をはめていて 
毎晩寝る前にその歯を磨く。愛しい羊。)
ミクニの夢を見すぎてはいけないよ。
ミクニの夢は長すぎるから 
目覚ましを忘れてはいけないよ。
ミクニが夢だと忘れてはいけないよ。
ミクニは夢。
みくにはゆめ。
ミクニはゆめ。
ゆめ。

blog_2 - 272

羊について。

Nov 26 2005 23:11:44

着いたのは小さい砂漠だった。
遠くにはゆるい稜線が3本交差しているのが見えたけれど
あれは違う星の砂漠だとわかった。
(足元に冷たさを感じるのは
 親指の太さくらいの小さな川が流れているからだ。)
小さな川は 振り返った背中の側から
3センチ先の大気圏の手前で ゆっくりと自分を蒸発させながら
脳の軸索につながっていて
進行方向に向かう矢印(それは点線で消えかかっている。)に
従って進むと(歩き方は忘れた。)
3分後には 蒸発したはずの水分が いつの間にか戻っている。
羊(ひつじ。)、羊はどこにいった?
雄でもない。雌でもない。羊はどこにいった?
羊を探しているのは あなたですか?
ここにいると聞いてきたんですよ。
川は短くて すぐに脳に落ちていく。それは夢の話ですか?
夢とかではないよ。
まったく形のない空想の話とかではないよ。
小さな星が遠くに見える。
あれは本当は小さくないんだよ。
どれくらい大きいのか知ってる?
太陽系より大きい?
そんなに大きくないよ。
どのくらい?
きみの命くらい。
この羊にはつのがあるね。
またちがったね。
でもここに必ずあるよ。
けど顔はブスだよ。
関係ないんじゃない。
遠くに見えるあの砂漠さ、川はないのかな?
川は冷たくていいね。
足の指が緊張するからいいね。
もう今日はかえって寝るよ。
そうする?
さっきの羊のつのだけどさ。
つのにさ、樹木の年輪みたいなものがあるでしょ。
あれ。あのつのにはどれくらいついてたか覚えてる?
、、8本はあったよ。たぶん。
それがどうかした?
ちゃんと思い出したいんだ。とっても大事なことだから。
どうしてかはわからないけど。
明日は何時に待ち合わせる?
枠からはみ出さないようにしなければいいよ。
8時に、川で。
夢で。

blog_2 - 267