天使狩り。

桜が散ることを
命に例えるのはもう飽きた。
こんなに沢山散っていく命ひとつひとつの中から
きみだけを見つけるのは不可能だ。
僕は散ったきみを
ただ覚えていればいい。
それだけだ。

天使を集めて
天使の羽根をちぎって
遊ぶ。
奇数だったら、きみ。
偶数だったら、僕だよ。
羽根が一枚、羽根が二枚、羽根が三枚、
羽根が四枚、羽根が五枚。
あ、きみだ。
きみが行っておいで。

桜の散る頃に、
東京で桜が散る頃に
あの人は帰っていった。
それは僕の中で死んだことと同じだ。
思い出しはするが
触れることは二度と出来ないし、
話すことも出来ない。
死人と同じだ。
彼女にとっても同じことだろう。
覚えているとは思わないけれど、
坂の下の桜の前でした約束を
僕は今でも覚えている。
それも今となってはただの記憶だ。
約束でさえない。

きみが行く番だよ。
さあ、行ってきなよ。
私、したくない。
どうして、記憶を奪ってくるだけだよ。
それで人の心も安定するし、
僕たちのコレクションにもなる。
何が嫌なの?
私、お父さんとお母さんの記憶がないの。
それはきっと誰かが記憶を刈ったからだね。
私、記憶がなくて寂しい思いをしたから、
誰の記憶も刈りたくない。
でも、僕たちは記憶を刈らないと
死んじゃうよ。
もう誰の記憶を刈るのかも決めてあるんだから
行っておいでよ。
どうしても行かなきゃダメ?
そう。行っておいで。
ここへ行ってこの人の記憶を刈ってきて。
この人この記憶のせいで
苦しんでいるんだからきっと喜んでくれると思うよ。
本当に?
そうだよ。だからさあ。行っておいで。
わかった。行ってくる。

僕は桜を見ていた。
散る桜を見ていた。
誰かがそこにいた気がした。
誰かを思い出していた。
今はわからないけれど
大切な何かを僕は忘れて
大切な誰かを僕は忘れた。
だから四月は嫌いなんだ。
寂しいからさ。

blog_2 - 227

ひらひら。

覚えてるかな、この景色を。
この寒空を。

——————

昨日、雪が降った。
ほんの少しだけど、冷たい欠片舞った。

綺麗に覆い隠してくれるもの。

真っ白な世界。
冷たい感傷。
無くした絶望。
真っ赤な細い傷。

何かが変わろうとしていた。
けれど、それを望んだのは僕じゃない。

誰のオーダー?

無理に詰め込む夢は素敵。
貝殻模様の君も素敵。
無い物ねだりの僕は自由。
憂慮にかける現実は真。

そこに立たないで、雪が見えなくなる。

遅咲きの桜はもう散ることもない。
遅咲きの桜の変わりに雪が舞う。

君と離れて
もう
大分経つのに
いつも
夢に出てくる君は何故?

僕の本当の名前を知っているなら
名前を呼んでみて。

きっと、その名前はもう消えてしまったから。
虚ろう現実から
乖離した夢を真実と思おうとした
僕を笑ってよ。

ねぇ。

blog - 111

 

 

赤い糸を探しに。

そっと彼は彼女に近づいた。
眠っている彼女は何も知らずに僕の夢を見てる。

僕は君に全て預けて、この世界を出た。
さよなら、愛しの君。

——————–

この人、知らないかな?
この辺で見かけたって聞いてきたんだけど。

ああ、その人ってもしかして
小指にギザギザのリングしてる人のこと?

(見つけた。)

やっぱりここへ来たのね。
もっと詳しく教えてくれますか?

その人は昨日の夕方、ここへ立ち寄ったと少年は言った。
この街には沢山の人がいる。

普通なら見つけるのは難しい話ね。

でも、見つける方法はあるわ。彼は特別な存在だから。
人が大勢いても、彼には特殊な赤色がついている。

(なぜ止めなかったんだろう。)

私は彼が去ることを知っていたけど、
止めることもしなかった。

(それは何故?)

さぁ、行きましょ。彼の線を探しに。

空を見上げる。
それは雲の上から降る線が巨大なカーテンに見えた。

赤、赤、深紅の赤、、、
、、、、、、、、あった、見つけた。

線が大分短くなってる。
早くしなきゃ。

彼が消えてしまったら彼の記憶も全部消えてしまう。

線は近くで見ると、
天から降る色とりどりの雨に見えた。

揺れる糸が綺麗だった。

私は赤い線に近づく。
調律士に見つからないように、そっと。

私は彼の線を軽く掴んで自分の小指に結びつけた。
これで私はあなたとずっと一緒。

ずっと、ずっと、ずっと、
ずーっと。

さよなら、世界。

 

blog - 108

記憶のライブラリー。

見上げると天井が円く浮き上がって見える。
ここは円形のドーム形状で

空から吊された沢山の糸が垂れている。

その糸には記憶や言葉や景色や絶望などが吊されている。
たくさんの記憶のライブラリー。

ここは、僕を演じた
僕のすべての記録を集めたライブラリー。

「悲しみ」
  「儚い」
「伴い」

   「死」
 
「夢」
   「激」
       「希望」

    「暗闇」

   「時雨」

全部ここへ集めた。
そして、これからすべて燃やすのさ。

さぁ、散っていけ、灰に帰れはいい、全部、
僕の記憶、言葉、

     全部、
    全部、
        全部。

(それが本当の嘘であればいい。)

blog - 075

氷点下の世界。

幼くして出逢うはずのなかった二人は
その手から伸びる糸に導かれて一度出逢う。

けれど、永遠が言う。

 「それは夢。」

けして、近づいてはいけない。
糸に触れたものは誰もが「永遠」を奪い合い、
絡み合って、空から落ちる。

(だから、私は必死に空に掴まっている。)

天使になれなかったものは空から追放される。

彼は昏睡する意識の中で

本当の永遠を得た。
そして、それは彼を中心とした楽園を作る。

けど、それは常にひっくり返される砂時計の様に
死ぬことの出来なくなった呪いと同じだ。

だから、天使を空から落としてはいけない。

落ちた僕はこの世界の王で
そして、ここから二度と出ることができない。

(頭を撫でると君が笑ってた。あれはいつだろう?)

もう過ぎてしまった過去は
けして変えることは出来ないし、夢も見ないんだ。

ここでは、毎日、真夏日で冷たい雨が降り続く。
(昔、出逢った子がいて、名前が無くって、だから時雨って名前をつけてあげたんだ。)

死ぬことの出来ない彼は、
苦しみの中でもがくだけの哀れな王だ。

(私がみつけるわ。)

この夢を三千年見続けても
同じ夢を追いかける彼は、翼のない王は、

きっと、天使の降らす雨で絶望的に凍え続ける。
体がじゃない、心の中。

「雨でびしょぬれじゃないか、今ふいてあげる。」

彼の記憶は断片的で時系列に並んでいないから今も昔も滅茶苦茶。

(涙が流れた。)

唐突に叫ぶ。

太陽、月、金星、全部、ぜんぶ、僕のものだ。
ぜんぶ、ぜんぶ、僕のものだ。

(激、あなたのことずっと見てるから。)

blog - 071

沈む綺麗なきみ。

水槽に沈む君はとても綺麗。
水泡に包まれた君はとても綺麗。

この夢の中で出逢った二人は、
残酷な夢を見る。

けれど、それは幸福の象徴。

しがらみから解放された僕は、
手首の傷を隠しながら空へ舞う。

いつもと違う君を見た。
千年の時間差があった、そして、それは永遠。

意味のない言葉を羅列して
僕は君を傷つける。

だから、空は嫌いだ。

俯瞰で見てよ。
三次元で見ないで。

だから、さ、そういうことなのさ。

わかる?
君に。

遠い春の花びらに君をのせて
僕は追憶の彼方。

ねぇ、もう行こうよ。
夢のはても、崩れかけてる。

君と一緒に歩いた道をよける。

それは悲しみが止まらないから。
きっと、星くずみたいに消えていくから。

君の手をもう一度に握りたいな。
もう一度、出逢おうよ。

お願いだよ。

そして、出逢ったら本当のさよならをしよう。

(それが彼の望みだから。)

blog - 060

メルヘン。

5メートル先にぼくは立ち止まっている。
(そこでは、時間は空間に巻き込まれていて、常に過去に遡る。)遠くに僕たちが見える。
それを、ぼくは、遠くから狙う。
特注のライフル。
2秒にひとつずつ、かれらのあたまがスイカが割れたみたいに、
飛び散っていった。
最後のひとりは、こっちを向いて笑ってた。
かすかに、ひゅんという音が聞こえた気がした。
(それは幻聴。弾丸は音速より速い。)

ぼくは、ぼくたちは、
毎日、同じように、何回も何万回も、ぼくを殺していく。
ぼくは、僕に撃たれ、ぼくも、僕に撃たれる。
僕らの空間にレイヤーができているよ。
ぼくらは、狙い続けた。いつまでも、永遠に。
死ぬまで、狙い続ける。
ぼくのうしろには、ぼくがいて、そのぼくのうしろには、
また、うしろに僕がいて、その僕も、、、、、、、、、、、。

僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。
僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。
僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。
僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。
僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。
僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。
僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。
僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。
僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。
僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。
僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。
僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。
僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。
僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。
僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。
僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。
僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。
僕からぼくへ。
さよなら。
ぼくから僕へ。
さよなら。

、、、、、、、、、、、、、、。

基本 CMYK

死の予感。

語りが現れる前の晩、
死の予感がした。

オレは死を望んでいたから
嬉しかったさ。

矛盾と孕んだ憂鬱には
もう飽きた。

その予感は的中した。
オレは語りと同化して、
激としてのオレは消える。

語りは何をしたいんだろう。
きっと、語りも死にたいんだろう。

死の前日、時雨の夢を見た。
あの夕立の日の夢だ。

あのあと時雨と離ればなれになった。
今はどうしているんだろう。

死の予感の前に
時雨か。寂しいな。

死ってなんなんだろう。
安らぎだろうか。
苦しみだろうか。

とにかくオレが欲しいのは
この世界の消滅だ。

オレが死ねば
この世界も消える。

なにもかも消えるんだ。
語り、早くおいで。

死を待っているよ。
死を愛しているよ。

絶望、待っているよ。

(時雨は天使になったよ。)

 

blog - 031

恋愛譚。(れんあいたん)

激が行ってしまう。
もう止められない。何もかもが調律士の
計画通りに壊れていってしまう。

私はもう一度会いたかった。
もう一度、あなたに会って、

確かめたかった。
あなたの糸の色を。

だって、きっとその糸は真っ赤な糸。

でも、もう切れてしまった。
語りが現れてしまった。

(統合してしまった。)

でも、語り、
忘れないで、私はさよなら。

あなたを殺す。

あなたをこの世界から消し去る。

愛している。
だからこそ、殺す。

だって、あなたは
私にそう願ったの。

そして、私も殺して。

二人で世界の果てに戻りましょう。

私の贈り物。
ブラックハートはもう届いたかしら。

あの娘は気づいていないわ。

ブラックハートはさよならの証。
愛した証。

もう私の翼もくたびれてしまった。
近いうちに飛ぶことさえ出来なくなる。

だから、ピストルを手に入れたの。
ふたつ。

お互いに撃ち合いましょう。
私たちを覚えている人はみんな居なくなればいい。

お願い、忘れてしまって。
全部、全部、全部、

全部、忘れてしまって、私を消して。
(あなたを消して。)

(この会話は全て盗聴されています。)

どうして、こうなってしまったの。
どうして、時間は動き続けるの。

私たちが消えても
時間だけは変わらず、秒を刻み続ける。

(あああぁ、退屈なエピソードだわ。)

この言葉は全部、お姉様に捧げるわ。

私はさよなら。
あなたもさよなら。

彼女もさよなら。

至るところにさよならは現れるわ。

だから、

だからね、激、
あなたは何も寂しいことなんてないのよ。

もう語りになってしまっているけれどね。
私にとっては、激のまま。

心は赤い糸を繋ぐ空からの一筋の希望。

ねぇ、語り、
あなたからも伝えてほしいの。

激は悲しみを捨ててしまったけど、

私はずっと未来まで、
あなたを想って悲しむことができるよって。

(黒い羽が舞った。)

私の爪から零れる一筋の赤い血の流れを
それは、全部

激のものだって。

あなたが居なくても
私の心はけして変わらないって。

嘆きの井戸に落ちた私は
暗がりの中で小さな夢を見た。

その夢で私は激に会った。
激と愛し合った。

それは夢だった。
でも、それでも、何もないよりは良かった。

涙が流れた。
でも、それでも、素敵な夢だった。

夢の中でも
あなたはとても優しくて
微かにふるえる私のあたまを

ゆっくりと撫でてくれた。

激、忘れないよ。
ずっと未来まで持っていくよ。

ありがとう、激。
涙止まらないよ。

でも、激のためなら
どんなに涙流してもいいって

そう思って、泣き続けるの。

あなたの喪失を悲しみながら。

私を忘れながら。

(忘れないよ。)
blog - 028

語りの登場。

連続した空間の行く果ては
この夢のはて。残酷に見えたあの世界も
今は優しく響いてる。

さよならもそろそろ気づく頃かな。

ここは本当に気持ちがいいね。
ずっと遠くまで澄んでる。

これだけの雨量を使って完成を目指す夢のはて。

僕らの世界の果てとは正反対の世界だ。
(いつのまにか
僕は激の視線に入っている。)

雨がやんだ。
初めてだ、こんなこと。

上で何かあったんだな。

(激、いいかげんに話しを聞いて。)

聞いてるさ。
ただ、納得していないだけだ。

(どうするつもり、このままだと
あなたは本当に消えてしまうのよ。)

いいさ。
それが願いだ。

すごい。
金色の糸だ。
誰のだろう。

(どうしてあなたにも羽があるのに、、、)

もう、ずっと飛んでないから。
ただの飾りさ。

調律士が近くにいる。
この感覚はきっとそうだ。

なんのために降りてきてるんだ。

あれ?
他にも誰か降りてくる。

糸がついていない。

でも生きている。

こっちにくる。

「やぁ、君が激?」

おまえは誰だ。

僕?
僕はおまえさ。

世界の果てからやってきた君の心さ。

語りだよ。

blog - 025